パワハラ 管理者が何もせず静観しているのが一番悪い?

パワハラ防止研修をよく依頼されるので、過去の判例をよく読むのですが、2018年に判決が出たゆうちょ銀行(パワハラ自殺)事件にはいつも考えさせられます。

ゆうちょ銀行に6千万円賠償命令 従業員自殺で:日本経済新聞

これはたぶん明らかなパワハラがあったと思われるのに、それが業務上の叱責であったことから加害者は責任を問われず(パワハラでないとされた)、一方企業は安全配慮義務違反があったとされて債務不履行責任に基づく損害賠償金として約6000万円の支払いを命じたものなんです。(控訴→のちに和解)

微妙ですよね・・・

これに関する詳しい解説は以下。

ハラスメント判例|ゆうちょ銀行(パワハラ自殺)事件|ハラスメント対策のクオレ・シー・キューブ

※ちなみに↑↑↑上記は日本で初めて「パワハラ(造語)」という言葉をつくった会社さんのサイトです。

公益社団法人全国労働基準関係団体連合会のサイトにもデータが掲載されています。

パワハラを受けて自殺した労働者の相続人による損害賠償請求が争われた事案(労働者勝訴)

私は過去にパワハラする側の人を何人か見てきましたが、一度スイッチが入ったときの感情的な行動は尋常ではなく、その最中に横から誰かが制止しても絶対無理。発しているエネルギーの圧がすごい。。。だから怖い。

そして実際のところ、ちょっとやそっとの注意程度では決してすぐには改善しないと思う。

なのに加害者は沙汰なしで企業が問われるっていうのは、理不尽な気もするけど、要は「見てないでなんかしろ(対応)」ってことなんだよね、判例も法律も(今回もパワハラ防止法もそれが骨子)。

だから要は、本人のその激情的な行動が直っても直らなくても、管理監督者や企業はパワハラを知ったら必ず「なんかしなければならない(対応)」のだ。(しかも場合によっては長期的に)

パワハラの存在よりも、周りが何もしなかったことの方が不法行為になるのだから、本当にこれからの企業さんは気を付けなくちゃいけないと思うよ?

まぁ、それを説明するための根拠として、この判例をいつも引き合いにだすんだけど、個人的には微妙だなぁ・・・といつも思います。考えさせられる。

そういう問題提起のうえでは、私の好きな?格好の判例だと思います。

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