モンゴルの古い文字【パスパ文字】
パスパ文字(八思巴文字)は、13世紀にモンゴル帝国のフビライ・ハンの命令により、チベット仏教の高僧パスパによって作成された表音文字です。以下にその特徴を詳しく説明します。
パスパ文字の特徴
1. 起源と構造
起源: パスパ文字はチベット文字を基にしており、41の基本文字から構成されています。これらの文字は子音と母音に分かれています。
形状: 角張った形状が特徴で、しばしば「方形文字」とも呼ばれます。
書写の方向: 縦書きで左から右に行を進める形式です。
2. 用途と歴史的背景
用途: 元朝時代には、皇帝の命令文書、碑文、貨幣、印章などに広く使用されました。特にモンゴル語やトルコ語の表記に用いられましたが、漢字と併用されることもありました。
歴史的背景: パスパ文字は1269年に正式に公布されましたが、民間には広く普及せず、主に元朝の公用文書に使用されました。元朝滅亡後は、主にチベットやモンゴルのラマ寺院で使用され続けました。
3. 文化的および政治的意義
政治的意義: パスパ文字の制定は、モンゴル帝国の広大な領域での統治とコミュニケーションを支えるためのものでした。これは、モンゴル帝国の支配地域における大ハンの権威を知らしめるためのものであり、民族としての自覚の高揚を図る意図もありました。
4. 現代の使用と研究
現代の使用: 現在では主に装飾文字や印章に使用されることがありますが、一般的な使用はほとんど見られません。
研究: パスパ文字で書かれた文書は、13〜14世紀の漢字音を記録しており、言語学的な研究において貴重な資料とされています。
5. Unicode
Unicodeサポート: パスパ文字は、Unicodeバージョン5.0以降でサポートされており、U+A840からU+A87Fまでの範囲に割り当てられています。
パスパ文字は、モンゴル帝国の広大な領域での統治とコミュニケーションを支えるために作られた重要な文字体系であり、その歴史的価値は非常に高いです。
パスパ文字で「フビライハン」と書くには、以下の文字を使用します。パスパ文字は縦書きで書かれ、行は左から右に進みます。
フビライハンのパスパ文字表記
フ: ꡓ
ビ: ꡋ
ラ: ꡜ
イ: ꡡ
ハ: ꡛ
ン: ꡈ
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