「EMOTION」の調性について
TVアニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』2期 第7話挿入歌、「EMOTION」(三船栞子: CV.小泉萌香) が公開されました。
MVや歌詞はもちろん、転調・スケール・ピッチ・テンポの変化など面白い要素の多い欲張りセットのような楽曲ですよね。本稿は「調性ラブライブ!」として、"調性"についてまとめておこうと思います。
※それぞれの調性にどういった意味を感じるのかは人によって違いますし、筆者は専門家でもなければ中の人ではなく、この文書は怪文書です。それらを踏まえた上で、本稿の情報を参考に深読みして楽しんでもらえればと思います。
「EMOTION」各箇所の調性とその意味
各箇所の調性を挙げていきます。転調部分の進行など詳細は Scrapbox の方に分かる範囲でまとめているので、気になる人はそちらも参照してみてください。
イントロ前半
変イ長調
夢想的で繊細。叙情的で壮麗。生き生きとして新鮮。
他の変イ長調の曲・・・「夢が僕らの太陽さ」「Sing & Smile!!」
イントロ後半
ヘ短調
悲惨な調。憂鬱、暗い情熱。
他のヘ短調の曲・・・「Starlight」「オードリー」「決意の光」「Eutopia」
ホ短調
悲歎、悲痛、不安。速い曲では激烈なものとなる。ショパンの好んだ調の一つ。
他のホ短調の曲・・・「NO EXIT ORION」
Aメロ、Bメロ
ト長調
若人の調。誠意、瞑想、優美、静かな田園的な風情。春の調ともいう。
他のト長調の曲・・・「Love U my friends」「虹色Passions!」「La Bella Patria」「I'm still...」
サビ
変イ長調
夢想的で繊細。叙情的で壮麗。生き生きとして新鮮。
他の変イ長調の曲・・・「夢が僕らの太陽さ」「Sing & Smile!!」
貴方に届けEMOTION~アウトロ前半
イ長調
輝かしく確信と希望に満ちる。単純、純粋、快活。誠実な感情に適す。
アウトロ後半
ホ短調
悲歎、悲痛、不安。速い曲では激烈なものとなる。ショパンの好んだ調の一つ。
まとめ
(イントロ前半とアウトロ後半をカットすると、)
「EMOTION」は憂鬱を表すヘ短調・不安を表すホ短調から始まります。Aメロは若さや誠実さ・優美さを表現するト長調、Bメロでは少しホ短調に戻りつつ全体的にはト長調で進みます。そしてサビでは叙情的で生き生きとした変イ長調になり、転調して輝かしく確信と希望に満ちたイ長調に至る、という流れになっています。
「EMOTION」は転調が多くそれだけでも十分に楽しめる曲ではありますが、どんな調に転調しているのかを深読みすることで更に解像度を上げて楽しむことができるのではないでしょうか。
ちなみにイ長調は、五度圏でホ長調と隣の調です。
補足:三船栞子さんの他楽曲の調性一覧
決意の光・・・変ホ短調、ヘ短調
翠いカナリア・・・嬰ト短調、ロ短調
MONSTER GIRLS・・・嬰ヘ短調
引用元
門馬直美(1992)『音楽の理論』音楽之友社.
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