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【第12回ゆる読書会 夢にまつわる1冊】

『夢』とは、
1. 睡眠中に物事を見聞きするように感ずる現象
2. はかないこと
3. まよい
4. 希望
広辞苑より。

この4つのうち、夢と聞いて最初にイメージするのはどの夢だろうか。
僕は、4の『希望』である。少し具体的に言うと、将来の目標とか理想像といった目指すタイプのイメージだ。僕はここ数年、夢と聞いて睡眠中の現象、いわゆる見るタイプのイメージを思い起こすことは、ほぼ皆無だった。それは、断片的で一貫性がない睡眠中の現象よりも、目標を達成して満たされている理想像のほうが魅力的に感じるからだ。


しかし先日、『平野啓一郎著 マチネの終わりに』の「見たい夢を自由に見られないだけではなく、人間は、見たくない夢を見ない自由も与えられてはいないのだった」という一節を目にしたとき、ある想像に思い至った。それは『自由なようで不自由』という、身近で不思議な夢を読書会で夢に見るくらい深堀してみたい、ということだ。

ということで、参加者同士で夢にまつわる本を紹介するという形式でオンライン読書会を開催した。
今回、参加してくださったのは2名。
紹介された本は

明日の僕に風が吹く 乾ルカ 著
北海道の離島を舞台に心の再生を描く青春小説(Amazon紹介より)。
ある出来事をきっかけに心に傷を負い、医者になるという夢をあきらめてしまった主人公の少年。けれど、その出来事の影響で言語障害となってしまったのにもかかわらず、通訳になるという夢をあきらめずに進み続ける少女に、少年は喝破される。紹介者さん曰く、お互い同じ出来事の当事者でありながら、その夢に向き合う姿勢の違いに心打たれたという理由で選書とのこと。

「いい人だけどグズ」を直したい人が読む本 斎藤茂太 著
祖父、父、自身と親子三代精神科医である著者の「いい人だけどグズ」を直したい人へむけたアドバイス集。紹介者さん曰く、「著者は自身の夢として精神科医を選んだのだろうか」という疑問からの選書とのこと。


夢をかなえるゾウ4 水野敬也 著 
僕の選書。
自己啓発エンタメ小説の代表作。本著は第4作目。夢に悩む主人公が夢をかなえるゾウと呼ばれる神ガネーシャとの対話を通して成長していくストーリー。今回は夢をあきらめる方法についても触れられており、シリーズ4部作中、もっとも夢について考えさせられた作品だ。

参加者全員が目指すタイプの夢を軸とした選書。こういった一致もおもしろい。
読書会のなかでは、登場人物の心境を想像し「夢を追う力は女性のほうが強いのかも」と妄想したり、いい人=易しい人ではなく優しい人になるために、どんな立ち居振る舞いが良いのかの情報をシェアしたりと、今回も堅苦しい話はせずに参加者全員でゆるゆると語り合うことができた。

こうありたいという理想像、かなえたい夢。
それらを思い描くことは楽しくもあるけれど、不安を伴うことも多い。
僕の場合、その不安は夢に対してバラバラで一貫性がない自分の現状を省みたときに、とくに掻き立てられる。
けれど本を肴に夢について語り合っていると、それぞれの夢が地続きで繋がっているようにも感じる。

誰もが納得する一貫性なんてないのと同時に、自分が想像もしない一貫性を本や本好きの仲間たちが教えてくれることもある。
今回の読書会では、そう感じることができた。

夢が「みつからない」「かなわない」と七転八倒したあとは、少し手を伸ばせば届きそうな夢を夢想してみるのもいいかもしれない。

とりあえず今は、リアルでの読書を夢想してみようと思う。

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