中国モノづくりスタートアップの圧倒的物量

 Amazonや楽天で買い物をするときに、ランキング上位の商品を見て「安くて良い評価もついているけれども、知らないメーカーで商品説明の日本語もおかしい・・・。大丈夫かな?」と思ったことはないでしょうか。
 今日は、そんな製品は中国から来ているよというお話です。

 筆者は現在、国内のビジネススクールに所属しているのだが、同級生の2割が中国人で、仲のいい友達も多いため、中国事情を聴く機会がある。
その結果、中国はいつの間にかに日本を追い越し、「中国人未来に生きてんな」状態だと思うようになった。

■日本の未来?中国の今
既にご存知かもしれないが、中国は電子マネーが一般化しており、現金はほぼ使用しない。
宅配サービスは、発達を極めており、タピオカミルクティーの一杯から注文可能(ドライバーの位置はスマホのアプリに表示される)。
極めつけは、リニアモーターカーだ。日本で未来の乗り物と持てはやされた、あのリニアモーターカーが中国では既に実用化されている。我々も上海を訪れれば乗車することが可能だ。(後日注:リニアを実用化している国は他にもあるようです汗)

もちろん、中国は国内の格差が大きく、田舎の人はその技術を享受できていないだろうし、上記点以外では、まだまだなところも数多く存在するだろう。しかし、それでも日本が先を越されてしまっている点が出始めていることは明確で、その勢いを考えると、今後日本が突き放されるなんてことも容易に想像がつく。
 では、スタートアップの事情はどうなのか。こちらもその勢いは変わらない。

■ものづくりスタートアップの街“深圳”
 中国で発展している3都市は上から日本海、東シナ海沿いに、北京、上海、香港の順で並んでいて、緯度でいうと青森、鹿児島、沖縄(八重山諸島)位離れている。そして、一番南にある香港から電車で30分くらいの場所に深圳(シンセン)という街がある。ここに中国のものづくりスタートアップが集結している。有名どころでいうと、何かと話題のHuaweiや、ドローンのDJIなどがある。
 深圳は、中国当局が改革開放を進める中で、経済特区として指定されたことから工業化が始まった街である。これにより外資系メーカーが、深圳に工場を置き始めた。そして工場が工場を呼び、いつの間にかに、深圳に行けばどんな部品でも集まるというものづくりスタートアップが集まる素地が作られていった。その後、2000年代に入り、VCが深圳に拠点を置いたことによってスタートアップの街になっていったという。今、この深圳で生まれたスタートアップ企業の製品が世界に広まっていっている。

■既存プロダクトをより安く、洗練させる深圳スタートアップ
 ものづくりスタートアップという言葉を聞いた時に、多くの人は例えば日本のGITAIのような、まだこの世界に存在していない新しいデバイス作りに挑戦している人たちを思いつくかもしれない。しかし、中国では既存のプロダクトをより安く、より洗練して提供するようなモノづくりスタートアップが活躍している。日本でも有名になってきたモバイルバッテリーなどのサプライ品を製造しているAnkerが代表的だ。彼らはよい製品を安く提供することで、世界中に販路を広げている。

■深圳スタートアップの海外進出
 アリババやテンセントと言った中国のITスタートアップ達は、中国当局のWeb規制を盾に、海外の新規参入者の脅威を受けず急成長した。

モノづくり系スタートアップたちも、Webを利用して海外に打って出ている。彼らの活躍が垣間見れるのがAmazon上だ。Amazonは、FBA(full fillment by Amazon)という、Amazonの倉庫に商品を送って、商品ページを作成すれば、決済も配送もAmazonが行ってくれるサービスがある。彼らはこのシステムを利用して、世界中に自社の商品を供給している。日本のAmazon.jpでもこの仕組みがあるため、皆さんも彼らから商品を購入したことがあるかもしれない。例えばマウスを買おうと思った時に、ブランド名を聞いたことがなくて日本語の説明文が少しおかしい、でも値段が安いなんて商品を見たことはないだろうか。そんな商品の出品者ページを見てみると、その8割は深圳に所在を置く会社である。
 ここで多くの人はでも中国の安い製品だと品質がどうなんだろうと不安に思う方も多いだろう。もちろん、レビューの評価が低く、品質が疑われる製品もある。しかし、その一方で評価が高く、ランキングの上位に入っている製品も珍しくない。中国製品が“安かろう悪かろう”だったのは過去の時代だ。
 こういった動きは、特にコモデティ化した製品において顕著で“安かろう、必要な機能はそろってるであろう”製品が、多種出品されている。同じ価格帯では、ブランド力のある一部の国内メーカーでも苦戦せざるを得ないだろう。現状、ハイエンドモデルであれば、まだまだ負けることはなさそうだが、低価格帯でシェアを取った中国のスタートアップが、その利益をR&Dに投入し始めたらどうなるかはわからない。
 
 中国スタートアップのより安く、より洗練された製品が、世界に広がるのは自明だ。また彼らが世界中で生存競争を繰り広げることによって、新たな技術が生まれてくることもあるだろう。そんなダイナミックな世界は、とても楽しそうだ。

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