夕暮れの桜
もう、六年も前の馬立駅の桜です。
次の年から、馬立駅の桜の写真を写したことがありません。
写しておいてよかったと思います。
このころは、妹も歩けていて、母も肺がんだとは思っていなかったので、毎週馬立駅に来るものだと思っていました。
この年の8月に妹が入院して、11月に母の肺がんが発見されましたが、母は見た目は元気でした。
翌年の2月に妹が退院したあとも夏までは普通に元気で、妹の介護も手伝ってくれました。
熱中症を二回起こして、食事が摂れなくなりました。
9月に入院した時に「ああ、年を越せるのかしら?」と思いました。
悲しいことに、長いこと介護の仕事をしていると、お年寄りの余命が見えてしまうことがあります。
母の目に力がありませんでした。
妹にどう伝えればいいのかと悩みました。
母の病状は驚くほど速く悪化しました。
介護認定が出るまえに天に召されてしまいました。
それでも、亡くなる二日前に妹を面会に連れて行くことができたので、母は心残りなく、猫の写真と自分のことを書いた本を、抱いて天国に旅立ったと思います。
今年は馬立に桜を観に行きたいと思います。
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