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本と旅と、届けたいこと

こんばんは、スロウ編集部 たつたかんなです。突然ですが今日は、私たちがつくっているツアーについて知ってもらえたらなと思い、この記事を書くことにしました。先週末に開催された、亜麻の糸紡ぎツアーを振り返りながらお話していきますので、良かったら読んでみてください。

亜麻を紡いで糸から布へ
これが、この体験ツアーのタイトルです。岩見沢市の工房 亜麻音さんを訪ねて、亜麻の繊維から糸を紡ぎ、小さな布を織っていく約3時間の体験です。

先週末、ツアー中のひとコマをTwitterに投稿したところ、たくさんの反応をいただきました。糸車で紡いでいるのが亜麻の繊維なのですが、「亜麻」と聞いてピンとは来ない方も多いかもしれません。

私も最初は、そんな一人でした。今から3年前、スロウ53号で亜麻を特集したことをきっかけに、亜麻の花のきれいさ(表紙の淡い水色の花)、亜麻仁油やリネンの原料になること、かつて北海道で広く栽培されていた植物であることを知りました。53号取材時、先輩の取材について行って、出会ったのが工房亜麻音の小野田さんです。

小野田さんは、亜麻を栽培するところから、糸を紡いで布を織るまでを一人で手がける作家さんです。小野田さん曰く今回の体験は、「亜麻から布を織る作業のいいとこどり」。最初は楽しいことが一番だから、と考えてくれました。「ダイジェスト版だから、ちょっと駆け足でいきますね~!」。

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まずはこんな感じで、亜麻の茎を砕いて梳いていくと…
(この機械も小野田さんが自作したもの!)

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繊維を取り出すことができます。これが〝亜麻色〟。うーっすらと淡い金色がかかったような、きれいな色です。そして何より、さっきまで茎だった植物がこうやって繊維になることに、思わず感動してしまいます。

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繊維をとったら、糸紡ぎ。糸車を使う作業はなかなかコツがいるのですが、工房亜麻音の小野田さん(写真左)が隣で「いいですよ~!上手上手!」と励ましてくれるうちに、少しずつ掴めていきます。次第に皆さん夢中になって、工房にはカタカタと小さな糸車の音と、「楽しくなってきた…!」なんて声が時々響きます。

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糸を紡いだら、いよいよ布へ。機織り機を使って、とんとんとんっと、布を編んでいきます。糸紡ぎの時、ちょっと太くなったり、細くなったりした部分も布の表情として、いい味を出してくれるんです。再び、黙々と布を織る静かな時間が続きます。

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布ができたら、最後に仕上げ。ヘアゴムやブローチにできる、くるみボタンに仕上げていきます。糸から自分で手作りしたボタン、とーってもかわいいんです。ものづくりの喜びや、一から生み出すことの達成感が、たくさん詰まった小さなくるみボタン。じっと眺めると、心がじんわり温かくなるような愛着が湧いてきます。(後ろに写っているのは亜麻の実です)

これにて、今回の体験は終了。詳しい開催日や料金については、こちらをご確認ください。もちろん、サイトからご予約もできます!

スロウなツアーってなんだろう

体験中、参加者の方が小野田さんとお話される姿を見ていて、気づいたことがありました。

「亜麻に興味を持ったきっかけって、何だったんですか?」「亜麻の栽培って、難しいですか?」「北海道の気候に合った植物ってところが、なんだかとてもいいですね!知れて良かったです」。

皆さんが、取材中の編集者みたいだなぁって思ったんです。いつもひたむきで飾らず、一生懸命。それでいて、どこまでも楽しそうにものづくりと向き合う作り手の方たちと出会うと、どんどんどんどん、知りたくなってしまうんですよね。どんな思いが、どんな物語があるんだろう。いいな、素敵だな。気づいたら、そんな気持ちでいっぱいになってしまうんです。

そんな取材帰りの、ほくほくした気持ち。その気持ちを分かち合えるのが、スロウなツアーなのかもしれません。

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帰り際、小野田さんが参加者の皆さんに、小さな箱を渡してくれました。中に入っていたのは、亜麻の実や、亜麻の繊維、亜麻についての説明書き。「駆け足だったから、お家に帰った後でも亜麻のことを思い出せるように」という思いが込められています。それから、「春に蒔くといいですよ」と、亜麻の種も小分けにしてくれました。

帰りの車でも、2人で延々と亜麻について話していました。来年の春、亜麻を植えてみたいです。これからも亜麻について興味を持ち続けると思います。

体験後、参加者の方からいただいたメールの一部です。体験して終わりではなく、心のどこかにそっと、新しい興味や考え方のヒントが芽生えていたなら。スロウのツアー部門として、こんなにうれしいことはありません。

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私たちは、これからも変わらず、本づくりを続けていきます。そしてその隣で、ツアーも届けていきます。大切にしたいのは、「足元の豊かさ」。真ん中にあるのは、いつだってスロウです。

ツアーと言うと、なんとなく華やかな印象があるかもしれませんが、中にいる私たちも、作り手の皆さんも、ちょっぴり控えめだったりします。だけどそれぞれ、北海道を好きだという気持ちやものづくりへの思いは、深く広く持っています。私たちなりの精一杯で、届けていきたいです。

ついつい長くなってしまいました。読んでくれて、うんうんと思ってくださった方がいたら、お願いがあります。「こんなツアーあったらいいな」、「やってみたいな」というアイディアがあったら、コメントやSNSなどなどから私にこっそり教えてください。

もちろん、こっそりじゃなくても大歓迎です。また、ツアーのお話時々ここで書きますね。それでは、またお会いしましょう。



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