見出し画像

東南アジアを結ぶ海底ケーブルルートの変化について

海底ケーブルは可能な限り障害となりうるものを回避しつつ最短ルートで構築するのが経済性が良い。そのため日本と東南アジア諸国を結ぶ海底ケーブルは日本、台湾東岸沖、台湾とフィリピン間のバシー海峡を抜けて、南シナ海に入り、香港、ベトナム、タイ、マレーシアなどに分岐しながらシンガポールに到着するルートで構築されてきました。その一例として、SJC2ケーブルのルート図がわかりやすいので拝借。

KDDIのSJC2ケーブルにケーブル建設に関する報道発表資料から抜粋

 2022年2月の段階でhttps://www.submarinecablemap.comを見てみるとバシー海峡を超える海底ケーブルは10ケーブルシステム15ルートが既にサービス開始していて、追加でSJC2とADCの2つが構築が進んでいます。

考えるにバシー海峡~南シナ海を経由すると経済性はよいのだろうが新たにケーブルを引くには2つ問題がある。

① バシー海峡が地震が非常に多いエリアであること。海底ケーブルは基本的に海底に這わしているので、海底を震源とする地震が起きた時に海中で地滑り等が起きるとケーブルが切断されてしまう。2006年末に台湾沖で地震が起きた時に実際に大半のケーブルが切断され、回復までに1カ月以上かかるようなことが起きた。参考までにどんな被害が起きたかは2007年のAPRICOT(APACのネットワーク運用事業者のコンファレンス)でのテレグローブ社のSylvie LaPerrière氏の発表内容が詳しい
 https://www.apricot.net/apricot2007/presentation/conference/Plenary2-Lappierre.pd 

② 昔に比べると南シナ海が色々と騒がしい海になってきたという事である。騒がしい海は新たなケーブル敷設等許認可取得にどうしても時間がかかる。

そんな事情もあるのか、東南アジアのケーブルルートに変化が起きつつある。フィリピン東岸沖からセレベス海、ジャワ海を経由してシンガポールに至るルートを以下の3つのケーブルが最近に発表になり採用している。ECHOとBitfrostは米国向け、Apricotは日本向け

バックアップ的な要素もあるルートなのだろうけど少しずつ世の中が変わりだしているのだなぁと思わせる出来事である。

Echo

Bitforst

Apricot

ジャワ海ルートにどこまで需要があるのかは不明だが興味深い話だなぁと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?