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§2 意味上の主語と準動詞の関係をおさえる

SとVを見つけると文の骨組みが見えてきます。このときSとVの関係を主部(主語=s)と述部(述語=p)の関係というような言い方をすることがあります。これから主部をs、述部をpで表します。pはpridicate(述部)を表す語の頭文字です。
このsとpは一つの文の中に複数登場することがあります。たとえば次の文を見てください。

It is difficult for me to answer this question.

この文のSはitそしてVとしての述語動詞はisになります。ですが、for meとto answerは「私が答える」という「だれが・どうする」と組み合わせて考えることができますね。このときmeとanswerの間にはsとpの関係があると言えるのです。

§1で見たようにVとして扱うことができるのは「現在形」と「過去形」のみでした。しかし、to answerも動詞です。ただ、Vにはなれませんね。answerは「原形」です。一般にはto不定詞と呼び、準動詞として考えています。そうすると、動詞に準ずるわけですから、それに対応する主語が必要になります。ですが、準動詞にSを付けることができませんので、for meというような〈前置詞+名詞〉と表しておくしかありません。これを「準動詞の意味上の主語」と言います。

準動詞には不定詞のほかにも動名詞と現在分詞・過去分詞があります。この準動詞に意味上の主語をつけることができます。付けない場合もありますが、そのときは決まった解釈ができます。

point 4
主語+動詞+人+to doの〈人+to do〉がs-pの関係にあるとき
★動詞のタイプによってto doがdoになることがある。
I want you to clean the room.
〈you-clean the room〉
「あなたがその部屋を掃除する」というs-pの関係があります。
(これはHe pursuaded Ken to leave the room.のような英文も同じように考えることもできますが、文中の目的語と準動詞の意味上の主語が一致するから、意味上の主語が現れていないという説明も可能です)to不定詞の直前の名詞が意味上の主語になる可能性があることを理解しておけばよいでしょう。

point 5
〈for〜+ to do〉の形が使われるとき
いわゆる〈it is 形容詞 for 〜 to do〉の構文だけではなく、to不定詞の前にあるfor〜は意味上の主語になるという可能性を考えて読むようにしましょう。
★誤読してしまうポイントはforを見たときに「〜のために」と訳してしまい、全体の意味がおかしくなってしまう場合があります。forをみたら「〜のために」という日本語を思い浮かべるのではなく、「意味上の主語の可能性」を考えてから読みましょう。

point 6 
意味上の主語が明示されないとき
(1)Sと同じとき
I want to go home. 
go homeしたいのはSのIだから明示する必要はありません。

(2)一般の人を想定しているとき
It is difficult to master severl foreign languages.
複数の外国語をマスターするのは難しいということは大抵の人に当てはまります。このような英文を見たら「一般論」として筆者が考えているな、という意識を働かせて読んでいきます。

point 7
動名詞の意味上の主語は所有格の代名詞(目的格の代名詞もある)、人の場合は'sを付ける(付けない場合もある)、「もの」の場合は何も付けずにそのままで表します。

練習問題
太字部分の意味を考えてみましょう。

The purpose of the job interview is for the company to clarify if the person is suitable for the recruiting position.


The purpose of the job interview is for the company to clarify if the person is suitable for the recruiting position.

The purpose of the job interview がS
is がV
for the company to clarify を見たところで、the companyをs、clarifyをpとして「企業が明確化する」と読めばよいでしょう。
ここでfor〜の部分を「会社のための面接」というような意味で捉えてはいけません。for〜が出てきたら準動詞の意味上の主語かどうかを判断する、それで直後に準動詞がなければ「〜のために」と意味を捉えてもよいのです

if the person is suitable for the recruiting positionのifはclarifyの目的語の部分に入ってきた接続詞なので「名詞節」です。「〜かどうか」という意味。

意味)
面接の目的は、その人が募集職種にふさわしいかどうかを企業が明確ににすることです。

もう一つ問題をやってみましょう。

In order for there to be peace, our Palestinian neighbors must recognize the right of the Jewish People to a state in its homeland.
ベンジャミン・ネタニヤフ氏(イスラエルの首相)の2:45 PM · Nov 3, 2013.ツイートから

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In order for there to be peace, our Palestinian neighbors must recognize the right of the Jewish People to a state in its homeland.

in order to doという「〜するために」を表す不定詞の表現ですが、ここにfor thereという前置詞句が入っています。これはthere is 〜という構文のthereを意味上の主語として扱ったものです。つまりthereがs、be peaceがpの関係です。そうすると、In order that there is peace(平和がもたらされるためには)と読めばよいでしょう。

意味)平和を実現するためには、パレスチナの隣人たちが、ユダヤ人の祖国における国家の権利を認めなければなりません。


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