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マイナスドライバーの話

マイナスドライバーほど美しい工具はないという話。

マイナスドライバーの歴史は古く、遡ること約100年前、日本では最初に株式会社ベッセルがマイナスドライバーを生産しました。

必要最低限のシンプルな造形でありながら、仕事だけでなく日常でも様々な場面で活躍する機能的なマイナスドライバー。
ホームセンターで買う気もないのに何気なく手に取りたくなるある種の芸術的なグリップ。
造形美、機能美、芸術美、三つの美を兼ね備えた工具の完全体。

そしてさらに遡ること約260万年前、人類最古の工具と言われる「オルドワン石器」。

石器の一例(wiki)

この無骨さと握りやすそうなフォルム、そして先端の尖り具合、もう誰がどう見てもマイナスドライバーでしかありません。
人類最古の工具はマイナスドライバーなのです。

猿人は
硬い木の実を砕くのにも石器...
動物の肉を切り取るのにも石器...
栄養価の高い骨髄を砕くのにも石器...

現代人も
硬い瓶の蓋を開けるのにもマイナス...
段ボールのテープを切るのにもマイナス...
こびりついたシールを剥がすのにもマイナス...

時代を超越して人類に恩恵をもらたし続け、ありとあらゆる機能を兼ね備えた万能感溢れるマイナスドライバーを愛さずにはいられません。

これは僕が愛用しているベッセルのマイナスドライバー。
毎日触れることでかすれたロゴ、グラインダーで尖らせて焼きを入れたものの先端の小さな欠け、タガネとしてぶっ叩いて傷だらけのグリップ、指の入らない隙間に突っ込んで剥けた樹脂、そして雨の日も雪の日も仕事に付き合ってくれた錆の風合い。
工具箱でひっそりと出番を待つ健気なこのマイナスドライバーが本当に大好きです。

この可愛くて可愛くて仕方ないマイナスドライバーを肌身離さず持ち歩いていたいのですが...
マイナスドライバーは「業務やその他の正当な理由」を除いて隠して携帯すると、ピッキング防止法により処罰されるそうです。
でも「美しいから」というのは正当な理由にあたる気がします(シランケド)。

マイナスドライバーの話でした。

ここまで読んで下さったあなたと
何の役にも立たない情報と時間を
共有できたことに
心から喜びと興奮を感じています。

次回は、最強の工具バールの話でお会いしましょう。

また👋

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