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§6 文頭のItを見抜こう

文頭にItがくると「それ」と訳したりしますが、それだけでは上手くいかない場合があります。ここでは文頭のItのパターンを確認します。

Point 14 文頭のIt
①「それ」という意味の代名詞で前の文に出てきた名詞(単数形)を受けたり、「ことがら」や状況を受ける
②形式主語で後ろに〈(for人)to不定詞〉かthat s+vが出てくる
③強調構文で It is(was) ○○ that〜の形になっている
④天候や距離、時間などを表す文でのIt
⑤It seems 〜の非人称構文

ここで形が似ているのが②の形式主語と③の強調構文です。どちらもthatが後ろに出てきます。

形式主語構文と強調構文の違いをまとめてみます。

It isの後ろに「副詞」が来ていたら「強調構文だ!」と考えれば問題ないですね。また、It isの後ろに「形容詞」が来ていたら「形式主語だ!」と考えればいいですよね。以下の例文で簡単に確認しましょう。

オバマ氏のツイートからです。全ての文にItがあります。これらのitはわかりますか?

①It’s clear our communities are crying out for change—and what that change looks like is up to us. That’s why ②it’s important to take a hard look at all the perspectives and proposals out there, even the ones we disagree with. ③It’s how we’ll come up with solutions that last.

①It’s clear our communities are crying out for change
から読んでいきましょう。
(1)文頭からclearまでが視界に入ってきます。
(2)It's clearで「clearが形容詞だから形式主語」と判断できます。
(3)「明らかなことはthat以下だな」
ここまでは秒殺です。
(4)our communities areぐらいまで視界に入ったらthatが省略されていてこれが主語だねと判断。
(5)「私たちのコミュニティがなんかしていることが確かなことなんだな」、どれ、何をしているのか続きを読んでみよう。
(6)are crying out for changeで「変化を求めて続けている」という意味だ。そうか、全体としては、確かなことがあって、それは何かというと、私たちの地域社会が変化を求め続けていることなんだな、ということか。

というような感じで読むことになるでしょう。

次の文です。
②it’s important to take a hard look at all the perspectives and proposals out there, even the ones we disagree with.
(1)it's important toが瞬時に目に飛び込んできます。「形式主語のitでto不定詞だから、to不定詞以下で重要なことが示される」と思いながら読みます。
(2)to take a hard look atぐらいまで見えたところでtake a look atにhardが入っていて「〜をじっくり調べる」という意味を確認します。
(3)all the perspectives and proposals out thereで至る所にある様々な視点や提案に目を向けると言うことだとわかります。
(4)even the ones we disagree withが「その提案などが自分たちとは意見を異にするものであっても」という意味として付け足されている。
というような流れで読むことができるでしょう。

そして最後の文です。
③It’s how we’ll come up with solutions that last.
さて、これをどのように読んだでしょうか?
まずは語句の確認から。
come up with〜は「〜を思いつく」という表現で、lastは自動詞で「Sが続く」という意味です。

文頭にitと後ろにthatが見えたら「形式主語」「強調構文」と見なしてみるという考えもありますが、ここでは勉強のために丁寧に見ていきたいと思います。

それでは、強調構文の可能性を考えて見ましょう。大抵、こうした場合は強調構文ではない、という判断をする流れだということがなんとなく想像できますよね。ですので、なぜ、この文を強調構文と見なせないのか、考えてみてください。

強調構文はit と thatを取り除いても「完全な文(要素が欠けることのない文)」ができあがります。
では、取り除いてみましょう。

How we'll come up with solutions last.

見た感じ、いけそうな気がします。Howからsolutionsまでを名詞節と捉え、主語になり、lastが述語動詞という考えです。
これは、1つだけダメな点があります。それは名詞節を主語にしたときに「三人称単数扱い」になるということです。そうするとlastsとなっていないため、ここでは強調構文と考えるのは難しいですね。

次に「形式主語」の可能性を考えてみます。
形式主語はIt is ○○ that s+v…という形で、That s+v… is ○○.という文に戻すことができます。
そこでThat last is how we'll come up with solutions last.とすることができないことに気がつきますね。つまり、thatの後ろに「主語」と「動詞」が来ていないということです。

それでは、このitを主語とする文はどうやって考えますか?天気や距離、時間を表す文ではないので、この考えも使えません。

それでthatを考えて見るとthatの後ろが「主語のない不完全な文の形式」になっていることがわかります。thatの後ろが不完全な文の形式の時は①強調構文と②関係代名詞の2つを考えます。強調構文ではないということがわかったので、関係代名詞だと考えておくことが妥当ですね。そうすると先行詞は複数形の名詞で直前のsolutionsだと言うことができます。

ここまで考えるとitとthatが呼応した構文のような見立ては成り立たなくなります。となると、考えられるitは直前の名詞、もしくはこの文の前までに述べたことを受けるitだということです。itを「そのことが・このことが」という意味にしてみましょう。続くbe動詞の後ろには形容詞もしくは名詞がくるのですが、ここでは、名詞のかたまりとしてのhow節があると考えましょう。SVCの第二文型です。名詞節のhowは「SVという方法」ですから、「このことが〜する方法である」という大枠で捉えられます。言い換えればIt is the way in which〜のような展開を考えるのと同じ発想です。
itが前の文脈のことを受けているということを考えてみると、「社会問題に対して自分たちと考えを異にする人たちの意見なども聞くこと」について述べていましたので、「こうしたことが持続的な解決策を見いだす方法なのである」と読むことができますね。

もちろん、英文を読み慣れてくると「It is how s+v」が見えたら「上で述べたことをまとめて結論を示したいのだな」という意識を持ちながら読めるようになります。

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