メモリの量によってゲームのパフォーマンスがどれだけ変わるのか?
はじめに
ゲームのパフォーマンスが思うように伸びない……
でも何が原因か分からない。
そんなことよくありますよね?(ない?)
まずは交換が比較的容易なメインメモリの容量によって、どれだけパフォーマンスに差が出るのか少し検証していきたいと思う。
(そもそも)メモリって何?
コンピュータが計算をするときに、作業用データを展開する場所だ。
コンピュータの頭脳である「CPU(中央演算処理装置)」を人だとすると
メモリは「作業机」、ハードディスクやSSDなどのストレージは「書庫」に例えられることが多い。
メモリの容量が広い=それだけ多くの作業用の資料を手元に置いておける、ということであり、作業効率が向上する。
また、データのアクセス速度についても補足しておく。
一般的に、メモリへのアクセス速度はストレージに対するそれよりも格段に速い。
そのため、足りないデータをいちいちストレージに取りに行くよりも効率的に処理をすることができる。
ベンチマーク環境について
さしあたり手元にある検証機にてベンチマークテストを実施した。
OS: Windows 11 Pro
プロセッサ: AMD Ryzen 3 3100 (4コア8スレッド、定格3.6 GHz)
マザーボード: ASRock A520-ITX/ac
メモリ: DDR4-2133
グラフィック: AMD Radeon RX480 (PCI-Ex16, Gen3)
今回は、メモリについて「8 GB」「16 GB(8+8)」の2パターンで検証していく。
実測
ベンチマークテストの条件として、下記のソフトウェアを用意した。
・ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
有名MMORPGの公式ベンチマークソフトウェア。
動作環境として、ウィンドウモード(1920x1080)、画質はプリセットの「高画質(デスクトップPC)」を使用。
・Steam VR Performance Test
Steamが出している、VR(仮想現実)の忠実度を計測するソフトウェア。
今回の検証環境は、一応Steam VRのシステム要件を満たしている。
・VRChat
VR環境で他ユーザーと交流するアプリケーション。
デスクトップモード、1920x1080モニタの全画面表示で測定。
メモリ16GBの場合
・ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
途中カクつきもなく、スムーズに動作した。
続いて、動作中のパフォーマンスグラフについて下記に示す。
これを見ると、CPU使用率(赤線)については20%以下で横ばい、
対してGPU使用率(緑線)はほぼ頭打ちといった状況だ。
しかしベンチマーク結果は良好であり、このグラフィックボードは全力を出し切ったと言っていいだろう。
また、システムメモリ使用率(黄線)についても微増で済んでおり、現段階においてはパフォーマンスに与える影響はないと考えられる。
・Steam VR Performance Test
これも問題なく完走した。
続いて、動作中のパフォーマンスグラフについて下記に示す。
これもFF XIVベンチマークの時と似たような結果となった。
しかし、見てわかる通りGPU使用率が完全に頭打ちになっており、このGPUの能力としては限界だと考えられる。
・VRChat
これについてはベンチマークなどはできないが、適当なワールドをいくつかはしごして動作を確認した。
一部フレームレートが落ちることがあったものの、おおむねストレスなく動作した。
続いて、動作中のパフォーマンスグラフについて下記に示す。
前回のベンチマークソフトとは異なる傾向が見られた。
具体的には、
・GPU使用率が常時頭打ちではなくスパイク状になっている。
・システムメモリの消費が大きい。実測6.3GB→9.5GBの増加であった。
ということから、GPU能力に余裕があると見ることができ
またシステムメモリを大きく消費する性質であることが確認できた。
メモリ8GBの場合
・ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
スムーズに動作したが、メモリ16GBの場合と比べてスコア微減となった。
続いて、動作中のパフォーマンスグラフについて下記に示す。
GPUやCPU周りのデータについては、ほぼ16GBと変わらなかった。
しかし、実測ベースでスコアが 5.96%の微減、平均FPSが4.19%の微減となっており、システムメモリの量がパフォーマンスに影響したものと考えられる。
・Steam VR Performance Test
問題なく完走した。
また、結果についても16GBの時とほぼ同様であった。
続いて、動作中のパフォーマンスグラフについて下記に示す。
グラフは16GBと同様の形となった。
このベンチマークはシステムメモリの容量に大きく左右されないのかもしれない。
・VRChat
これについてはベンチマークなどはできないが、16GBの時と同じワールドをはしごして動作を確認した。
一部フレームレートが落ちることがあったものの、おおむねストレスなく動作した。
続いて、動作中のパフォーマンスグラフについて下記に示す。
メモリの使用量について、16GBの場合と違いが見られた。
16GBの時は、実測6.3GB→9.5GB、3.2GBの増加であったのに対し、
8GBの場合は、実測4.9GB→7.0GB、2.1GBの増加となった。
同じ環境なのに1.1GB分のデータはどこに行ってしまったのか?という疑問があるが
Windows 10から登場した「メモリ圧縮」という機能による効果か、あるいはスワップアウトしている可能性がある。
どちらにしても何らかの処理が裏で走るものと推測できるため、(微々たるものかもしれないが)その分の動作遅延が発生する可能性はある。
おわりに
ファイナルファンタジーXIV ベンチマークでの計測によって、メモリの大きさがパフォーマンスに与える影響が多少なりともあるという結果が得られた。
今回用いたテスト環境はベンチマークソフトとロギングプログラムしか動いていない環境であるため
実環境においては、ほかのアプリケーションによって利用できるシステムメモリがさらに小さくなっている可能性もある。
そのため「パフォーマンスが向上するかは環境次第だが、メモリは多いに越したことはない」という、昔からの言い伝えは真実であったと考える。
メモリは(規格さえ間違わなければ)増設・交換が比較的容易な部品だ。
16GBのメモリが1枚3千円台と、価格が暴落している今がチャンスかもしれない。
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