「ピリリ ピリリ」と鳴く野鳥 サンショウクイ
関西で夏鳥として観察できる野鳥にサンショウクイがいます。
夏鳥なので、当然、日本には春から秋の滞在です。ところが、裏山で真冬にサンショウクイの鳴き声が聞こえます。聞き間違いかと思ってたら、訪れるたびに聞こえているので、サンショウクイがいることは間違いなさそう。
遠距離を飛べなくなったサンショウクイが、仕方がなく越冬しているのかと思っていたら、どうも違うようです。正体は、サンショウクイではなく、リュウキュウサンショウクイのようです。
サンショウクイとリュウキュウサンショウクイについて、書いてみたいと思います。
サンショウクイとリュウキュウサンショウクイは、同じサンショウクイ科に属し、リュウキュウサンショウクイは、サンショウクイの亜種とされています。
サンショウクイは、東南アジアで越冬し、春になると日本に帰ってきます。一方、リュウキュウサンショウクイは、沖縄や九州南部で留鳥として生息していた日本の固有種ですが、最近では北上して、生息範囲を拡大しているようです。
私が真冬に聞いた鳴き声は、北上してきたリュウキュウサンショウクイということです。
サンショウクイは、体長約20cm。背は灰色、翼は黒色、胸・腹が白色、頭部はオスが黒色、メスが灰色です。他の野鳥と比較するとスリムな体型をしています。
一方、リュウキュウサンショウクイは、サンショウクイとほぼ同じことような配色ですが、胸が暗灰色です。
サンショウクイとリュウキュウサンショウクイの見分け方は、①胸の色、②額の白色部分の大きさ、③眼の周辺部分の3つが比較的容易に見分ける方法のようです。
胸の色は、サンショウクイが白色、リュウキュウサンショウクイが暗灰色です。
額の白色部分の大きさは、サンショウクイが、リュウキュウサンショウクイに比べて広いという違いがあります。
眼の周辺部分は、リュウキュウサンショウクイが眼の上下に白いラインがあるのに対して、サンショウクイはありません。
また、リュウキュウサンショウクイの方が、サンショウクイより黒味が強かったり、メリハリのない低音の鳴き声という違いますもあります。
サンショウクイを漢字で表すと「山椒食」。漢字を見ると、山椒の実が大好物で食べているように思えますが、実際は違います。
なぜ、名付けられたかと言うと、サンショウクイの「ピリリ ピリリ」という鳴き声から、「この鳥は、きっと山椒の実を食べて、辛くてピリリと鳴いている」のだと考え、山椒を食べる鳥、山椒食と名付けられたようです。
実際は、林や森の中で虫を捕まえて、食べています。
関西でサンショウクイ、リュウキュウサンショウクイを観察できるのは、林や森の中になります。また、渡りの時期に都市公園で出会うこともあります。
サンショウクイは、簡単に出会えそうで、実際には姿を見ることができない野鳥というイメージです。
サンショウクイの鳴き声は、遠くからでも聞こえます。森林の中を歩いていると「ピリリ ピリリ」と鳴き声が響いてきます。サンショウクイだと思って、周りを見渡すと姿はなし。頭上を見上げると、木と木の間を飛ぶサンショウクイの姿。結局、通過していく姿を確認しただけになります。
飛翔時は、必ずと言っていいほど、鳴きながら飛んでいくので、サンショウクイの声が聞こえたら、上空を見ると姿を確認することはできます。とは言うものの、見れる姿は、下から見た姿で、表情などはなかなか確認できません。
サンショウクイは、地上近くまで降りてくることはないと言われています。大概、木の高い場所にとまって、虫や木の実などを食べています。飛翔した後、高木の頭頂部にとまっている姿を見ることも、よくあります。
そう言うものの森林を散策していると低木におりてくることもあります。
サンショウクイを比較的、近い場所で見ることができるのが、繁殖を終えて、秋の渡りに備えて群れをつくる時期です。この時には、十数羽の群れになるので、出会うことができれば、数が多い分、見れる可能性も高くなります。
裏山では、8月ぐらいにサンショウクイが群れになって、現れることがあり、水場に降りてきたこともありました。
こんな感じで、サンショウクイを観察しています。
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