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OMMという新たな魅力

イギリス発祥のOMM(オリジナルマウンテンマラソン)。
https://theomm.com/the-omm/
本国では50回を超える伝統のあるイベントですが、日本では2014年から始まり、今年で6回目を迎えました。
https://theomm.jp/omm-japan/
この大会に、筆者は第一回から最上位クラスに出続けています。今年は総合8位という成績でした。
https://theomm.jp/omm-japan-2019-kirigamine-kurumayama/

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 6回を数えるうちに参加者も第一回の3倍近い1300人となり、今年からついに本国と同じ最上位クラス、ストレートEliteが置かれたことからも、かなり完成形に近づいているように思います。

 一方で、今年の総括でもコースプランナーの小泉氏が触れているhttps://theomm.jp/wp-content/uploads/2019/11/omm2019.pdf のですが、OMMは一見、オリエンテーリングのようでありながらも、オリエンテーリングとは違います
 マウンテンマラソンという名前通り、TJAR http://www.tjar.jp分水嶺トレイルhttps://www.bunsuirei.com などと同じ山岳レース、もしくはアドベンチャーレース https://www.adventure-race.net の一形態と捉える方が適切かもしれません。

 今回はその魅力を、一オリエンティアから見た目線で、お伝えしたいと思います。
 ちなみに運営者の福西さんが2017年にOMMについて書いた記事もありますので、そちらも https://fukunishi-yuki.blogspot.com/2017/12/omm.html

■魅力その1・異業種交流ナビゲーション大会
 まずオリエンティアとして楽しいのが、みんなが一生懸命ナビゲーションをしている姿に出会えることです。

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実は、参加者の中でオリエンティアは全体の1%程度。残り99%は、アドベンチャーレーサー、TJAR出場者、山屋、トレイルランナーなどなど。これだけの人たちが、一同に会すイベントは他にはありませんし、それがみな森の中でのナビゲーションを楽しんでいる!この様子を見るだけでも出る価値があります。
 最近流行のフォトロゲイニング http://photorogaining.com もそんな感じなのですが、OMMの方がより深い山中で行われるため、皆がもっとチャレンジしている姿が楽しめます。
 ちなみにオリエンティアにとってOMMのナビゲーションはそれほど難しくありません。ただ5kmもの長大なルートチョイスや地図に書かれていない山の状況を想像したアプローチなどが必要なため、意外と差がつくこともあります。でも、それはオリエンティアにとっては楽しみでしかありませんよね。

魅力その2・エクストリームな体験
 OMMは2日間のイベント。オリエンテーリングでも土日の2日間大会はよくありますが、それよりもどっぷり2日間浸かれるのが魅力です。
 オリエンテーリングでの競技時間はせいぜい長くても2時間程度ですが、OMMでは初日の朝8時にスタートしてから、次の日の昼頃(人によっては夕方)ゴールするまで、今年のストレートEliteの場合だと、2日間で計60km、累積標高3000m、11時間以上もたっぷりナビゲーションが楽しめます。

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 さらにテント泊を含めれば、実に30時間以上が常に競技中!といっても過言ではありません。夜、質素な食事でどれだけ補給し、狭いテントでどうやって疲れを取り、さらに零下にもなる辛い状況で、死なずに朝を迎えられるか、まで競技のうちなのです。これこそロマンではないでしょうか。

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魅力その3・ギアを揃える楽しみ 
 そしてOMMで最も楽しいのが、ギアを揃えること。コンパスや靴、ウエアぐらいしか工夫のしようがないオリエンテーリングhttp://orien-advent.hatenablog.com/entry/2019/12/08/113254 と比べて、圧倒的です。
 それも単に山道具を揃えるというレベルの話ではありません。このギア選びがレースそのものに大きく影響します。

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 ちょっと詳しく説明しましょう。
 OMMには必須装備なるものがあります。https://theomm.jp/omm-japan/#eventdetails  2日間を山で過ごすためのテントと食事、それに安全装備一式を全て持つのですが、これがなかなかのもの。それを満たそうとすると、だいたいこんな感じの装備になります。
※山道具屋で手に入る比較的軽量な装備で揃えた場合
リュック700g(30L程度)、寝袋600g(3シーズン)、ビビイ250g 、ダウン上下600g(待機中)、雨具上下450g 、ヘッドライト150g 、コンロ&燃料&クッカー350g 、救急セット150g、 着替え予備250g(下着、タイツ)、マット300g、テント700g(1.4kgのテントを二人で分けた場合)
 以上で、だいたい4.5kg、これに水2L、食料・行動食1〜1.5kgを加えると、7.5〜8kg程度となります。
 ここまでは、登山経験がある場合、もしくは財力さえあればなんとかなります。問題はここからです。
 実は、OMMでちゃんと走ることを考えるなら、7kgを切るくらいまで絞るのがキモです。もちろん走れないことはないのですが、だんだん厳しくなります。もっというと5kgに近づけば、限りなく幸せです。さらに5kgを切れれば神といっていいでしょう。もちろんそのためには涙ぐましい努力が必要となります。      そもそも、不思議なことにギアは軽くなれば軽くなるほど、割高になっていきます。例えば、テント。1.4kgほどのテントならせいぜい4〜5万円ですが、最軽量の600gのテントに手を出すと軽く10万超えです。ダウンにしても380gくらいなら1.7万くらいで買えますが、240gのものだと4万円。シュラフにしても・・・とキリがありません。もちろん、お金をかけずに軽くする手があるにはあるのですが、マニアックすぎる話はこちらをご覧ください・・・ http://orien-advent.hatenablog.com/entry/2017/12/09/182434
 というわけで、OMMへのギアに関しては、走りきるための軽量化11月の高原でのキャンプという絶妙なバランスを取るために、常に検討を迫られます。それを面倒と思えるか、楽しみと捉えるかは人それぞれですが、私は最高に楽しいです

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魅力その4・性別、年齢を超えて勝負ができる
 楽しみの最後にあげたいのは、性別も年齢も超えて競えるその幅広さです。山岳ナビゲーションレースのOMM。そのレースの鍵となるのはなんでしょうか?
 7kgもの荷物を背負って7時間以上も走り続けることを考えると、それほどスピードは出せません。またナビゲーション技術もオリエンティアにとっては、それほど難しいものを要求されません。そのため、レースで求められるものは、持久力や山の技術だと思います。

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 持久力に関しては、とにかく2日間走りきる体力をつけることが必須(走りきれてませんが)。でも、それは性別・年齢の差は関係なく、とにかく距離を踏むことで向上することができます。
 そして山の技術とは、キャンプ能力、長時間行動できるノウハウ、そしていざという時のリスク管理などです。このオリエンテーリングとは全く無縁の技術が、結構大きくレースに影響します。
 そうした理由からか、私自身もこの6年間、年齢を重ねているにも関わらず、年々順位やタイムが向上中です。正直、オリエンテーリングで若者と競うのは年々厳しくなってきていますが、OMMではまだまだ若いものには負けません(負けてますが)し、向上の余地があると思っています。

 以上が、ざっと思いつくOMMの魅力です。でも一方で、オリエンテーリングばかりやってきたものにとって、それなりの大変さもありました。

大変な点その1・長時間行動に向けてのトレ
 先程の魅力4の裏表なのですが、長時間山岳レースに向けたトレーニングは、オリエンテーリングとは違ったものになります。特に必要なのが、山でのトレーニングです。持久力、山の技術を上げるには、実際に山に入ることが大切になります。これはいくらオリエンテーリングの大会に出ても養われないものです。

大変な点その2 ・大雑把な地図
 OMMで使うのは2.5万地形図。専用地図に慣れているオリエンティアにとっては結構なストレスになるかもしれません。第一回のOMMでは、新たに作られた主要道が地図に記載がなく驚いたり、磁北線がない年もありました。でも近年は、GPSを使った道の調査がかなり精密に行われたり、そもそも通行可能度の良い森で行われたりで、ナビゲーションでの不満は改善されています。特に今年は地図によるストレスはほぼありませんでした。(ちなみに本国の地図は4万分の一で等高線間隔15m。磁北線なし!です)

大変な点その3・お金がかかる
 これも魅力その3の裏表ですが、何もないところから揃えると10万以上の投資が必要となります。先ほど挙げたリストを新しく揃えるなら18万円くらいになるはずです。靴とコンパスだけのオリエンテーリングから比べればハードル高いといえるでしょう。ただし、揃えたギアは登山に活用できるし、キャンプ等も楽しめるようになります。あれば世界が広がること間違いなし。オリエンティアは意外とアウトドアに興味がないものですが、正直、自分もOMM以降アウトドアに目覚めました。今は焚き火が大好きです。

OMMの楽しみ方
 という訳で、OMMの魅力などを見て来ましたが、最後にオリエンティアがOMMを競技としてどう楽しむか、について書いておきましょう。
 まずは順当に、ストレートEliteクラスで上位を目指すのはどうでしょう。実際、ストリートEliteの上位はオリエンティアが占めています。でも、彼らは単なるオリエンティアではなく、トレランやその他の山岳レースで上位の成績を収めている選手が中心です。つまり、結果を求めるにはそれなりの準備が必要です。ちなみに僕らのペアはフィジカルでは最底辺ですが、それでもなんとか戦えているのは、山の技術と山岳レースの経験を積み上げて来たからかと思います。また、トップオリエンティアに続くアドベンチャーレーサーの方々も地図読み技術を上げてきており、フィジカルに勝る彼らと勝負するのは、なかなか大変です。その意味では、いま大変面白い争いになっていると思います。

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 とはいえ、そんなトップレベルの競い合いだけが楽しみではありません。
このエクストリームなレースをコンプリートすることもかなりの達成感につながります。その意味で、新鮮な体験と言えます。
 OMMは、トレランやマラソンのような普通のレースとは違います。ナビゲーション技術を活かしながら楽しめる、登山やマラニックとの狭間にあるスポーツではないかと思うのです。
 山を楽しむオリエンティアも増えている昨今、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう?



 ということで・・・チャンレジしたくなりました?なりましたよね?

 そんなあなたのために!「特別に」今年のOMMのストレートEliteの様子がよくわかる動画を用意しました。30分とちょっと長いですが、ぜひご覧ください!

以上、長々と(動画まで見たら40分以上!?)お付き合いいただき、ありがとうございました。いつかOMM会場でお会いしましょう!


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