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投資の成功は、「敗北感」との戦いの末にある

前置きです。
本稿は、投資それ自体を推奨する目的で書かれてはおりません。
投資をなさる場合は自己責任で、かつ生活資金には手を付けず、余剰資金で行うことを頭の片隅にでも留めておいて下さい。

なお……。
もし、全くの投資初心者で、「投資を始めたい」と思っておられる方は……。

山崎元、水瀬ケンイチ著 「難しいことは分かりませんが、お金の増やし方を教えて下さい!」を一冊、隅から隅まで読み終わってからでも遅くはありません。

と。
どこぞのアフィリエイトブログみたいな書き出しで始まりましたが。

これは私がおよそ4~5年前から、投資について語るとき、あるいは別のブログに書いたとき。必ず唱えていた文言です。

この著者、山崎元先生(私は勝手に、この山崎氏を『先生』と呼び敬愛しておりました)は、こちら、noteにも参加なさっており、私もフォローしておりましたが、先日、癌でお亡くなりになりました。
本当に、惜しい方を亡くしたものです。

なので今回は、私が山崎先生の著書を読み、投資へと踏み出した時から今までの思い出などを、一つ。
※本稿の見出し画像は、上記著書の書影をお借りしました。

いきさつは省きますが、親がしていた投資資産を引き継いだ時。
私は初めて、投資について考え始めました。

親の投資資産は、当時付き合いのあった銀行から勧められた、毎月分配型アクティブファンドで、オーストラリアドル、オーストラリア企業、日本郵政にそれぞれ振り向けられておりました。

見ると、まだ開始十年程度にもかかわらず、資産が2/3程度に減っておりました。
これはどうしたことか、と思い、投資について分かりやすく紹介した文献は何か無いか、と漁ったものです。

恐ろしいことに。
私は、まったくのこんな初心者状態から、ほぼ正解に近い一冊を引き当てることが出来たのです。
それが、上記、
「難しいことは分かりませんが、お金の増やし方を教えて下さい!」
でした。

山崎氏のこの提言が、間違っている、という人は、当時もブロガーなど数多くいました。
そして、そのことごとく、山崎氏の提言していた投資手法よりも現在、利益は下回っております。
(唯一、バフェット太郎氏だけは、昨今の戦争による石油関連会社の株価高騰で爆益をたたき出しているはずですが)

間違っている、といえば。
私自信も、山崎氏……いや。元の呼び方をさせていただきます。山崎先生の教えを守らず、いろいろな投資をこころみてきました。
そして、山崎先生の教え以外のことをした投資は、全て。
ものの見事に、全て、失敗、という結果に終わりました。
ある分野では資産がまるごと溶けてなくなり。
ある分野では、利益は出たものの微増に過ぎず、山崎先生の教えどおりの投資(インデックスファンドを愚直に買う。ただし積立はしてもしなくてもいい。自分がここだと思ったときにがばっと買う、でもいい)に大敗北、です。

山崎先生の教えに背いた者。私を含め。
その背景、失敗した理由とは、果たしてなにか。

それは、「成功体験がもたらした、『欲にまみれた人間の浅ましい姿』」そのものであります。

愚直な投資で、ある程度成功すると。
それが、学びの上でにしろ、あるいは山崎先生という師の教えそのままのコピー行為にしろ。
人間は全能感・万能感に支配されます。人間とは弱いものです。

そして、横を見ると。
おりしもアベノミクスからこっち、日経株の上昇、S&P500の上昇を受けて、インデックスファンド以上の上げ幅を記録するかずかずの個別株が横たわり、それで「儲けた!」と唱えるインフルエンサーであふれかえっている。
彼らに、「敗北した」気になるのです。

全能、万能であるはずの自分が。
こんなちんけな奴らに、利益で負けている!
そんなはずはない。

はい。馬鹿の理屈です。

そうやって、出来もしない、習ってもいないことに手を出して、
山崎先生がその著書で仰っていた、「競馬などの博打は遊興費として捉えろ」という言葉を援用し、「この投資(実際は投機)も遊興費やろ常考」などとうかつに手を出し、儲からないとナンピンし、敗北。
まあ、そういうことになるのです。

幸いにも。
山崎先生を信じる気持ちだけは片時も失わなかったおかげで、そういう「浮気」した部分以外の、「コア」として抱え込んでいたインデックスファンド。
これだけは、いまも愚直な亀さんのように、一定の成果を上げてくれています。
投資を本格的にやっている、という方からすれば本当に、本当に微々たる額ではございますが。

今で言えば、たとえばトヨタ。たとえばNVIDIA。たとえば日本の総合商社(かのウォーレン・バフェットが日本の商社株を買った時は、まさに商社の底値でした。慧眼恐るべし、です。それに比べてジム・ロジャース。ありゃぁダメだ)。米国債権。インド株。
日経平均やS&P500、全世界(オルカン)に比べて、明らかに上げ幅が大きい、と目されている(いた)個別株、債権、他はいろいろとあり、どれも魅力的な輝きを放っているように見えます。

また、S&P500なんていう玉石混淆をまるごと買うなんてまだるっこしいことをせず、成長株だけ買ったれ、などという悪質な(インデックスファンドに擬態した)クソファンドも多数存在します。

地道なやり方で成功したのに、それを忘れて自分は天才だと錯覚し。
自分より儲けている人間を横目で見て、猿まねをして、そして敗北する。

山崎先生もおそらく下敷きにしていた、インデックスファンド投資という考え方の先駆けを作った、バートン・マルキールの有名な著書、「ウォール街のランダム・ウォーカー」の、もっとも価値ある一説を最後に引いて、本稿を終わりたいと思います。

「物事の過去の動きからは、将来の動きや方向性を予測することは不可能である」
「市場成長率以上に儲けを出せる人はほとんどいない」

もし、投資をし続ける時、貴方が「敗北感」を抱え続けていたとしたら。
かつ、貴方が「投資開始時よりプラスになっていた」としたら。

それは、まぎれもなく貴方の投資が「成功した」証拠です。

※もし、
「難しいことは分かりませんが、お金の増やし方を教えてください!」
を読み終え、なお詳しい話を知りたい、という方がいらっしゃった場合は。
山崎元先生の他の著書、「お金に強くなる!」
水瀬ケンイチ氏の「お金は寝かせて増やしなさい」
インデックスファンド投資の始祖、
バートン・マルキール「ウォール街のランダム・ウォーカー」
チャールズ・エリス「敗者のゲーム」
あたり、すごく面白い読み物だと思います。

これだけ読んで、分かった気になっても私は失敗しました。
これは単に、私があほだということです。

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