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お絵描き補助AIの功罪

※トップ画像AIに色塗りしてもらった絵です。
これまでお絵描きAIについて、色々思うところはあるものの、あまり突っ込んだ話はしてきませんでした。しかし今回、自分でやってみて色々思うことがあったのと、これは一番被害を被るのは子供達なんじゃないか、という気がしたので、その話です。

検証したのはコレです。

最初に断っておきますが、この会社を攻撃したいのではなく、むしろ、興味があるなら一度ためしに使ってみたらいいんじゃないか、と思います
それで、AIが綺麗にした絵を見て、自分が何を思うか。
それを、自分自身で体験することが、この問題を自分のものとして考えるためのきっかけになると思うので。

ただ、試したい方はちゃんと規約を読んでからに😅
投げた絵は自社のAIの開発に使う、また収集した情報(画像データを含む)を匿名処理した上で第三者に提供・公開することをユーザーは承諾するものとする、と書かれています。

制作元の株式会社ラディウス・ファイブは、他にもかなり沢山AI事業を展開していて、お絵描き「補助」ではなく、1からキャラを作るような事業もあります。このへんは、現役クリエイターの仕事とカブる部分でもあります。
そういう別プロジェクトにも、開発結果が使われることは、念頭においておいた方がよいかと思います。


1)線画生成を検証

下書きから線画にしてくれるツールがあるというので、とりあえず先のドロライで描いた絵のザツい鉛筆下書きをあげてみました。
これがその下書き。

Fig.1 これは私が描いた下書きです。

で、これをアップロードして、1分もしないうちに、AIが描いてきたのがコレです。

Fig.2 私が描いた下書きをもとに、AIが清書したもの。

顔はかなり変わってしまってますが、それ以外は私自身がペン入れするよりよっぽど綺麗です(笑)。
ちょいアニメタッチな線画になってますけど、このへんは色々設定でいじれる模様です。
驚いたのは、下絵になかった上着のボタンや胸ポケット、ベルトなんかを勝手に足してくれている。こういうものは、勉強素材にリアルなスーツの写真が山ほどありますから、かなり正しく補完してくれる印象です。

一方で、ザツに描いた左手は、中指の先にサイズ感のおかしいタバコがくっついている(笑)。私が下絵でタバコを描くのを忘れたので、こうなっちゃったわけですね。

なかなか笑えますが、よくよく考えると怖い話で、AIはこの絵の左手は、タバコを持っているはずだ、と判断した、ということなんですよ…。
で、それは正しい。だって、私が忘れただけなので。
ひとしきり笑って、ちょっとゾっとした話、でした。

2)色塗り機能を検証

もうひとつ、線画と下塗りをアップロードしたら、勝手に本番塗りまで仕上げてくれる、という機能があったので、試してみました。
線画は清書したものがなかったので、先の線画ラフをそのまま上げました。
色塗りの方は、ドロライに投げたものが下塗りレベルなので、それをアップしました。これです。

Fig.3 ドロライで私が投げた作品。

で、以下が、Fig.1とFig.3をもとに、AIが作成した絵です。

Fig.4 線画とドロライの絵からAIが生成した絵。

はっきりいって、ワタシが自分で彩色するよりよっぽど映えてます(苦笑)。
服の皺やハイライトの当たり方など、自分だったらこんなふうには描けないです。描けるようになりたい、って修行してる最中だもん!😅
そして自分の絵でいつも気に入らない線画と色の馴染ませ方も、AIの方がよっぽど上手い。色調なんか、ホントはこんな感じの色にしたかった! ってAIの回答みて気づくレベル😅。

正直、めちゃ凹みました(苦笑)。

3)お絵描き補助AIのいいところ

めちゃ凹みましたが、なるべく冷静に、Pros. & Cons.をやってみようと思います(笑)。
まず、いいところ(Pros.)から。

1 線画機能で本来あるべきものを足してくれる、服のシワが本物に近い

私レベルの人間にとっては、ありがたい「先生」になると思います。自分の絵のどこが足りてないのか、AIがある意味、今一番世間でウケてる解答例を示してくれるので。
あくまで、今一番流行ってる絵はこんな感じですよ、という指標でしかないので、流行りの絵を描きたいわけではないのなら、あまり参考にならないかもしれませんが。

しかし、それでも、例えば線画AIのシャツの書き方とか、若干おかしいところはあるんですけど、それでも私の下絵よりはホンモノっぽいわけですよ。
右肩に部分に一本シワが追加されてますけど、ここのシワはこの角度の方が本物っぽい、と思います。左上の上腕あたりもですね。こういうポーズをしたら、このへんにこんな感じのシワがよるはずだ、と教えてくれる。
ズボンも私のはかなり雑ですが、ちゃんと必要な線を足してくれていますね。

なので、自分が描いた服の皺、なんかおかしい気がするんだけど、と思ったら、その段階でAIに投げてみる、という使い方はできると思います。
勿論、AIに頼らずに、本物の写真で研究すべきではあるんですが、そもそもお絵描き初心者って、写真のどこを見ればいいかがわからないんですよね😅。あと、写真から、うまく線を抽出できない。
だから、AIに、違和感の原因になっているところを見つけてもらって、細かいことは写真でチェックして、あー、こういう感じを表現するのにこの線1本で表すんだな、みたいな感じには使えるかと。
とくにスーツのようなリアルに存在する服は、かなり本物に近い答えを出してくれそうです。

2 彩色機能で光の当たり方(ライティング)がおかしいところを直してくれる、お手本カラーパレットを教えてくれる

彩色機能の方も同じですね。たとえば、AIの方は顔の右半分の頬の部分にハイライトが入っている。
私はもう少し横から光が当たっている印象だったので、そこにハイライト入れなかったんですけど、自分が描いた絵をちゃんと見てみると、それだと辻褄が合ってないんですね。そんなに横から光が入ってるなら、右の襟とかにハイライトが入るのはおかしい。

だから、AIは、この角度なら頬にも光があたりますよ、ってことで右頬にハイライト入れてるんだと思う。

あとは、色の複雑さですね。私の絵は単調すぎる。
勿論ドロライで1時間しかなかったから、というのが一番の理由ですけど、じゃあ自分の頭のなかで、後日こうしたらいい、という具体的なプランが見えていたかというと、そんなことはなくて、こっからいつもめちゃくちゃ苦労するわけですよ(笑)。

自分としては、明暗設計が下手なんだと思ってたんですね。つまり、暗いところを上手く暗く落としきれてない。
で、AIの描いたものを見たときに、やっぱり暗い色の使い方が下手だ、と思ってしまった。

でも、グレースケールで比較すると、全然そうじゃないんですよ!

Fig.5 グレースケールに変換したもの。左が私の絵、右がAI。

むしろ、スーツの色とか、私の方が暗い色を使ってる。手前の傘は、AIはもっと暗く落としていて、これはAIが正しいですよね。手前にボケオブジェクトを持ってくるときは、かなり明度を落とさないと。
あと、傘のサイズ感が、人物の位置からすると合ってないのが、ちゃんと修正されてる(笑)。
つまりメリハリが大事なんであって、かならずしも明暗の幅を大きくすればいいというわけじゃない。
これも、頭では十分わかってるつもりだけど、実際に自分の絵でどうしたらいいのか、自分一人ではわからないので、そういうときにAIを使う、というのはアリだと思います。

もう一つ、私はいつも、線画が色に馴染まないのが嫌で、極力線を細くすることしか考えてなかったんですけど、むしろそれで人物がボケてしまっている、というのがすごくよくわかる。AIは線もかなり太いけど、これを手でやるなら多分Gペンじゃなくてペイント系のブラシで、かなり境界をぼかす感じですよね。色も濃い。この方が、人物が目立つ。
あと、わざと、背景の色相と、人物の色相を少しずらしてるんですよね。そうすることで、やっぱり人物に目がいく。

そういう意味では、どんな感じにすれば全体がまとまった印象になるか、というカラーパレットをAIは教えてくれるわけですよ。

こういうテクニックって、授業で習ったことだし、実際に学校の課題でここをこう直せ、とこの手の修正を入れられました。
だから、そういう「添削」を無料もしくは少額の月額料金でやってもらえると思えば、かなりありがたいツールだと思います。

あとこういったAIが活躍しそうな場は、職業漫画家さんとか、自作アニメを作りたい人とかかなぁ、と思います。
うまくソフトのクセをつかめば、ジャンルによっては、かなり雑なラフでもそれなりに線を整えてくれるんじゃないかと。それで、まぁ、顔とかだけ、自分で描き直す、とかすれば、相当時短になるんじゃないかと思います。
少女漫画みたいな、絵のニュアンスで勝負するようなジャンルには向かないかと思いますが、最近流行りの説明書モノジャンルとか、もう全然これで問題ないんじゃない? と思います。

あとは、人物は自分で描くけど、背景はラフだけ描くからあとは綺麗に清書して、とかもアリかな? どのくらい再現してくれるのかわかりませんけど、現実に存在する建物とか、家具とかだったら、おそらく相当雑でも、スケール感おかしくてもいい感じに直してくれるんじゃないか、と思う。

自作アニメは、とにかく枚数多く描かんといかんので、下絵だけでそこそこ綺麗に線画にしてくれるのは大変ありがたいと思います。とくにシャツとか、細部書き込まなくても勝手に補完してくれるのがいい。
勿論、出力そのままじゃなくて、それをレタッチして使う感じで。


4)お絵描き補助AIのヤバいところ


これについては、さまざまな要素があって、ネット上では二番目の問題ばかり取り上げられている印象なんですけど、私はむしろ1と3がヤバいよなぁ、と思っています。

1 自分の想像力が制限される

これは、一度はご自身で体験してみるといいと思います……。
今回、このドロライ絵、後日時間ができたらちゃんと手入れて仕上げよう、って思ってたんですが、AI生成物を見てしまった瞬間に、そちらの方向しか考えられなくなってしまいました。

自分の中に、確固として、本当は描きたい絵の印象がある人は多分問題にならないと思います。
しかし、私の場合、それがいつもすごくぼんやりとしていて、試行錯誤して色々やってみる中でしか、自分がなにをやりたいのかがわからないんですね(笑)。
しかも、そうやって描いたものも、いつも、多分本当に辿り着きたいのはここじゃなかったよな、って思うものばかりで、、、

これは、おそらく、小さい頃からイメージを絵にしてアウトプットする、ということを続けてきた人にはとうに克服できてる問題なんだと思うんですが、私は子供の頃、むしろ絵を描くことから逃げていたので、そこの訓練がまったくできてないんですよ(笑)。

そういう状態で、AI生成物を見てしまうと、もうそれは絵画教室で先生に言われたとおりに直します、というのと同じ状態になっちゃうんですね。
そうなると、じゃあなんで、時間と労力をかけて、AIが1分で作成するものに近づけなければならんのか、って問題が発生してしまう(笑)。

なんでも習い事はそうですが、最初は先生の絵を真似るところから始まるわけなので、そういうものだと割り切って、AIが持っているテクニックを盗みたい、って目的ならいいと思います。AIに答えを教えてもらって、その通りに直して、って繰り返していくうちに、その技術が自分のものになって、それを別の絵で応用できるようになるので。
でも、これは自分の作品です、ってつもりで描く場合には、そういう危険があることを念頭に置いておいた方がいいかな、と思います。

というわけで、ワタシ自身、この絵に手を入れてどうにかできるのか、わからなくなってきました😅。 それ以外に先にやることたくさんあるしなぁ。

2 ネット上に上がっている未完成の絵をパクってきてAIにいじらせ、自分の絵だとして発表する奴が絶対でてくる

これが今、ネット上が騒然となっている理由ですね。
これは今に始まった問題ではなく、これまでもそういうことをする輩はいたわけですが、手動だっただけまだ時間をくってたわけですよ。
でも、これがAIにやれるとなったら、もうあとはプログラム書くだけで大量生産もできてしまう。

元絵の判別ができるか、という部分なんですけど、自分が今回使った印象では、多分無理だ、と思います。
線画はともかく、カラーの方は、背景が変わってしまっているし。
勿論、元絵とAI絵を並べてプログラムに判定させれば、ほぼほぼ正しい成否を返してくると思います。でも、それと、ネットに存在する膨大な絵の中から、元絵となった絵を探し出す、というのは全く別の問題です。

すでにまとめ記事が上がってますが、これなんか見ても、判別可能っぽいものもあれば、無理だろ、ってのもありますね。

しかも、二次創作絵の場合、パクられる絵には、自分だけでなく原作者様の権利も絡んでるわけですよ…。
今回、自分も虹絵をAIに食わせてしまったので、えらそーなことは言えないんですけど、一応、百目鬼にしなかったのはそれが理由でもあります。

矢代さんは外見に矢代さんにしかない記号的な特徴がないので、まぁ他の数多の絵とそんなに変わらないと言っていいと思うんですけど、百目鬼は顔に二箇所の特徴的な傷、左小指が欠けてる、と、ここまで重なるとほぼほぼキャラ特定できちゃうよね、って外見的特徴がある。
なので、これを原作者に無断でAIに食わせるのはまずいかもしれない、と思ってやりませんでした。
(もっとも、「設定」に著作権はないんですけどね、、、)

SNS各社が、簡単には画像ダウンロードできない仕組みを導入してくれるといいんですが。
右クリック、スクショの禁止、とりあえずマイクロソフトとアップルとgoogleだけでもその辺を簡単にさせない仕組みを作って、それにSNS各社が従えば、できないことではないと思うんですけどねぇ……。
(どーせやる奴は何をしてもやるので、そういう輩は止められんでしょうが、少なくとも子供が出来心で、、てのは防げると思う)

3 社会的な影響(とくに子供に対する)

最近、子供向けの、AI絵コンテストが開催された、と聞いて「オイオイ」と思ったのですが、、、。

たしかに、理屈だけを言えば、「ツール」を使って何かを作成して、それを自分の作品だ、と言うことの何が悪い、って話ではあります。
アナログ絵だって、絵の具と鉛筆使って絵描くでしょ? そのツールが、AIになっただけでしょ? って、そういう論理なんだと思う。
だけど、それって、私は、完全に大人の理屈、だと思うんですよね……。

人間の子供は、それこそ20年以上もかけて、自分の脳味噌と、自分の体とを作り上げていくわけです。
その過程には、何か表現したいものを想像して、その想像を具体的な形にするために自分の四肢を動かす、その試行錯誤が、必要不可欠なんですよ。
なんどやってもうまくいかない、脳味噌の中のイメージと、自分の手がうまくつながってない感じ、それをなんとか結びつけるために、何度も失敗して、挫折して、それでも諦めたくなくてまたやる、っていう試行錯誤が。

私は不器用すぎて幼い頃にその努力を諦めてしまったので、まさに今それをやっているわけなんですけど、だからこそ、今、当事者として、ものすごくその危険を感じます。
先に、綺麗な答えを見せられてしまったら、もう技術も、想像力も、発展しようがないんですよ😅。

とくに、脳の中のイメージと、表現が結びつかないもどかしい感じというのは、これを現実の訓練によって克服することでしか解消しない。
人間というのは、極端に大脳が発達してしまった生物なので、その大脳と、全身を結びつけて一体化させる、頭のてっぺんから足のつま先まで、自分のものである、と大脳が理解するために、その過程が必要不可欠なんだと思うんですね。
で、成長途中の子供は、まさに、その訓練をやる時期なんだ、と思うんですよ。

それが欠けると何が起きるか?
自分の体が、自分のものではなくなっちゃう、と思うんですよ…。
生物はみな、自分の境界について、ものすごく厳密なテリトリーを持っています。どんな生物も、無遠慮に触られれば毛を逆立てるし、高等な社会性をもつ生き物であれば、さらに自分の肌から離れた部分まで自分の領域だと見做して、よほど親しい者以外はその中に入れなくなる。
それの一番の大元は、自分の体がどこまでなのか、という感覚であって、そのさらに根源を辿れば、自分の脳がちゃんと自分の体をうまく操れている、という一体感なんだと思うんですね。
で、それが欠落すると、自分の体を大事にしない傾向が出てきてしまう、と思うんですよ。それは将来、精神的にも肉体的にも、自傷行為に繋がりかねない、と思っています。

で。
AIに描いてもらう、というのは、私は、「本当は自分の体と脳味噌がちゃんと繋がるための訓練にはなっていないのに、そうなった気にさせてしまう」麻薬みたいなもんだ、と思うわけです…。

大人はいいんですよ、その辺、わかっててやってるわけなので。
むしろ、子供の頃に散々努力したけどダメだった、でも頭の中には表現したイメージがあって、それを吐き出せないのが苦しい、そういう人は、使ってキモチよくなればいいと思う。

だけど、子供がそれをやったらどうなるか?
多分、それが自分の身についた「能力」だと勘違いすると思うんですよね…。
しかも、それはいつか、自分自身には何も身についていないことに対する絶望になって跳ね返ってくるんじゃないかと。
自分自身の体をつかった表現が自分の思うようにならないのに、完成した作品だけが一人歩きしていく。いつか、その齟齬に気づく、と思うんですよね。

勿論、小学校高学年くらいになれば、そのことは、頭では理解させられてると思います。言葉の上では。
だけど、そもそも、第二次性徴期以前の子供は、まだ自分の内側と外側の弁別が完成してないですよね。自分の親と自分自身が違う、ということも、本当には理解できていない(ことが多い)。
意識がどうあれ、まだ感覚は、母親と臍の緒でつながってるようなもんで、だからこそ第二次性徴期にものすごい反抗期を経て、自分と親は違う、自分というのは世界に一人だけで、自分と世界の間には明確な境界がある、ということを理解するわけじゃないですか。

まだそういう、己を形成する色々な部分がやわらかい、皮膜のようなものでしかない時代に、自分にできないことをAIにやらせて、それを「自分の作品である」という名目で発表させる、という文化が、本当に子供達の将来に傷をつけないのか、ものすごく不安に感じます。

また、これは、お絵描きAIの問題、というわけじゃないんですけど…。
現代のSNS事情が、その辺を致命的に悪いものにしてしまう恐れがある、と思っています。

SNSでイラストにいいねをもらう、コメントをもらう、という快感に抗うのは、大人でも、ものすごく難しいです。
そんな、大の大人でさえ抗えない「いいね、コメント」の誘惑と、現代の子供達は、幼い頃から戦わなくてはならない。

子供は誰だって、褒めてほしいもんだと思うんですよ。
だけど、分不相応なのに褒められすぎたら、それは、自己否定につながってしまう。
何を信じたらいいのか、わからなくなってしまう、と思うんですよね…。
しかも、この誘惑は、作品の名声が一人歩きするほど強くなるんですよ。

自分の中の持ち札が尽きたけど、SNSではフォロワーが次回作を待ってる。何日も作品をアップしなかったら、きっと忘れられてしまう。
そんな恐怖に駆られて、人様のラフ絵を拝借して、AIに綺麗にしてもらって自分の作品だと偽って投げる、みたいなこと、絶対やらない、って強い意思を持ち続けられる子供が、どのくらいいるだろう?
 って。
大人だって、我慢できなくてやっちゃう人がいるのに?

今更、社会からSNSという文化を奪うことができないなら、だったらせめて、褒め言葉は、その子供本人が己ひとりで成し遂げられる実力に見合ったものであるべきだ、というのが、私が子供が生成AIを使用することについて一番危惧する部分です。
まぁ、本音をいうと、子供に限らず、大人だってこの問題で苦しむ人が早晩出てくるだろう、と、個人的には思ってますが……。

(敢えて生まれつき四肢に障害を持つ方のケースはまた別だと思っています。私がここで問題にしているのは、使いようによってはAIツールの存在が本人ができないことをできるようにする機会に水を差しかねないこと、そしてそのことが、のちのち本人の自信を喪失させたり、劣等感や欠落感といった悪い形で影響しかねない、ということであって、ツールを使って物理的に不可能なことを実現する、という話なら、そういう負の感情は発生しないと思うので。)


先にも書いたように、これは、AIお絵描きそのものが悪いわけじゃないです。
でも、かならずしも一つ一つが悪いわけじゃないけど、重なると非常に悪い影響をもたらす、という問題は世の中にはいろいろあると思う。
そして、そこは自分の管轄外なので、自分たちは勝手にやります、っていう大人の論理で色々進めてきた結果が、現在のAIをとりまく問題の噴出につながっていると思うんですよね。

多分、ヨーロッパあたりだったら、生成AIの使用を18歳未満の子供には禁じる、くらいのことは早晩やりそうだな、と思ってます。
正直、子供には、タバコや酒と同じくらい悪いもの、という印象です。私には、ですが。

とりあえず、SNS各社は、AIとそうでないものを弁別する機能をつけるべきだと私は思います
ピクシブはすでにやってますが、正直、もうプラットフォームを分けて完全に棲み分けする方がいいと思う。
自己申告なんで、まあザルですけど、それでもやらないよりはマシです。

AIっぽさを判断するプログラムも猛開発で進んでいるはずなので、分ける意思があれば、かなりの精度でできるようになっていくと思う。
勿論、誤判定もあるだろうし、それによって割を食う人もいるでしょうが、そこは子供達の未来を守るため、受け入れるべき不便じゃないかな、と思います。

これまでは、イラストレータ失業時代とか、いうても大人が憂き目を見る話で済んでいたけど、もう子供達がその被害者になりかけているんじゃないか、と、はからずも自分でやってみて実感したので、こんなノートにしてみました。
ご意見、いろいろあると思います。
反対意見も歓迎しますが、感情的な議論は建設的ではないので、冷静にお願いいたします(笑)。


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