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富山と言えば?ー用水の話からー

富山と言えば何が浮かぶだろうか?

安直に検索してみたら上記サイトがヒットしたので眺めてみる。

①黒部ダム、②立山黒部アルペンルート、③越中富山の薬売り、④ます寿司、⑤黒部峡谷、⑥ホタルイカ、⑦立山連峰、⑧富士薬品(置き薬)、⑨蜃気楼、⑩富山湾、⑪ブリ、⑫宇奈月温泉、⑬飛騨山脈、⑭柴田理恵、⑮砺波のチューリップ、⑯イタイイタイ病、⑰白エビ、⑱持ち家率が高い、⑲かまぼこ、⑳こきりこ節(民謡)

たしかに、一般の人が思い浮かべるのは、山や海、売薬、マス寿司などのようで、水田率96%とか農業用水での事故、を連想することはないだろう。

ここで、あまり知られていない富山の特徴のひとつを紹介する。

「富山県内にて用水路で亡くなる人の数は例年20人~30人で、全国の都道府県のうち常にトップにあり、その割合は全国の用水路にて亡くなる人の総数の15%前後を占めます。」(上記リンクの斎藤氏の記事から)

富山県も対策に乗り出した。

農業用水路の事故防止対策について(農林水産部 農村整備課)最終更新日:2020年3月24日

人体模型による実験を見ると、水深の浅いところでどうして死亡事故が起きるのかがわかる。浅いから死ぬのだ。


(以下、「とやま農業用水路の安全対策」から)

富山県の農業用水路の特徴と役割

県内における転落事故の状況


富山の水田は加賀百万石を支えていた。

「加賀百万石と言うが、加賀の国が100万石であったわけではない。前田家は加賀、能登、越中を領する大大名であり、その合計が100万石、つまり正確には前田家100万石である。しかも実際の石高は越中が約半分を占め、能登と加賀が25%程度であったという。」

(常願寺川 農人の記憶 山をも流した河 【第三章】見事な水路網から)

水田に必要な灌漑(用水)は下記リンク先論文によれば、雪が多い地理的条件のおかげで最多要水期に雪解け水が豊富であることと、勾配が急で比較的短い距離で導水できるなどの有利さが加賀藩の政策と相まって広く水田開発を可能にしたという。


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ちなみに、1878年の人口ランキングは以下のとおり。加賀藩の政策とは言え、食料に不自由しないということが人口増加を可能にしたようだ。

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(なぜ新潟や石川が「人口日本一」だったのか?)から


あと、兼業農家比率が高いことも富山の特徴である。(「100の指標 統計からみた富山」平成30年度版 から)

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そして、水稲で兼業可能になった結果が県民所得の増加につながっている。

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実は、兼業で稲作をするための機械化、省力化ができるようなほ場整備を推進してきたのが富山県の農政である。

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農地と農村の現状 - 富山県から

そして、長年、災いのもとであった河川をコントロールし、水力発電による低廉な電力を武器に工場を誘致することに成功した結果が次の表に現れている。
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たしかに、これは富山県としてひとつの成功と言えるかもしれない。しかし、今、そして将来を見た場合、本当にこのままでいいのか、疑問はある。



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