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実家宝くじ

地元の駅前ロータリーに、みすぼらしい老婆がたたずんでいた。はじめはビラ配りか何かと思ったが、何かのチケットを売っているらしい。気まぐれに500円を払い買ってみた券に表示されていたのは、「実家宝くじ」の文字。

【1等1億円】【2等5000万円】【3等0円】【4等-5000万円】【5等-1億円】

ジョークグッズのような物だろう。年末の験担ぎにはいいのかもしれない。
実家に帰り、家族と近況を報告し合い、おせちをつまんだり父と酒を注ぎ合っているうちに眠り込んでしまった。目覚めたのは元日の正午。気がつくと、家じゅうの家具に、赤い「差し押さえ」の札が貼られていた。

母が混乱している。
「朝方、黒い服を着た知らない人たちが押し入ってきて、『おめでとうございます、1億円の負債に当選しました』って、あちこちに札を貼っていったのよ…」

駅前で買った宝くじは、1等だったのだろうか、4等だったのだろうか。

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