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Indexed Universal Life Insuranceとは

最近保険の見直しのご依頼を受けることが増えてきました。
その中でよく見るのが IUL (Indexed Universal Life Insurance) という種類の保険です。
今日はIUL仕組み利点注意点見直しポイントについて書きたいと思います。

IULの仕組み

1990年代「投資」という資産運用が一般的に受け入れられるようになり「保険にお金を入れるなら投資に回した方がいい。」と考える人が増える中1990年代後半に生まれたのが、保険と投資を1つにした IUL と呼ばれる保険です。

支払った保険料で更新可能な定期保険(Renewable Term Life Insurance)を買い保険料の残りでIndex(投資信託・その他の証券)に投資するというもの。
投資に回った保険料は利息を得て増えて行き、利息上限はあるものの最低金利も保証されており投資リスクは少ないと言われています。

IULの利点

① 高いリターンの可能性

マーケットのパフォーマンス、投資内容によりますが、Whole Life Insurance(終身保険)に比べ高いリターンを得る可能性があり、資産構築 (Cash Value)に有利に働きます。

② 柔軟性

保険契約者のリスクに合わせ、死亡保険額の調整が可能、また長期介護特約、末期疾患給付特約を追加するなどのカスタマイズが可能です。

③ 運用益は非課税 (老後資産形成にとても魅力的)

保険内で増えた資産 (Cash Value)をローンで引き出した場合、運用益は非課税になります。
この特徴を生かして非課税の年金収入を得ることが可能になります。
また401(k)、IRAのように早期引き出しへのペナルティー、引き出し必要最低額も決められていないので、税金の相殺目的にもIULを含む積立て型生命保険が使われます。

↓↓↓↓↓ 過去の記事をご参照ください。↓↓↓↓↓

④ 死亡保障

IULは生命保険なので、もしもの場合、残された家族(受益者)は死亡保険を受け取ることができます。
死亡保険は他の保険の死亡保険同様非課税になります。

IULの注意点

① 手数料が高い

IULは保険商品の中では手数料が高い商品になります。
 - プレミアム経費
 - 管理費
 - 特約手数料
 - コミッション
 - 解約手数料
などなど。
支払う保険料から、定期保険料(cost of insurance)が引かれ、上記の手数料が引かれる為、実際に投資に回る金額が減り、収益率を損なう可能性があります。

② 利息の制限

IUL内での投資のリターンには参加率と上限が設定されています。
例えばIndex(投資信託・その他の証券)のリターンが25%、
参加率が70%の場合、Indexのリターン(25%) x 参加率 (70%) = 17.5%
そして上限が年間10%と設定されていれば実際の収益率は17.5%ではなく、10%に制限されます。

③ 定期保険料(cost of insurance)の上昇

IULには定期保険が組み込まれており死亡保険金が保証されています。
この定期保険は年齢と共に保険料が上昇していきます。
例えば20代は死亡保険金$500,000の定期保険を$200で購入可能でも、50代になると同じ死亡保険金$500,000の定期保険料は$2,000以になるなど。
年齢と共に死亡のリスクが高くなり、その保険料も高くなります。

定期保険料の上昇分をそれまでの運用益でカバーができなくなると、保険料が跳ね上がる、もしくは保険自体が失効する可能性があります。

IULの見直しポイント

IULは利点もありますが、手数料が高いこと、パフォーマンスの低迷が続くと、本当に保険が必要となる晩年に失効し、保険内での資産・死亡保険金も含め積立て保険としての機能が完全に無効になる可能性があります。

① 手数料

保険料からどれくらいの手数料が払われ、十分に投資に回っているのか。
元々手数料が高い保険であること、またリターンの変動を乗り切りる必要があるので、高い保険料で予算を立てる必要があります。

② パフォーマンス

年齢と共に上昇する定期保険料をカバーするだけの運用ができているのか。
保険内で得られる利息には参加率・上限が設定されており、保険会社はそれらの設定を変更することが可能なので、この点において消費者は劣位になります。

③ 保険内の資産(Cash Value)

パフォーマンス同様、年齢と共に上昇する定期保険料をカバーするだけの資産構築、Cash Valueが保険内にあるのか。
私がIULを見直す中で、この資産構築が十分にできていないものをよく見ます。
例えば、10年で合計$100,000の保険料を支払い、保険内で蓄積されたCash Valueがその半分にも満たないなど。
それらの多くは手数料の高さ、パフォーマンスが十分に反映されていないことが原因です。

④ 解約返戻金 (Cash Surrender Value)

保険内の実際使える資産 (Cash Surrender Value)が十分に増えているか。
保険は契約後一定期間 (Surrender period)の間 解約手数料がかかります。
手数料がかかる期間もその手数料も様々です。
保険内の資産(Cash Value)から解約手数料を引いた金額が実際に使える資産Cash Surrender Valueになります。
IULを使い学資、老後資産などの積立てをしている場合、その目的に実際に使える金額がCash Surrender Valueになります。
このCash Surrender Valueが計画通りなのか定期的に確認が必要になります。

保険は書き換えが可能です。保険内での資産(Cash Surrender Value)をそのまま別の保険へと移動させることが可能です。
IULで資産を構築中、今後のパフォーマンス低迷の懸念がある場合、もしくはパフォーマンスが十分でない場合、別の商品へと資産を移動さることが可能です。
その際、実際動かせる資産は解約返戻金 (Cash Surrender Value)になります。

最後に

IULは保険と投資を同時に行える優れた商品ですが、保険本来の目的であるリスクヘッジを、投資と合わせることにより、パフォーマンス次第で本来の目的が無効になる可能性を秘めています。
1990年代後半以降、IULは保険業界で人気商品となり多くの人が保有しています。一方で保有するIULが失効の危機にある人もいるのです。
お持ちの保険が将来設計に合っているのか、一度見直しをおススメします。

Disclaimer

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