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妄想ワンピースシリーズ「香水」

『年を重ねて美しく、自分の足で颯爽と』をモットーにしているウォーキングインストラクターで、なおかつ、着るだけでマイナス5キロ痩せ見えの魔法のワンピース®︎代理店『R ana』を主催している友人の、ワンピースのお客様用に、短いお話を書かせていただいています。このご時世、なかなか新しいお洋服を買いたい気持ちにならないかもしれないですが、少しでも明るい気持ちになれたら、と思います。


アメ横の雑然としたビルの中にその店はあった。手前に安い小瓶を並べ、カウンターの中に芸術品のような香水瓶を並べた、よくある店で、三十代半ばほどの化学教師のような男性が一人、店番をしていた。日常使いが出来る香水が欲しいと言うと、好みの香りのタイプ、生活パターン、食生活などの幾つかの質問をされ、瞬く間にカウンターには数本の香水瓶が並んだ。
「これはいかがですか」「こちらは?」
「香りが分からなくなったら珈琲豆の香りを嗅いでみてください」
数本のうち幾つかは差し替えられ、最後に絞られたのは、ユニセックスかと思うほど、あっさりしたブルガリのボディミストだった。私はその香りを身に纏い、初夏の街に軽やかに踏み出したことを覚えている。
あの店はまだあるだろうか。そろそろ新しい香水を選びに行こう。
50~100本の薔薇の花から採れる精油は、わずか一滴程度だと聞いたことがある。薔薇に敬意を表して、こんなワンピースを着て。
                         by 栗山 心

Rana

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