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冬の琵琶湖のスター オオワシ

 関西で野鳥を観察する者にとって、冬の気になる存在が、長浜市湖北町に現れるメスのオオワシです。今年(2023-2024年シーズン)で、26年連続の飛来。標高324mの山本山を寝ぐらとするので、「山本山のおばあちゃん」と呼ばれています。

枯れ枝にとまるオオワシ(2023/1/22)
飛翔するオオワシ(2024/1/5)

 オオワシは、カムチャッカ半島などのロシア東部で繁殖し、越冬のために北海道や本州北部に現れます。オオワシと言えは、流氷の上で死に絶えた動物の肉を複数のオオワシやオジロワシで奪い合うというテレビの映像が浮かびます。最近もNHKの「ワイルドライフ」という番組で、交通事故などに遭遇した絶滅危惧種のオオワシなどの治療を行う活動をしている釧路市の「猛禽類医学研究所」が取り上げられていました。やはり、オオワシは、私にとっては北海道というイメージです。

 そんなオオワシが、琵琶湖の湖畔近くにいるとなると気になります。2023/11/27の朝日新聞デジタルの記事によると、1998年1月に初めて飛来し、26年連続。初飛来したときに既に成鳥だったようで、32歳以上。野生のオオワシの寿命が約30年ということなので、高齢のオオワシです。
 オオワシは、すぐ近くにある湖北野鳥センターが、ウォッチングしていて、ここ数年は今年が最後かもという言葉がネットに書き込まれて、それでも冬に帰ってきて、帰還を喜ぶということが続いています。

 26年前に、強風に巻き込まれるなどのトラブルに見舞われて、琵琶湖にたどり着いたが、琵琶湖は凍らないし、魚は豊富だし、山本山という安全な寝ぐらもあるので、気に入ってしまって、翌年から毎年来るようになったのだと想像しています。山本山には、11月の下旬に帰って来て、2月下旬に旅立ちます。
 北海道のオオワシの映像を見ると、複数のオオワシが食べ物をめぐって争う姿をよく見ますが、山本山では、トビやカラスがちょっかいをかけてくるぐらいで、オオワシは動じず、穏やかな姿です。
 逆に穏やか過ぎて、オオワシを見に行っても、山本山の山腹の枯れ枝に止まって動かず、たまに食べ物の魚を捕まえに琵琶湖まで飛び立つことがありますが、戻ってきて、魚を食べ終えるとまた動かなくなるという感じです。
 厳しい越冬時期に穏やかな生活ができるので、長生きなのかもしれません。

琵琶湖で魚を捕まえ帰ってきたオオワシ(2023/1/22)
捕まえた魚を足で掴んでいます。(2023/1/22)
低い位置の木で食事(2023/1/22)
木の上では安定しないのか羽ばたきながら食べています。(2023/1/22)
25分ぐらいかけて、魚を食べました。(2023/1/22)
食事中、カラスが現れましたが、動じず。(2023/1/22)
食事の後、定位置に戻るオオワシ(2023/1/22)
2羽のトビに絡まれるオオワシ(2015/12/26)
トビに絡まれるオオワシ(2015/12/26)

 オオワシは、日本で一番大きな猛禽類で、オスが全長約90cm、メスが約100cmです。翼を拡げると2.5mぐらいの大きさです。頭、背、腹、翼の下半分が黒色、翼の上部、尾、足が白色。嘴は大きく黄色です。

オオワシ(2020/12/11)
オオワシ(2019/12/29)
オオワシ(2023/1/22)
オオワシ(2024/1/5)

 山本山のおばあちゃんは、メスなので、全長1mで、かなりの大きさです。山本山が標高300m以上で、中腹より高い位置(200mぐらい)にとまっても肉眼で存在を確認できます。特に、横を向くと翼上部の白色と嘴の黄色が目立って、オオワシだとわかります。

山本山(2023/1/22)
山本山の枯れ枝にとまるオオワシ(2015/12/26)
トリミングしたオオワシ(2015/12/26)

 こんな感じで、冬になったら湖北まで出かけて、オオワシを観察しています。

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