初恋

私田中邦雄(53歳)には初恋の人がいた。
その人は幼なじみのT子だ。
とても笑顔が素敵な人だった。

そういえばT子何してるかなと考えていた
ちょうどその日に

私は今年新入社員で入った新卒の後輩と
ご時世に反して呑みに行った。

その後輩はT子にとても似ていた

最初は職場の愚痴で盛り上がっていた中
たわいもない会話から
彼女の母親に話題が移り
その流れで家族写真を見せてもらった。
そこにはなんとT子と
瓜二つな女性がいた。

こんな偶然があるのか。?
私は最初は動揺していたが、
T子の幸せそうな顔を見ると
何故かほのぼのとした気持ちになった

しかし
そのほのぼのとした気持ちは
父親の職業
家系を知った瞬間
全て怒りに変わった

彼の家系は『資産家』の家系だったのだ

家族写真に写っていた
T子のあの私の大好きな笑顔は
『労働者』の汗によって
もたらされた
『汚い』笑顔だったのだ

許せない
資産家が許せない
憎い憎すぎる

その日
プロレタリア革命を
成し遂げることを
私は心に深く誓った


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