海藻録 四月十三日


1.本日記の目的について

筆者は令和6年(2024年)4月8日より、国立宮古市海上技術短期大学校大17期専修学生として、入学を許可されました。海技士に必要な素養を涵養すべく、学校、及び同校附属寮にて2年間を過ごすこととなります。
なお、同校は国立との名称ですが、文部科学省認可の学校ではなく、国土交通省認可の職業能力開発短期大学校となります。従って、学位付与はありません。学位付与の代わりに、資格取得(4級海技士(「航海」或いは「機関」))を目指すものとなります。

筆者が在籍する第17期学生は全45名、高校卒業後に入学する学生が圧倒的多数です。ですが大卒、あるいは筆者の如く社会人を経て入学する学生も少なからずおります。無論女子学生も複数在籍しております。

筆者が入校した目的はまた別記するものとして、本学校生活に興味をお持ちの読者諸賢、並びに将来海技士資格取得のために情報を求めておられる読者諸賢、そして筆者自身の備忘録として、記すことを目的としています。

2.筆者の簡易な自己紹介

筆者は東京にて生まれ、小学校から高校まで都内で過ごしました。高校卒業後、京都市のキリスト教系の大学・大学院にて7年間の学生生活を過ごした後、同市内にて営業担を6年間、その後、東京に戻り、某学術団体の事務職員として3年間勤務いたしました。現在30代半ばの男性で、独身です。
身内に船舶あるいは海事関係に従事する者はおらず、この業界は未踏の分野になります。なぜ、船員になることを目指したのかは折を見て記載したいと考えています。

3.学校生活について

上述の通り、本校は職業能力開発短期大学校になります。また船員という特殊な職業のため、寮生活を通じて、船員に求められる素養を涵養することを目的としています(自宅から通学生もおります)。
寮の部屋は複数人使用(筆者の部屋は3人部屋)、毎食の喫食時間、入浴時間、及び門限も厳格に規定され、毎晩当直教官による巡検があります。
休日であっても点呼、就寝前の巡検があります。
掃除の方法、寝具の畳方から制服や作業着の着用法、挨拶に至るまで細かく教官たちから指導されます。

上記の集団生活もさることながら、整理整頓や掃除が苦手な方には良いリハビリになるのではないか、と思えるくらい徹底した掃除の指導がされます。これは船内の衛生・環境保持はもちろんのこと浸水、異常の早期発見といったことの癖を形成するための目的であります。便器や水回りも素手でモップや雑巾掛けを行うために、潔癖な性分の人には幾分辛いかもしれません。

筆者自身はこうした生活に無縁な自由気ままな独身生活を謳歌していましたが、それほど苦労はありません。指導の一つひとつが合理的なものですし、何より教官たちよりも実母の方が生活面での指導が厳しかったからです。笑

4.科目及び実習について

本校の主目的は4級海技士資格取得となります。同資格取得には乗船期間が必要となることから乗船実習があります。水産高校等を卒業した学生を除き、乗船未経験の学生が圧倒的に多いため、船乗りとしての基礎を学びます。
並行して資格に必要な座学として、海上法規、航海術、天文学、工学、英語等を修める必要があります。

高校卒の学生が多く、教育研究機関ではないために、大学レベルの知識を求められているわけではありません。教官曰く、しっかりとした予復習を行えば十分に理解できる内容とのことです。

5.今後の目標

筆者は40代で大学に入り直し、ラテン語、漢文、哲学(ストア派)、歴史、数学等を再度勉強したいとも思っております。現在の学校生活は実学系の科目が多く、また娯楽も少ないため、休日は節約も兼ねて読書と逍遥、体力錬成に励んでいき、中年による学校生活を満喫したいと思います。
暫定的ですが、在校中の目標は下記の3点です。

  • 英語検定1級資格を取得する。

  • 古今東西の古典を読了する。

  • 五首程度の漢詩を作る

余談:タイトルの由来について

旧日本海軍連合艦隊参謀長を務めた宇垣纏中将(1890- 1945)が先の戦争中に記しておられた「戦藻録」をもじっております。
うたかたのような淡白で、徳あることを目標に人生を歩んでいくことを祈念して命名しました。

2024.4.20更新