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Coup: 電動原付シェアリング

 テレビ東京で、「出川哲朗の充電させてもらえませんか」という番組がある。夕飯を食べながら時々みるが、電動原付の存在を始めて知ったのがこの番組だった。その番組は、毎回少しずつ日本を縦に進み、最終的には電動原付で日本を縦断することを目的となっている。もちろん、電動原付は充電後の走行距離が普通の原付より短く、頻繁に充電をしなければいけません。その充電をするために、地元の人やお店とコミュニケーションを取るのも、番組の醍醐味となっている。

 この番組に使われている電動原付だが、ある記事によると一回の充電における走行距離は20キロメートル強だ。一見少ないように感じるが、街中の移動であれば十分だ。そこで、大学で「スマートな観光をするための事業案を考えろ」という課題があったため、観光地に電動原付の貸し出しサービス設ける、という事業案を提案したところ、同じグループの人からはあまり良い反応をうけませんでした。それ以来、そのアイディアに触れることはありませんでした。

 しかし、先日メルカリのTech Research Nightというイベントに参加し、ヨーロッパのIT関連サービスやスタートアップ事情を聞いてきました。そこで、ドイツの電動原付シェエアリングサービス、Coupのことを始めて知りました。

 Coupは様々な製品・サービスを取り扱うBosch(ボッシュ)の子会社だ。専用のアプリからマップにアクセスすることができ、そのマップに乗車可能な電動原付が表示される。乗りたい電動原付を選択し、パスワードを設定すれば、あとは原付のところまで歩くだけ。Bluetoothと先ほど設定したパスワードによって原付を稼働させることができる。Tech Research Nightの登壇者によると、徒歩10分以内に原付を見つけることができるそうだ。

 また、このサービスの便利なところは、原付をどこかに戻す必要がないことだ。日本では原付・自転車などがそこらへんに放置されていたら自治体によって撤去されてしまうことがほとんどだ。しかしCoupがサービスを展開している地域ではそのような規制はなく、使い終わったらそこに置いておくだけ良い。

 現在Coupが抱えている問題は、充電を人力で行っていることだ。ポートが存在しない上に、充電施設のインフラが整っていないため、電池が少なくなると専用の役員が電動原付がある場所まで行き、電池の交換を行っているそうだ。

 ここで先ほどの話に戻る。ドイツでこのようなサービスが存在するのであれば、同じように日本の観光地でこのようなサービスを展開することも可能ではないだろうか。

 2017年の国内旅行経験人数は観光庁(2018)によると約9400万人であった。同じく観光庁(2018)によると国内旅行の平均回数は約3回だ。仮に一回あたりの交通費の平均を5000円であると仮定する(これは観光地にたどり着くまでの交通費は含まない)。すると、

9400万人 × 5000円 × 2回 = 9400億円

観光客による公共交通機関の利用で、年間9400億円の売り上げが発生していると予測できる。

 旅行者の50%が原付を運転できる(普通免許・原付免許を持っている)と仮定すると、既存のマーケットだけで4700億円の市場が存在する。また、公共交通機関ではリーチできない目的地にたどり着くために電動原付が使われるとなると、新たな市場を生み出す可能性もある。

 こんな事業案、どうでしょう。


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