ハイツ高山@blanClass

2019.2.10 昼間。入る時にテキストを受け取る。部屋に光が溢れてて、談笑してるのがスタッフなのかお客さんなのか分からない、ふわふわと部屋の中を見て回る。吊るしてある写真を覗き込む。

始まっても始まったかよく分からない、でもなんだか静かにしてると建物に溶けて自分の存在が薄くなる。部屋が明るくてどれぐらいライトが壁を照らしていたか覚えてない。途中で壁の年表に気がつく。
傾いた天井、むき出しの鉄筋、白い壁。テキストによるとそろそろ人が通い出す。ああそうか、人が来るのを楽しみに待っていたのね。

実験します。今日は「カレーは飲み物か」ですと高山さんがいう。高山さんはエプロンをしている。光が溢れた部屋がなんだか楽しくてつい挙手して参加する。
ちょっと火の通りが甘い人参以外は飲み込める、というのが私の見解。ルーが美味しくて飲むように食べることができるのがカレー。飲み物じゃないけど、飲み物って言いたい気持ちもわかる。

実験のシルエットを写し取る高山さん。わあ、私の形までも。

何か音が聞こえて心地いい。視力を緩めて耳を澄ます。どこから聞こえてくるのか。建物の声なのか。同じ部屋に人がいるのだけれど、私と空間もしくは空間だけになっている気がする。

高山さんが野菜の札をペタペタ床に貼る。トマト、さっきのカレーはトマトの味がした。いいなあ貼りたい。畑は豊か何かを育てるのは豊かで楽しい。

誰も来なくなって静かな時間。天井ばかり眺めてしまう。何も起こってないのに何もかもが起こっている。時間も場所もどうでもよくて、そこは白くてふわっとしてて、ただなんだか懐かしかった。

終わって、建物が終わって、一つの始まりから終わりまでを見届けたはずなのに、寂しい気持ちよりずっと楽しかった。ありがとうって思った。
晴れて眩しいこの日に、色んなことを見せてくれてありがとうって思った。
それは高山さんに思ったというより、場所に一緒に居てくれた人たち含めた空間に思った。

これは夜も絶対見たいと、違う日の夜を予約してふあふあしながら家に帰った。