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『基礎英文のテオリア』で学べること

『基礎英文のテオリア』では「品詞」「語順」という観点から英文を読んでいくための「考え方」を示しました。そこで、今回はこの部分を掘り下げて説明してみたいと思います。

「文法」と言ったときにどういうものを前提とするのかは、研究者によって異なる
場合があります。「これが文法だ!」という決定版のようなものがあればいいのですが、今のところ全員が納得するものがないのです。そのなかでも、まずは「入り口」として示すものとしてふさわしい考え方を、筆者たちで議論し合いながら示したのが「テオリア」です。

前置きが長くなりましたが、『基礎英文のテオリア』で前提としたことは次のような考え方です。

①語順(単語をどのような順序で並べるか)
『基礎英文のテオリア』第1章で示したように、日本語と英語では単語の並べ方が異なります。たとえば、Ken hit John.をJohn hit Ken.と単語を入れ替えたら違う意味になってしまいます。英語では文頭の名詞は「〜は」という意味を持つ主語で、動詞の後ろに来る名詞は(この場合は)「〜を」という意味を持つ目的語です。「は」や「を」という助詞がなくても意味がわかるのは語順がある程度決まっているからです。
語順は「意味」と大きく関係していますので、「意味順」という考えを
少し頭に入れておくと英文が読みやすくなります

②品詞(単語がどのような役割をもっているか)
一つ一つの単語には「品詞」という役割があります。たとえばbookという語は「本」という意味では「名詞」、「〜を予約する」という意味では「動詞」になります。He booked a room in advance.という文を考えたときに「このbookは名詞かな?動詞かな?」と悩む必要はありません。動詞であれば「原形、現在形、過去形、過去分詞形、現在分詞形」のように形が変化します。名詞であれば、冠詞がつく場合や、複数形の(e)sがつく場合があります。さらに、heという主語の後に来る語が動詞であることからも、bookedは動詞だとわかるわけです。他にもThe room booked by my dad was surperb.だとどうでしょうか。The roomを主語bookedを動詞とすることができませんね。この違いがわかるようになるのが『基礎英文のテオリア』です。上で述べたように、動詞は様々な形に活用をします。ここでは「過去分詞」としてbookedは前の名詞であるthe roomを修飾する「形容詞」の役割を担います。

『基礎英文のテオリア』の説明でつぎのようなものがあります。
このbackは、前置詞withの後ろに来ていること、前に冠詞のtheが付いていて、
後ろに名詞が続いていないことから、名詞として使われていると考えます。後ろにof your handが続いて〈A of B〉の形になっていることからも、名詞であることがわかります。

『基礎英文のテオリア』(Z会) 102ページ

backが名詞であるというときに、どのような判断の仕方であれば名詞と言えるのか、複数の視点から迫れるように説明がなされています。あえて複数の方法を提示しているのは、判断するための「武器」が増えていくと考えているからです。新しい文に出会ったときに〈A of B〉を見つけてAが名詞であると判断したり、〈冠詞+A〉でAを名詞と判断することができるようになるためです。

③動詞の後ろに来る要素(この単語がきたら、後ろに何が来るかを予測する)
たとえばprotectという動詞の意味を覚えるときにどのように覚えますか?「〜を守る」というだけではなく、protectには〈protect A from B〉で「AをBから守る」という使われ方があるのというように、後ろにくる要素まで知っておいた
方がいいですよね。こうした観点も『基礎英文のテオリア』では重視しています。Aという単語が出てきたら後ろにBという表現が続く可能性があるということを知っておくと英文の全体像がみやすくなります
また、Aという単語が出てきて意味を取り、ちょっと変だなと感じたときに「そういえば、Aは後ろにBという表現が来るはずだったことを思い出した。そうだ、このBが前に移動してB・・・Aという語順になっていたんだ」という読みができるようになります。左から右へスムーズに読んでいくことが難しい英文に出会ったときに、語順の転倒やAとBの距離が離れていることなどに気づいて、もう一度文頭に戻って検討できるようになることも大切な読解方法だと思っています。


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