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収集21 健康・教育・自信

世界経済史という授業でアメリカの民間医療保険と国民皆保険の不在を取材したドキュメンタリーを観た。『SICKO』(マイケル・ムーア監督、2007年)。

(「こんなにもひどいアメリカ医療」についてマイケル・ムーアが質問するのに対して)イギリスのある元保守議員は、医療保険制度ひいては社会保障というのは民主主義の始まりとともにある、という観点から、次のように簡潔に自身の反米観を表現した。

「支配の方法は二つ。恐怖を与えること、志気をくじくこと。」
「健康と教育と自信があると人は抵抗できる。」
[⇒そのためアメリカ政府が国民から十全な医療を遠ざけようとするのは後者の意味において効果的な手段である]

健康と教育と自信。この包括の仕方が、明晰でありつつ、とても新鮮にきこえた。最近の僕は、この三つについてつねに関連させながら、いや、混乱のままに一緒くたにしながら何事も考えているのだが、この社会実践的な一般化にあたる感度が欠けていたなと思う。

たとえば、僕の漠然としたさいきんの感触。
「メンタルケアの方法・実践・構想を混同して/関連させて考えないということがない」。
メンタルケア、身体というメディア、ジンクス、自己効力感(アルバート・バンデューラ)。

人文学という思考空間、概念空間、象徴空間と言うものの広さ、豊かさに脅かされつつ、視点を安定させるために過剰に言葉を痩せさせているところがある。社会学経済学系の授業を取っておくのは役に立つなと思った。迂闊で偏屈で退屈で致命的に自己破壊的な自己暗示を解消していくよすがになる。

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