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嫌いから始まったもの

専門学校を卒業してからずっと、保育の仕事をしている。
職場は変われど、職種は全く変わらず17年。

好きな仕事なのですが、
実は、中学生の頃までは、なりたくない職業No.1でした、保育士って。

その頃、年に1度会うくらいの甥っ子がいて、保育園児で、とにかく理解できなくて苦手でした。
ちょっとしたことで怒るし、泣くし、私が宿題をしていると邪魔してくるし、鬱陶しい。保育園くらいの子どもって、本当に苦手。
それが当時の私だったのですが。。。

高校生になり、近所の自営業のラーメン屋さんにバイトに行くようになり、
そこで、店長の子どもたちと触れ合ったことが、子どもっていう生き物に対しての見方が変わった大きな転機でした。

店長の子どもたちも、保育園児。3人兄弟。
土曜日や日曜日のお昼のシフトの時は、この兄弟が遊びにくることが多かった。
で、こっちは働いているのに、色々と邪魔してくるし、急に叩いてくるし、もぉ・・・やっぱり苦手・・・って思いながら接していたある日のこと。

「なぁなぁ、この水って、お客さんに運ぶの?」
一番上のお兄ちゃんが聞いてきたことがきっかけ。このお兄ちゃん、当時は年長さん。
「そうだよ。」と言うと、「やってみていい?」と言ってくる。
「いいよ。あのお客さんに持っていてごらん」と任せてみた。

すると・・・
やんちゃな表情がガラッと変わって、すごく真剣に、両方の手で大事にコップとおしぼりを持って運び、スッと渡して帰ってきた。
できたことがとても嬉しそうだった。
それからも、お水とおしぼりを運ぶことをよく手伝ってくれたのだけど、
なんだか、真剣にやってる姿が、すごくいいなって思ったんだよね。

普段、してほしくないことばかりしてくるのに、こういう場面ではとても真剣にすることができる。面白いなぁ。
1番上のお兄ちゃんが手伝うようになって、2番目のお兄ちゃんも手伝うようになったり、最終的には、1番下の妹ちゃんが、すごく人見知りなのだったのだけど、とても懐いてくれて、「ママー」と抱きついてくるようになり、それを見た店長に「あなたは保育士になったらいい」と言われ、今に至ります。

なので、私の保育士を志したきっかけは、「嫌い」という感情の変化からでした。

子どもの虐待のニュースを見て思うのが、私も子どものことを、苦手とか嫌いって思っていた時期もあるので、やってはいけないことだと思うけれど、そこに至るまでの葛藤ってものすごくあったのだろうなということ。

子どもを産んだからって、全ての方が、子どもが好きになるわけではないと思うし、子どもが苦手、仕事してる方が楽って感じる方もたくさんいると思います。
それでいいと思う。(虐待はダメよ)

けど、今だから思うけど、「嫌い」とか「苦手」っていうことも、受け入れてみると、見方が変わったり、こんなふうに志すきっかけになったり、反対側に振り切るとものすごいパワーにもなるなぁと思ったりしています。

嫌いって感情も、悪くはない。

そんな感じで、子どもと日々、接しています。


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