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[ことばとこころの言語学・6]どうして勘違いするの?

ことばを使わずにはいられない

私たちは<ことば>がないとすごく困ったことになってしまいます。家族に「今日の晩ご飯はみんなですき焼きを食べに行こう」ということを提案する時に、ことばを使わずにわかってもらうことができるでしょうか?絵を書いたり、ジェスチャーで伝えようとするかもしれませんが、ことばで伝えるよりもはるかに大変です。

好きな人に告白をする時にも、ずっと相手と見つめあって、そしてしばらくの沈黙のあと、二人がいつともなく「うん」という感じで頷く。それで二人は付き合ったりします。とてもロマンチックなことかもしれません。ですが、一方的に相手の目をじっと見つめていたら、ちょっと気味悪がられたりして、逆効果になってしまうかもしれません。そんな時は、「好き」という感情を自分の言葉で相手に伝えると、うまくいくこともあるし、うまくいかないこともあるでしょう。やはり、ことばを使って相手にメッセージを届けた方が、誤解も生まれないかもしれません

また、自分の好意を寄せている人に親切にしてあげたときに、その人から「助かった。本当にいつもありがとう。またお願いしていい?」なんて言われたりすると、自分に恋心があるのでは?と勘違いしてしまうことがあったりします。どうして私たちは言葉を文字通りに理解せずに、そこに潜んでいるメッセージまで推測してしまうのでしょうか

このように、私たちの生活と言葉は切っても切れない関係だということがわかったと思います。

ことばは何のためにある?

もう少しことばについて考えてみたいと思います。私たちが悩んだりした時に、頼れる友人に相談をします。相談をすることで気持ちが楽になったり、友人から暖かい言葉をかけてもらい、傷を癒してもらうことがあります。これは、自分の心の中にある、なんかもやっとしたものを言葉にすることで、肩の荷を降ろすことができるのです。また、相手の言葉で慰められたりするのです。つまり、言葉には自分の心や人の心を癒す役割が備わっています。

その逆もあります。酷い言葉を相手にわざとぶつけ、相手の心を傷つけてしまうことがあります。また、傷つけるつもりで言ったわけでもないのに、結果として傷つけてしまうこともあります。結果として傷つけられた人は、落ち込んだり、酷い時には自ら命を絶ってしまうことがあるでしょう。ことばで人を殺してしまうことすらできるのです。

言葉は常に私たちの心へ働きかけてきます。小説が好きな人は、文字を追っていくだけで小説の世界の中に入っていくことができます。好きな歌手の歌を聴きながら、通学や通勤をすることで気持ちを入れ替えて「今日も頑張ろう」という気持ちになることができます。こうした言葉の働きについて少しずつ考えを深めていきましょう。

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