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大学の先生たち② ~学生はタダで使える労働力~

こんにちは、黒都茶々と申します。
現在は定職(not研究職)についておりますが、かつて大学院の博士課程というものに在籍しておりました。
前回は大学の先生たちは教育者ではないと豪語してみましたが、今回はその続きになります。

前回は、大学の先生は教育者じゃないよ、ということと、大学の先生は「俺の背を見て技を盗み取れ」みたいな教育しかできないよとお伝えいたしました。本日は、もう一つ別のタイプの研究者のお話をしたいと思います。

学生を無償の労働力として見る教授

これは、教授だけなのか他の先生たちもそうなのかわからないんですけど、多かれ少なかれこの性質を持っている人はいると感じます。学生をタダで使える都合のいい労働力だと思っている人々です。

お金をかければ簡単にできることを、学生の労力を費やさせて安く抑えるだとか、特にTAとして雇用されているわけでもないのに授業の補助させるとか、学会発表のスライド(もちろん先生が発表するやつ)を作らせるとか、そういうやつですね。

特に使い勝手がいい労働力として重宝されるのが博士課程の大学院生です。この人たちは学部生に比べれば知識があるし、事務的なことも分かっているし、なにより体力があって献身的です。少々面倒な学部生の指導だとかもやってくれるから一家に一台っていうか1ラボに3人くらいいれば安泰ですよね。

博士課程の大学院生からすると、先生のご機嫌いかんによって論文の添削スピードが変わったりするので、もうご機嫌取りに必死ですよ。自分が学位取れるかどうか、何年で学位取れるのかは先生のお心次第なので。その割に報われなかったりもしますけれど。

発展形:学生に思考することを期待しない教授

上の例から少し発展して、学生自身が成長することを全く期待していない教授もいました。研究のストーリーは先生が考えて、パイロット実験とかも一通り先生がやってしまって、学生はN数を稼ぐだけ、みたいな。酷いところだと、データを出したのは学生だけど、論文は全部先生が書いた、という例も聞きました。

このタイプの先生は、本当に頭が回るんだなと思います。そして、学生は思考することなく先生に指示された通りの実験をして学位を取っていくのでありました。(学位持ってる人の中にはこういう奴も紛れている。)

偶に、このタイプの研究室で学位を取った人とおしゃべりすると、心の底から「こいつの学位と私の学位は、同じだけど違うんです!」と叫びだしたくなります。相手は、自分のラボがスタンダードだと思っているから特異性に気づいていないんだけど、苦労話の質(というか闇の濃さ)が全然違うんだよね。学生時代に苦労しなかった分ポスドクになった後に苦労するものなんですが、こういう人に限って一般企業とかに就職するからなぁ…。

そうそう、私が4年生の時に師事していた先生も、この「学生は労働力」タイプだったな。過去の知見からある程度結果は予想していて、「こうなるはずだから」といって私に実験の指示をするわけです。出てきた結果が灰色だったときに、「白黒はっきりさせる追加の実験をしたい」と私が言うと、「過去の知見から判断するとこれは黒なんだから、黒とすることになんの問題もない。追加の実験は金と時間の無駄」と主張されました。

当時4年生で研究の右も左も分からない状態だった私は、同じ先生の指導を受けていた先輩に相談したのですが、その方曰く、その先生は「もし結果が間違っていたとしても、議論をする機会を提供したという点は事実なのだから問題ない」と言っていたそうです。ものは言いようだね。

結果的にそうなってしまった場合ならまだしも、真実を知るための実験を怠っておきながらその言い訳はマズいですよね。

しかし、この研究スタイルは非常に効率的であるのは事実なのです。そしてなんとなく、こういうスタイルの研究が増えてきているような気がしています。

では、このタイプの先生に当たったらどうするか。

もしも修士課程の学生さんだったら、耐えれば終わりなので耐えてください。時間が解決します。卒業したら終わりです。

もしも博士課程の学生さんだったら、うーん、どうすればいいのかな。あんまりいいアイディアがないんです。私もうまく躱せなかった人間なので。

さっさと学生を手放してくれる教授ならさっさと卒業しちゃえばいいと思いますが(学位に値する思考力が身についているかは知らないけど)、ぐだぐだ学位取得を引き延ばして無駄にラボに在籍させようとする教授もいますからね。

本当に悪質で困るのですが、学生からするとぐだぐだ無駄に学位取得を引き延ばされているだけなんですけど、そこに教授の悪意は一切ないってことは特筆すべきかなと思います。研究ってある意味終わりはなく、学位論文もキリのいいところで一旦区切ってまとめるというだけの話。つまり、教授側としては「まだ論文にするのにデータが足りないから」と言って永遠に学位取得を引き延ばせちゃうんです。

私が修士のときにお世話になった教授がまさしくこの悪意のない困った人で、本人は親切なつもりでやってるから非常に質が悪く、こちらが反発すると、「なんだ恩知らずめ。親切でやってやってるのに」みたいな反応されちゃうんですよ。で、拗ねちゃって、論文の添削いつまでも返ってこない、みたいなね。(子供かよ。)

ま、総じて言えることなんですが、学生を教育しようと思って先生になった人はほとんどいませんので、学生さんたちは先生たちが自分を伸ばすために働きかけてくれるなんて期待しちゃダメですよ。大学ってそういうものだって理解して、自分で学んでいく姿勢が大事です。

以上、私が見てきた教授の種類についていろいろ書いてみました。私がいたところは生物系ラボだったのでこんな感じでしたが、化学系とか工学系だと雰囲気違うのかな?

次回も教授たちの紹介を書こうと思っています。年配の教授たちと若手の教授たちで、かなり雰囲気が違う気がするので、そのあたりの世代交代感をお伝えしようかなと思っています。

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