見出し画像

恋をとめられなかったよ!COMPLEX 東京ドーム LIVE 2024 ~日本一心~

吉川晃司と布袋寅泰による伝説のロック・ユニット、COMPLEX。
1988年の活動開始から、わずか2年で無期限の活動休止をしてしまった。

思い返せば、あれは1988年のことだから、もう30年以上も前。
私は中学生だった。
COMPLEXのファースト・アルバムの3曲目、「恋をとめないで」。
シングルカットされていないのに、もはやCOMPLEXの代表曲とも言ってもいい、ギターのリフがキレッキレの、キラキラ・ポップなラブソング。

家の前で待ってるよ だれが 引き止めても
土曜の夜さ 連れ出してあげる
Don't stop my love 恋をとめないで
気持ち揺れるまま 俺にまかせて
Don't stop my love 恋をとめないで
いまを正直に 恋をしようよ
Don't stop my love 恋をとめないで
どんな事からも 守ってあげるから
Don't stop my love 恋をとめないで
いまを正直に 恋をしようよ

COMPLEX「恋をとめないで」作詞:吉川晃司 作曲:布袋寅泰


この曲の世界観に、憧れに憧れた。
この歌詞を書いた吉川さんに、惚れに惚れた。
土曜の夜に、うちの前で吉川さんが待っててくれて、私を連れ出してくれる妄想しては身もだえた。
当時の吉川さんは、二十歳そこらの若造で、「大人の男」と言うにはちょっと早かったかもしれないけれど、中学生の私からしてみれば、吉川さんの、ガタイだけではない精神的な大きさ、包容力みたいなものに強く惹かれた。
ライブに行きたかったがそれは叶わず、あっという間に彼らは、のちに「19901108」と呼ばれる東京ドームでのライブを最後に、無期限の活動停止に入ったのであった。
COMPLEXの活動休止後も、COMPLEXのライブビデオを擦り切れんばかりに繰り返し観た。
COMPLEXは、布袋さんのギターと吉川さんのボーカルがバチバチにぶつかりあう、パフォーマンスの凄さもさることながら、長身でジャン・ポール・ゴルチエの衣装が良く似合う、実に舞台映えのする美しきロックスターだった。
あぁ、この二人が好き!
吉川さんと布袋さんが、COMPLEXとして一緒にステージでパフォーマンスしているときが一番好き!
そう心底思った。
そんなロックスターを生で観ることは二度とないのだと、落胆やら未練やら、悶々とした気持ちを抱えながら、残されたライブビデオを見てはやり過ごしていた。

時は流れ、2011年に東日本大震災が起こり、その復興支援のチャリティライブとして、COMPLEXが二夜限りで復活すると聞いたときは、もう太陽が西から昇るのと同じぐらいとんでもないことが起こったんだ!っていうほどの衝撃だった。
あのCOMPLEXが復活するとなれば、もうこれは私はライブに行かねばならない。
COMPLEXのライブに行くことは、私にとっては義務である。
そう思って、死に物狂いでチケットを取り、二日とも会場に足を運んだ。
その時は、もう二度と観れないと思っていたCOMPLEXを生で観れたこの上の無い喜びと、その21年前に音楽性の違いから、飲み屋でつかみ合いまでして別れたあの二人が、復興支援と言う大きな志のもとに共に立ち上がってくれたことで、もうエモすぎて、感極まってライブ中に泣いた。
後にも先にも、あんなに泣いたライブは無い。
大好きだったあの二人を、生で観ることができて、中学生のころから抱えていた、あの無念さも晴らせて、もう思い残すことはない。
そんな風に思えたライブだった。

前置きが長くて申し訳ないが、そこから更に13年後の今年。
能登半島で震災が起こり、その復興支援として再び、COMPLEXが立ち上がってくれた。
やっぱり、二人はスーパーマンみたい。
これもやっぱり、私は絶対に行かなくっちゃ!と勇んでチケットを取り、20240515、東京ドームに足を運んだのだった。
着て行ったのはコレ。

2011年のライブの時に買ってかあったのを、13年振りに引っ張り出した。

客層は、こう言っては失礼だが、50代ぐらいのおじさんが多かったように思う。
2011の時も感じたことだけれど、COMPLEXのファンって男性の方が多いのだ。
私ぐらいの年端の女性は、あまり見かけなかった。
物販の列にも一旦は並んで、プリズムホールの中まで入ったはいいが、激混みで、このままだと開演時間に間に合わないかもと不安に駆られ、途中で列から離れた。
平日の昼間だというのに、13年振りだというのに、何でこんなにたくさんの大人がいるのだ。
皆、COMPLEXが大好きだからに他ならないってことなのだろう。

会場の中に入り、自席を確認すると、スタンド席の一番後ろで、横が柱という席だった。
遠いと言えば遠いが、横にも後ろにも人がいないおかげで、スペースが通常よりも広く確保され、両手をガンガン振り上げても、大きく横に揺れても、一向に気にせずに済むのは非常に良かった。

開演前からお客さんのボルテージは最高潮。
オープニングが始まる前だっていうのに、立ち上がって手拍子を始めている。
ライブが始まると、ステージ上のスクリーンに映し出されたのは、水滴のようにも見える、光が落ちていく映像。
バックの音楽はワーグナーの「ワルキューレの騎行」。
これは、2011の時のオープニング時と同じだ。
会場からはどよめきと言おうか、地響きのような歓声が湧きたつ。
そして、あのイントロが始まる。
BE MY BABY, BE MY BABY, BE MY BABY, BE MY BABY, BE MY BABY, BE MY BABY BE MY BABY, BE MY BABY!
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!
始まったーーーーーー!!!!!
上手からは吉川さん、下手からは布袋さん。
二人が舞台のセンターに向かって歩み、そして、がっちり握手!!!
ぎやああああああああああああああああああああ!!!!!!
愛っしってぇ~~~いるのさっ、狂おしぃ~~~ほぉどっ!
COMPLEXのファーストシングル、「BE MY BABY」の出だしの通り、私は彼らのことを狂おしいほどに愛している。
この曲の終わり、吉川さんがシンバルキックを披露しようとするも、最初は失敗するが、側転しながらのキックは成功。
吉川さん、今年の初めに目の手術をして、以後、激しい運動は避けるように医師から指示を受けていたから、こういう動きも大丈夫なのかとちょっと心配に。
心を一つにして能登にエールを送ろうと熱いMC。
その次の曲は「PRETTY DOLL」だったので、今日のセットリストは2011と一緒、もっと言えば、1990と一緒なのかなと予感させた。
思った通りのセットリストで進み、途中「LOVE CHARADE」で、布袋さんが両手でハートマークを作って頭の上に持って行った。
それを吉川さんも真似して、間奏中にハートマークをやっていたのだが、そのハートマークと共にマイクも頭上に行っちゃってて、客席とのハートマークのシンクロに気を取られていた吉川さんは、次の歌いだしの時に、マイクが口元に当てるのが間に合わなかった。(笑)
あと、何の曲だったか忘れたが、スタンドマイクで歌う曲で、イントロだか間奏の時に、吉川さんがクネクネ踊りながら、どんどんマイクから離れて行ってしまい、これもまた歌い出しに間に合わなくて、慌てて戻るという。
もう吉川さん、笑っちゃってたし。(笑)
その日は、WOWOWの撮影入ってて、きっとのちに円盤化もするだろうが、そんなご愛敬シーンもカットせずに入れ込んでほしい。
皆大好き「恋をとめないで」も、「土曜の夜」は「水曜の夜」で来るかと思いきや、「東京ドームの夜」となんと場所指定できたもんだ。
5万人のド~~ンスト~ップマ~イラ~!!!は圧巻というか壮観で、ステージ上の二人とオーディエンスとの一体感が半端なかった。

ダブルアンコールの後、布袋さんが「新曲どう?」みたいな話を吉川さんに振っていた。
吉川さんは、「(レパートリーの少なさが)心苦しいよね。」とは言っていたが、私にしてみたら、新曲はあってもなくてもいいし、もしまたいつか、COMPLEXがライブをすることがあるならば、19901108とまた同じセットリストでも全然かまわない。
代わり映えしないと言えばそれまでだが、19901108を生で観ていない私としては、追体験する意味では、同じセットリストの方が良かったりする。
やっぱり私は、2011も、2024も、1990を取り戻そうとしてるんだなって強く感じる。
所詮、二人はやりたい音楽性が違うんだから、新曲作って、またぶつかり合って、つかみ合いになって、仲違いするかもよ?とも思うが、最新のCOMPLEXが最高のCOMPLEXだとも思うから、新曲を待ってみたい気もする。

総じて、とにかく二人はカッコよかった。
見た目とか、そんな表面的な話をしているのではない。
勿論見た目もカッコよいが、彼らの言動、生き様、志、全てがカッコよい。
「カッコよい」なんて、安っぽい言葉でしか、あの二人のことを表現できない自分の語彙力の無さを呪うが、あんなにカッコよいロックスターはあの二人だけ。
それから、二人は共に身長が180cmを超える大男だからというのもあるだろうが、二人の存在感が強くて、不思議なことにステージまでの距離を感じなかった。
遠くに感じなかった。

2011と比べたら、吉川さんがギターを弾く割合が増えたように思う。
これは前述の通り、あまり動き回れないことの代替なのかなとも思う。
また、2011から、いや、1990からだいぶ違ったなと思うのは、二人の笑顔がものすごく多かった。
1990なんて、若い二人の仲違いののちのラストライブなので、にこやかな感じは皆無だった。
それに比べると、なんと穏やかなことよ。
吉川さん58歳、布袋さん62歳。
それぞれが素敵に年を重ね、寛容性が増してきたことの表れのようにも思う。

13年ぶりに、COMPLEXとしての吉川さんと布袋さんと、同じ空間で同じ時を過ごせて、その1秒1秒が本当に幸せだった。
中学生だった頃の私に言いたい。
あなたが大好きだったCOMPLEXの二人は、30年経っても、ボーカリストとギタリストのトップランナーで走り続けていて、誰かが困難に直面している時に手を差し伸べてくれるスーパーヒーローになって戻ってくる。
大好きだったその男たち(あえて「男」と記させていただく)に、間違いはなかった。
COMPLEXを好きでよかった。

またいつか彼らに会えるのだろうか。
会えるとしたら、それはいつなのだろう。
また会えたらいいなと思いつつ、だけど、それが何か災害が起こった後でなければよいなとも思う。
いつかまたその時まで、信じられる二人のことを、またずっと好きでいたい。

ほどけた靴紐を結んで
振り向かずに歩いてゆく

COMPLEX「1990」作詞:吉川晃司 作曲:布袋寅泰

COMPLEX「日本一心」
2024年5月15日東京ドーム

セットリスト
1. BE MY BABY
2. PRETTY DOLL
3. CRASH COMPLEXION
4. NO MORE LIES
5. 路地裏のVENUS
6. LOVE CHARADE
7. 2人のAnother Twilight
8. MODERN VISION
9. そんな君はほしくない
10. BLUE
11. Can't Stop The Silence
12. CRY FOR LOVE
13. DRAGON CRIME
14. HALF MOON
15. ROMANTICA
16. PROPAGANDA
17. IMAGINE HEROES
18. GOOD SAVAGE
19. 恋をとめないで
20. MAJESTIC BABY

アンコール
21. 1990
22. RAMBLING MAN

ダブルアンコール
23. CLOCK WORK RUNNERS
24. AFTER THE RAIN

もしサポートをいただけるのでしたら、自身の心を潤すような音楽や映画などなど、エンターテイメントのコンテンツ購入に充てさせていただこうと思います。