Fediverseへの若年層流入について

はじめに

弊サーバの連合タイムラインに流れてきた断片的な情報を基にした感想文です。
それゆえ最新の情報ではなかったり、事実と異なる場合もあります。
また、筆者は法律の専門家ではなく、解釈の誤りがあるかもしれません。

何が起こっているのか

若年層(特に小中学生か)に人気のWebサービス上で、Fediverseの実装(おそらくMisskeyのサーバーのひとつ)が話題になり、相当数のユーザーの流入が発生したとみられる。

流入元のWebサービスにおいては、利用するためにメールアドレス登録が不要であり
また内容についても、ある事柄に対してアンケートを取り、それに対して議論するというシンプルなものであり、手軽さから若年層の利用者が多かったものと考えられる。
一般的にサービスを利用するためには利用許諾契約(EULA)を結ぶ必要があるが、該当Webサービスには存在せず
強いて良く言えばかなり自由度の高いものである。

また、流入先のサーバーにおいてはEULAこそ存在するものの、登録時にメールアドレスが不要であるという点については共通していた。
他の大多数のFediverseサーバーにおいては、ほぼメールアドレス認証が必須である点において大きく異なる。

また、学校等で広く導入されているWebフィルタリングサービス(i-FILTER等)においてFediverse上のサーバーがブロックされにくく、組織内ネットワークからのアクセスが容易であるからという推測もできる。

何が問題になっているのか

流入元のWebサービスにおいては管理が緩いらしく、若年層の間でわいせつ画像のやり取りが行われているという噂もあり
同様のことがFediverse上でも起こってしまわないかという懸念が表明されていた。

また、若年層がFediverse上の実装を使用するにあたり、規約や制限等を設けていないサーバーが多く、どのような扱いをすればよいか戸惑いが見られた。


我が国における法規制

では、若年層のインターネット・SNS等の利用について、法で規制されているのだろうか。
少し調べてみた。

いわゆる「青少年インターネット環境整備法」および関係する法令により規制を受けるものと考えられる。
青少年インターネット環境整備法・関係法令(内閣府)

青少年が安全に安心してインターネットを利用 できる環境の整備等に関する法律」においては
「青少年(18歳に満たないもの)がインターネットを利用して青少年有害情報(犯罪行為、出会い系、わいせつ物など)を閲覧をする機会をできるだけ少なくすること」を旨とし、サーバー管理者はコンテンツの非表示化や削除など、閲覧できないようにするための措置をとるよう努めなければならない、とされている。

また、いわゆる「プロバイダ責任制限法」においては
個人情報(氏名・住所・電話番号等)などのセンシティブな情報や、私事性的画像記録(いわゆるわいせつ画像)が流通し権利の侵害が発生した場合については、送信防止措置(非表示化や削除など)を講じなければならない、とされている。

ざっと見たところ、具体的な年齢制限を明記したものはなさそうだが
サーバー管理者に対し、青少年(18歳に満たないもの)が有害情報に触れることを防止しなさい、という努力義務が課されている。

余談ではあるが、EU・欧州経済圏においてはGDPR(16歳)の制限が、米国においてはCOPPA(13歳)の制限があり、利用するにあたり年齢制限が設けられている。
(これはMastodonのプライバシーポリシーに明記されている)

また、組織(学校等)の規則によっても制限されるのではないかと推測している。


どのように対応していけばよいのか

各サーバー管理者のポリシーによるところだが
青少年(18歳未満)も利用可能とした場合の運営のハードルが上がると考えられる。
(青少年有害情報の流通に対する監視ならびに送信防止措置を断続的に講じる必要がある)

だからといってむやみに青少年を締め出すのは得策ではないと考えており
今般のスマートフォンの普及で、若年層がインターネットと接する時期がかなり早まっており、ネットリテラシーネチケット(死語)に対する理解がされる前に利用しているのではないかという懸念がある。
そこで、Fediverseをある種の学びの場として活用してもらい、これからより高度になっていく情報化社会を生き抜くための糧としてほしいという思いもある。

そのためには

  • (必要であれば)年齢制限等の策定、明記

  • やっていいこと、わるいことの明文化

  • (既存の利用者は)手本になるような行動を示す、適切に指導する

ことが求められるのではないかと考える。




他プラットフォームの年齢制限について

では、世の商用プラットフォームでは利用者の年齢についてどのような制限を設けているのだろうか。

Twitter

Twitterサービス利用規約において、「いかなる場合においても、本サービスを利用するためには少なくとも13歳(Periscopeの場合には16歳)以上でなければならないものとします」と明記されている。

Tiktok

TikTokサービス利用規約において、「本サービスは、13歳以上の方(特定法域向け補足条項において追加的な制限が課される場合があります。)のみが利用できるものとします。」と明記されている。

Instagram

利用規約において、「13歳以上であるか、または自国でInstagramを利用できる法定年齢に達していること。」と明記されている。

LINE

利用規約において、「お客様が未成年者である場合は、親権者等の法定代理人の同意を得たうえで本サービスを利用してください。」と明記されており
満20歳であれば保護者の同意なしで利用可能、20歳未満であっても保護者の同意があれば利用可能となっている。

(余談だが、2022年4月1日より成年年齢が18歳に引き下げられる。)

mixi

利用規約において、「本サービスに入会できるのは、満15歳以上の者に限るものとします。」と明記されている。

グローバルに展開しているSNSにおいては、COPPAやGDPRの年齢制限に則った設定がされているように見受けられる。
国内サービスの年齢基準についてはよく分からない。
LINEはコミュニケーションツールとして広く使われているので、保護者の同意があれば使用可能になっているものと思われる。


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