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【Kurita’s Archive Vol.1】クリタのはじまりはボイラ薬品

広く皆さんにクリタグループのことを知ってもらいたいと始めた栗田工業公式note。前回のエントリーでは、クリタグループが提供する産業用水処理の概要についてご紹介させていただきました。

今回のエントリーは、さまざまな産業向けに多様な水処理のソリューションを提供するクリタグループ創立のきっかけは何だったのかという、「クリタのはじまり」についてです。


1949年にボイラ薬品の会社として設立

栗田工業株式会社は、1949年の7月13日に、兵庫県神戸市で栗田春生(くりた・はるお)氏により、水処理薬品事業(ボイラ薬品)の会社として設立されました。ちなみに今年、2024年で設立75周年となりました。

栗田氏は船舶のボイラ整備指揮などを担当していたことから、退役後は船舶関連業務で得たボイラの知識を活かし、ボイラ会社で働いていました。そしてこの工場での経験が、クリタ設立のきっかけとなりました。

この先をお話しする前に、まずは「ボイラ」と「水処理」について、かんたんにご説明したいと思います。

ボイラはいわば「やかん」のようなもの

ボイラとは、石油や天然ガスなどの燃料を燃焼させることで発生する熱で水を加熱してお湯を沸かし、蒸気や温水を作る装置です。私たちの日常の風景でイメージするなら「やかん」のようなもので、「汽缶」「缶」や「カマ」といった別名で呼ばれることもあります。
 
ボイラの起源は、18世紀の第一次産業革命時代にまでさかのぼります。機械の動力源などとして工場の自動化、工業化に貢献したほか、蒸気機関車や船舶などの動力源などにも利用されてきました。
 
現在も、ボイラが生み出す蒸気や熱は、さまざまな産業の工場、病院やビルなど大型施設において、発電や動力のエネルギー、昇温・加熱などに利用されています。工場では「ボイラが停止すると生産設備も止まる」“心臓部”ともいわれるぐらい重要な装置の一つです。

またボイラは、一般家庭の給湯器や暖房などにも利用されています。

大型のボイラ装置はその姿も迫力満点

ボイラにもいろいろな仕様や用途があるなかで、このエントリーでは水を熱して蒸気を発生させる蒸気ボイラを例に、どのような仕組みなのかをご説明します。

蒸気ボイラの中は水と蒸気で満たされている

水は、大気圧のもとでは、摂氏100℃で沸騰します。この水を、耐圧容器に閉じ込めた状態にすると、100℃以上の大きな熱と圧力エネルギーを持つ蒸気を連続して作ることができます。蒸気ボイラは、この特性を利用した、大きな熱と圧力エネルギーをもつ蒸気を作り出す装置です。

工業用の蒸気ボイラの多くは、大気圧以上の高温蒸気を連続的に発生させるための高温・高圧に耐えられるよう、鋼鉄製の容器でできています。そして容器の内部は、蒸気の原料となるボイラ水と、ボイラ水を熱して作った蒸気で満たされています。(なお下の図はもう少し詳細をご説明していますが、ここでのテキストによる説明は省きます、すみません)

ボイラの仕組み概念図

ボイラの水に関する障害としては、内部の腐食(さび)や、カルシウムやマグネシウムが析出し付着するスケール(水あか)の発生が代表的です。腐食はボイラ容器に穴が空くことの原因となり、それが故障や大きな事故につながる可能性があります。またスケールも、配管のつまりを発生させたり、それが原因で工場の設備が止まったり、ひいては事故につながったりする可能性もあります。

そうです。もうおわかりですね。水や蒸気で満たされたボイラを安全かつ効率よく運転するためには、水処理が不可欠になります。

ボイラ装置の運用においては、これらのトラブルを未然に防止するための、水処理薬品や水処理装置が不可欠というわけです。

 なお、ボイラ向けの水処理についてもっと詳しく知りたい方は、クリタのお客様向けサイト「KCRセンター」の動画もぜひ見てみてください。

同僚の何気ない一言が会社設立につながる

さて、ここからは当社を設立した栗田春生氏の話に戻ります。

栗田氏は 船舶関連のボイラの知識を活かし、ボイラ洗浄を行う工場で働いていました。当時の民間企業におけるボイラ管理はずさんなもので、トラブルや事故が少なくありませんでした。また、ボイラの洗浄というのも、内部に付着したスケールをハンマーやタガネで掻き取る作業のことを指しており、あくまで付いてしまったものを物理的に剥がしとるという応急処置のようなものでした。

そして、栗田氏がいつものようにボイラ“洗浄”をしていたある時、同僚が何気ない一言を発しました。

「なぜお客に浄缶剤を勧めないんだ?あれは素晴らしい技術だったはずだが。」

浄缶剤は、スケール発生や腐食を防止する、いわゆるボイラ薬品のことです。海軍時代に船の機関室で浄缶剤を使っていたものの、この時はまだ民間企業では普及していませんでした。

「そうだ!この俺がなんとしたことだ。浄缶剤があるじゃないか。」

この瞬間をきっかけに、栗田氏はすぐに資金を集め始め、兵庫県神戸市の木造二階建て、六畳一間のアパートの一室に、小さな看板を掲げました。こうして、1949年7月13日に、栗田工業株式会社が設立されました。

本社看板と栗田氏(1950年)

総合水処理会社としてのクリタ

・・・については、このエントリーが長くなってしまったので、次の機会に譲りたいと思います。

クリタグループが長く水処理事業に取り組んできたなかでのターニングポイントなどを、今後も「Kurita’s Archive」として発信していく予定です。どうぞご期待ください。


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