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束縛や嫉妬のないパートナーシップは存在するのか?

最初に女性と暮らし始めたのは26歳のころでした。2人でいる幸せを感じながら、自由が少なくなったことに気づきました。どこかへ出かけたり、好きな音楽を聞くにしても、まず相手の気持ちを考えてしまい、自分だけの時間は持てなくなりました。彼女に「好きなことをしてもいいよ」と言われても、わずかな差で2人でいるほうを選んでしまい、愛せば愛すほど自分で自分を縛っているような気がしたのです。

その後、3度の結婚・離婚を経験して、自分にとっていちばん苦しいことは、「束縛」されたり「嫉妬」されることだとわかりました。どういうわけか、僕はたくさんの人の役に立ちたいという気持ちが強く、パソコン通信(ニフティ)時代から、多くの人の質問に丁寧に答えてきました。一般的には身近な人をいちばん大事にするのかもしれませんが、身近な人も遠くの人も、同性でも異性でも、同じように親切に(大事に)したいと思うのです。

誰かを好きになることの素晴らしさ

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好きなひとがいるということ、好きなひとに出会えるということ、好きなひとに好きだと言えることの中には、大袈裟な言葉で言えば「世界を明るく照らす力」を見る。好きなひとには好きだと言う。それだけで、充分、この世に生まれてきた甲斐があったのだと思う。(坂爪圭吾)生きろより「生きたい」 - いばや通信
http://ibaya.hatenablog.com/entry/2016/12/31/102259

誰かを好きになることは素敵なことです。坂爪さんが言うように「世界を明るく照らす力」になるのかもしれません。そこで気になるのが、「ひとりしか好きになったらいけないの?」ということです。たんなる「友情」なら問題ないのかもしれませんが、同時に複数の人を「恋人」にしたいと思うのはいけないことなのでしょうか? 特定のパートナーができると、ほかの人を好きになったり、セックスしたりすることは、いけないことだと言われています。結婚している人なら「不倫」、恋人がいる人なら「浮気」や「二股」で、世間から非難されたり、バレないように隠しますよね。

そんなモヤモヤした気持ちに光を当ててくれたのが、婚前道中膝栗毛」をしていたカヤノヒデアキさんと藤井みのりさんでした。2人が旅をしていたときに、僕はソーラー発電などで電気を自給している人たちを訪ねていて、リヤカーにソーラーパネルを載せているのを知り、お互いの旅が交差する尾道で会うことができました。そして、みのりさんのブログがおもしろくて、愛読していたところ、次のような話題が出てきました。

パートナーのヒデアキのことはもちろん心から愛おしいし愛している。でも、他にも愛おしいという感情が溢れ出る異性は存在する。その瞬間、「あぁなんて幸せなんだろう、私は。」と、生きていることそのもののような幸福に浸るのだ。だから例えば5人愛おしい人がいたら、単純に私の幸福度は5倍になるのだ。もしヒデアキがそうだったら彼も5倍。この場合、2人で捉えたらそれは足し算よりむしろかけ算になるのかもしれない。(藤井みのり) 愛したいだけ、愛したい人を、愛したい。 - セックスレシピの作り方
http://sexrecipe.hatenablog.com/entry/2015/02/08/175058

みのりさんは、上のブログで「『モノのシェア』の次に来るのは、『人のシェア』だと思っている。(中略)そしてその先に『世界のシェア』が可能になるのではないかと思う」と書いています。今は何でも無償でやりますという人(過去記事「自分シェアリングのススメ」)が現れて、全国に呼ばれています。そのうち、性の関係を含んだ「人のシェア」が始まるかもしれません。そして私たちの意識が「奪う」ことから「与える」ことにスイッチした瞬間に、驚くほど簡単に平和な世界が現れるのかもしれません。

複数の人を愛する「ポリアモリー」という選択

最近になって「ポリアモリー」(複数愛)という考え方があるのを知りました。「ポリアモリー(polyamory)」とは、ギリシア語の「複数(poly)」とラテン語の「愛(amor)」に由来する、アメリカで造られた造語です。ポリアモリーとは、「浮気」や「不倫」とは根本的に違う愛のカタチだと言います。恋人や伴侶に嘘をついたり、隠すのはポリアモリーではありません。自分の交際状況をオープンにし、合意の上で築く人間関係です。

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 1.関係性を隠さず、全員がすべての関係に合意している
 2.順位をつけず、すべての人を誠実に愛している

「ポリアモリー」とは、複数の人と同時に恋愛をすること、つまり、「(恋愛的に)好きな人が、同時期に複数いること」だ。最近僕が思うのは、重要なのは決して「複数であること」じゃない、ということ。それはただの結果にすぎなくて、本当は、僕が選びとりたい生き方は、「(恋愛的に)好きな人は、ひとりでなくちゃいけない」という規範に、異議を唱えたい、ということなんだと思う。(文月煉)「独占しない」愛し方 ~続・僕は「ポリアモリー」~  - 僕が生きていく世界http://fuduki-ren.hatenablog.jp/entry/2015/10/12/235448

上の文月さんは、妻のほかに、現在3人の彼女と交際中で、ほかにも好きな人が何人かいるそうです。だからといって、一夫一婦(モノガミー)より複数恋愛(ポリアモリー)のほうが優れているというわけでもなく、ポリアモリーの権利を主張するわけでもありません。

それが嫌いとか、理解したくないという人はそのままでもいいけれど、望んだわけではないけれど、複数の人を同時に好きになってしまうという性質を持った人が、周囲の人の倫理観とくらべて、自分を責めてしまうときに、「君と同じような性質で、何とかしあわせに生きている人もいるよ」ということを、僕の生き方を持って、伝えられたらいいな、ということなのだと思う。(文月煉) 僕は「ポリアモリー」 - 僕が生きていく世界http://fuduki-ren.hatenablog.jp/entry/2015/04/28/235932

女性の立場から発信している人もいます。きのコさんは、男性Aさんと同棲しながら、別の男性Bさんとも付き合っているそうです。有料の記事もありますが、途中まででもけっこう読めるので、どんな暮らしぶりなのかわかります。2016年は「お付き合いした人:3人、両思いの人(お付き合いした人を含めて):4人、失恋した人:2人、片思い中の人:4人」だったそうですよ。

「これ以上、自分を隠そうとしたり治そうとしたり、自己否定していたら、死ぬしかなくなる。もう、”ポリアモリー”である自分を受け入れてあげるしかない。そして、好きになった人たちにもポリアモリーな私をオープンにしていこう。もし、誰からも受け入れられなくて、最終的に孤独死したとしても、一度きりの人生、自分に正直に生きたい 」「私は精神的におかしいのでは…」人生に絶望したあの日から|わたし、恋人が2人います。|きのコ|cakes(ケイクス)https://cakes.mu/posts/14406

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愛と平和のサル、ボノボ

ヒト科チンパンジー属は、ボノボとチンパンジーの2種がいるそうです。ボノボは中央アフリカ・コンゴ川の左岸だけに生息する類人猿で、「セックスと平和を愛するサル」といわれています。右岸にはチンパンジーとゴリラが暮らしていますが、そちらは食糧の奪い合いや縄張り争いが絶えないとか。

チンパンジーはオスが優位な社会で、他集団との争いも多く、子殺しやレイプなども行ないます。一方のボノボは母系社会ですが、オスとメスはほぼ対等で、力ではなく「性」でコミュニケーションを図って相手との緊張を取り除き、喧嘩が起きないようにしています。子孫を残す目的以外にそういった行動をとったり、正常位などさまざまな体位でセックスするのは、人間とボノボだけのようです。また、食べ物を子ども以外に分け与える動物も、人間とボノボだけのようです。

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おとなの雄同士や雌同士、おとなと子ども、子ども同士など幅広い組み合わせで、キス、オーラルセックス、性器の愛撫、二頭の雄がペニスをぶつけ合うペニスフェンシング、雄が雄の上に乗るマウンティング、発情期の雌同士が性器をこすり付けあうホカホカなどの行動が観察されています。性の問題を力で解決するチンパンジーと力に関わる問題をセックスで解決するボノボ - 共同体社会と人類婚姻史http://bbs.jinruisi.net/blog/2013/06/1147.html

平和を愛し、異性だけではなく同性同士でも性的接触を行なうボノボの行動から、ポリアモリーを人間の自然な恋愛のカタチのひとつとして考えている人もいるようです。好戦的で赤ん坊殺しも辞さないオス優位の集団を作るチンパンジー。平和を愛し、セックスが好きで、メスが主導権をとるボノボ。はたして、あなたはどちらのDNAを受け継いでいるのでしょうか?

僕は「セックスと平和を愛する」ボノボのように、
束縛や嫉妬をしない「ポリアモリー」として生きることにしました!

今年からアクティブホームレス」という活動を始めることもあり、新しいパートナーシップの在り方を考えていました。定住しないでずっと放浪する暮らしなので、好きな人ができたとしても頻繁に会うことはできないでしょう。なので、好きな人の幸せを願うなら、僕に依存することなく、相手にも自由に暮らしてほしいと思います。僕以外の好きな人ができたらその人と楽しく過ごしてほしいし、僕に会えないことで苦しんでほしくないのです。

もちろん、相手や周囲にそれを強要しようとか、無理に理解してもらおうとは思いません。好きな人には「好き」と言い、自分が「ポリアモリー」であることを伝えます。そのうえで、素敵な関係になれたら、きっと今まで以上に自分らしく生きられるような気がしています。ちなみに現在、付き合っている人がひとり、好きな人でまだ告白していない人が3人います。付き合っている人は「ポリアモリー」で、僕の恋愛を楽しく見守ってくれています。

複数のパートナーを同時に愛する 「ポリアモリー」の真実、著者が語る。 | FORZA STYLEhttp://forzastyle.com/articles/-/48584
同時に複数と性愛関係…『ポリアモリー』広がる新しい愛のカタチ - NAVER まとめhttps://matome.naver.jp/odai/2143950387685810701
ボノボに学ぶ、争いを平和的に解決する方法 - NAVER まとめhttps://matome.naver.jp/odai/2140750720469406701


長島龍人さんの小説『お金のいらない国』は、お金のこと、結婚と家族のこと、病気や病院のこと、学校や教育のことの4部作になっています。一部、寸劇になっているので、結婚と家族をテーマにしたものを紹介します。ぜひご覧ください。


最後に、ペルシャ語文学史上最大の神秘主義詩人と言われるジャラール・ウッディーン・ルーミーの素敵な詩を紹介します。

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Out beyond ideas of wrongdoing and rightdoing there is a field. I'll meet you there.
間違った行ないと正しい行ないを超えたところに野原が広がっています。そこで逢いましょう。

When the soul lies down in that grass the world is too full to talk about.
魂がその草のなかで横になれば、世界はあまりにも豊かで、もう言葉はいりません。


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