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Perlego: Apple Musicの教科書版

 イギリス発のスタートアップPerlegoは、月々£12(約1800円)でデジタルライブラリ内のビジネス本・教科書に無制限でアクセスできるサービスを提供している。2018年9月の時点で、480万ドルの資金の調達に成功し、現在Oxford University Press、Princeton University Pressなど、650以上の出版社と契約を結んでいる。

 このサービスは、インフレによって年々増加するイギリスの大学生の教科書代を安くするために考案されたサービスだ。イギリスでは大学の学費も毎年増加しており、これらは高等教育のコストをさらにあげ、学生ローン問題をさらに悪化させる一方であった。

 定額制にすることによって、出版社側への利益は減るように感じるが、必ずしもそうではない。経済的に教科書を購入できない人々は、ネットで海賊版をダウンロードしたり、中古の本を購入していたため、このようなサブスクリプションモデルの方が結果的に出版社側への利益は大きくなる可能性がある。また、海賊版や中古品のせいで正確な消費データを把握できなかったが、利用率が高いと思われるPerlegoであれば、どの教科書がどのような年齢層にどのくらい消費されたかなど、正確なデータを得ることができる。

 アメリカでも高等教育のコストは問題視されており、教科書代も平均して年間13万円以上という信じられない数字だ。大学生が年間教科書に費やすお金はインフレの4倍の早さで増えており、主な原因は学期が終わると同時にライセンスが切れてしまう「教科書バンドル」である。この教科書バンドルは、教科書だけでなくオンラインテストや学習帳など、授業に参加するために必要な機能が全て盛り込まれている。ゆえに、このバンドルを買わざるを得ず、1学期でライセンスが切れてしまうことから中古品としても出店ができない。これまでは本を中古に出品して得たお金で次購入する教材の費用を一部まかなっていたが、そのお金がなくなってしまい、結果的に総支出が年々増えている。学生ローンが社会問題になっているアメリカでも、学生の負担を軽減すべく、Perlegoのようなサービスを導入すべきだ。

参考にさせていただいた記事:

Perlego HP




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