歴史修正主義が人を惹きつけるのは、それが心理療法の効果を持っていることによるかもしれない

歴史修正主義が人を惹きつけるのは、それが心理療法の効果を持っていることによるかもしれない。

The psychological equivalent of revisionist historiography would be therapies that would convince the patient that whatever personal failings they have, or social mess they have created for themselves, are the fault of someone else and that they have just been passive victims. Undoubtedly, such therapy may be effective in improving self-esteem, relieving guilt and instilling a sense of self-righteousness. However, the positive therapeutic effects of this narrative do not contribute anything to its probability.(Tucker 2008)　修正主義者の歴史記述の心理学的同等物は、患者が持っている個人的な失敗、あるいは自分自身のせいで作り出した社会的混乱は他の誰かのせいであり、彼らはただ受動的な犠牲者であったことを患者に納得させる治療法である。間違いなく、そのような治療法は、自尊心を改善し、罪悪感を和らげ、独善の感覚を植え付けるのに効果的だろう。ただし、この物語の肯定的な治療効果は、その蓋然性を何ら裏付けるものではない。

だからこそ、歴史修正主義の記述する歴史を「正しい」と受け取り、支持するか否かを、人が判断するとき、その基準は治療的価値観に基づくようである。歴史学の方法に従った評価ではない。

Revisionist historiography usually relies on therapeutic values instead of the standard consensus-generating cognitive values that historians of diverse backgrounds agree on. Therapeutic values rate historiographic propositions according to their effect on the psychological well-being of their intended audience. Frequently-used therapeutic values in historiography include: the denial of historical guilt, for instance through denying the Holocaust; the promotion of self-respect, for instance via national myths; and the elimination of a sense of alienation and absurdity, for instance through conspiracy theories (Tucker 2008)　修正主義者の歴史記述は通常、多様な背景の歴史家が同意する標準的なコンセンサスを生成する認知的価値ではなく、治療的価値に依存している。治療的価値観は、対象となる聴衆の心理的幸福への影響に応じて、歴史学的命題を評価する。歴史記述で頻繁に使用される治療的価値には、次のようなものがある。たとえば、ホロコーストを否定することによる歴史的罪悪感の否定、国の神話を通じた自尊心の促進、そして陰謀論による疎外感と不条理の排除

歴史学の世界では明白な誤りであり、虚構でしかない「修正された歴史」を、どれだけ歴史学の世界で否定されようと、「修正された歴史」の支持者たちは捨てることがない。それは、彼らの判断基準が歴史学の認知的価値ではなく、自らの治療的価値によっているからではないのか。