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子どもたちの話し合いがすごかった話

「大変だー!」と、学校から子どもが帰ってきました。何事か聞いてみると「公園のブランコの鎖が全部ねじられてるの。しかも4つのブランコ全部。これは事件だ!」と鼻息が荒い。なんだ、そんなことかと内心思いながら「ブランコに乗れないとみんな困るから直してみたら?」と言うと、やってみる!と出かけて行きました。

しばらくして子どもとその友だち数人が「これは都市伝説かもしれない」とか話しながら家に来ました。どうやら一ヵ所のねじれを直して次を直そうとすると最初の鎖がまたねじれてしまうらしい。これはもう人間の仕業じゃない、呪いか都市伝説の生物によるものだということになっていました。

それから作戦会議が始まりました。校長先生に相談してみる、犯人が現れるまで見張っている、お祓いをしてもらう、都市伝説の生物の仕業だとしたらみんなが怖がるからここだけの秘密にしよう、など真剣です。

話の展開は奇想天外ですが、話し合いは素晴らしかったんです。まずは「どう思う?」とお互いの見解を聞き合います。このとき絶対に相手を否定しないし、いったんその子の見解にみんなが乗るんです。「校長先生に相談する」の提案には、「そうだよね、校長先生ならお金持ちだし子どものために新しいブランコ買ってくれるかも」「ブランコっていくらくらいなんだろうね」と。また「都市伝説のあの生物の仕業かも」というのには「あいつの弱点は何だっけ?」「身長はどれくらい?自分たちが闘える相手か」と本を持ち出して調べる。笑いも交えながら、どうしたらいいのかを話し合っているのです。しかも途中からは忘れないようにメモをし始めたりして。

先日私が参加した地域の集まりでは、意見を言いたがらない人、誰の話でも自分の話にすり替える人、いつの間にか帰った人…。バラバラでまとまりがなく、最後は強引にまとめてお開きとなりました。

だから余計に、子どもたちの話し合いに感動しました。
自分一人でブランコを直しに行って、一人じゃ無理だから仲間に助けを求める。そしてみんなで意見を言い合って解決策を練る。自分の意見に固執することなく、相手の提案にも全力で参加する。
単純なことだけれど、これが大人になると難しいんですよね。それを当たり前にしている子どもたちから、思いやりとか共有する時間を楽しむ心がけの大切さを再確認しました。

その後、子どもたちは再び公園に向かって修復を試みていました。全部は直せなかったけれど、協力して直ったブランコを前に「よかったねー」と話していました。達成感いっぱいの顔が誇らし気でかっこよかったです。

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