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軽自動車ってどうなの?

「あいつの家の車、軽自動車だってよ」
「男が軽自動車?」
「軽自動車で長距離旅行?」

貧乏臭い、と続いたのが22年前までだったでしょうか。

言葉は悪いですが、間違ってはいません。
元々軽自動車は「廉価な四輪車両」という明確な位置付けありきで作られたものです。

上限排気量
上限寸法
上限出力
最大乗車定員
普通自動車とは異なるナンバープレート

という軽自動車規格が定められていることと、
普通車に比べ車体価格・維持費・所有登録の一部などが低く設定されているのが特徴。

ゆえに普通車だと維持できない層でも所有できる日本独自の廉価大衆車として、
戦後の日本を走り始めました。

“廉価”の部分を変えてしまうと軽自動車としての存在意義が揺らぎ、もろに売り上げに影響します。
廉価の枠内に収めるには、豪華を削り落とさなければなりません。
そのため車内はプラスチッキーなものとなり、
普通商用車並の簡素なものになっていました。


「貧乏人か、女向けの車」が、大衆が軽自動車に対し抱くイメージの代表格。
他には「大学生か駆け出し社会人が、なけなしの金はたいて買う車」でしょうか。
文字通り、軽く見られ続けていた軽自動車。

1993年。
軽自動車の歴史が大きく変わるモデルが登場します。

トールワゴンモデル、スズキ ワゴンR発売。


「軽自動車にプラスアルファのキャラクターを」の動きは軽自動車初期からあり、
ハイパフォーマンス化しスポーツ(スペシャリティ)モデルとして売り出したものが数車種ありました。

ワゴンRは利便性を重視したトールワゴンパッケージにしたことで、
それまでのボンネットバンタイプ軽自動車が抱えていた後部座席の閉塞感、
荷室の狭さを解消。
高い利便性を獲得しました。
デザインは乗用車に寄せ、男性から敬遠されないキャラクターを纏っています。
パフォーマンスよりユーティリティを尖らせ、貨物車ではなく乗用車として誕生させた、新しい形の軽自動車だったのです。
「便利そうだから、これにした」の声は日増しに大きくなり、コンパクトカーを喰う位置につけたワゴンR。
軽自動車の未来を切り拓いた名車です。

ワゴンRのスマッシュヒットを起点に、トールワゴンタイプの軽自動車が各メーカーから誕生。
利便性を軸に進化を繰り返し、車室はさらに上方に延長。
2003年に軽スーパーハイトワゴン・ダイハツ タントが発売されると、
ワゴンRに代わる新たな軽自動車のスタンダードとして、なにもかもが変わった現代社会を走り回っています。


軽自動車は「仕方なく」「とりあえず」から、指名買いされるファーストカーへ。

ユーザーの声が反映されやすく、「あの機能があれば」の意見が一定数集まれば即反映されるところが大きいですね。
今や便利装備てんこ盛りで、
従来まではユーザーが車に合わせていたのが、車側がユーザーに合わせてくるといった状況。
この構図が見られるのは、軽自動車とミニバンくらいでしょう。
単身からカップルへ、
カップルからファミリーへ、
子が離れ親の介護へと家族の形態が変わっても、乗車定員4人の枠内であればじゅうぶん対応できる懐の広さも魅力。
上限出力が定められているとはいえ高速道路を使う長距離ドライブもこなせますし、
車内が快適なことも相俟って思った以上に疲れません。
ダイハツ ムーヴ登場あたりから乗り心地も重視され、煮詰められてきましたからね。

その分価格が跳ね上がり、一部のコンパクトカーよりも高くなってしまいました。
が、このことも「選んで軽自動車を買った」感を後押しする形に。

今もなお軽自動車にネガティブな印象を持っている人は、時代に乗れなかった人なのかなと。
我々車好きから見れば、便利装備てんこ盛りの現行軽自動車は、メインになり得る車という印象ですし、
高い趣味性を備えたモデルは趣味車として所有してみたいところです。

この時期になると郵送されてくるハガキと封筒。
車バイク趣味人が避けて通れないイベント、自動車税です。
今までお会いした趣味人の中には、
自動車税を捻出するために生活水準を下げたり、
捻出不能と判断して車を手放してしまったりと、
車検に次ぐ関門になってしまっていた方もちらほら見受けられました。

軽自動車だと、この時期もイージーモード。
趣味車をジムニーか軽オープンカーにして、
メインを軽ハイトワゴンってのも楽しいだろうなと思った今日この頃。

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