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僕は「それ」以降の世界を生きる。

精神科に通うようになって1年が経つ。
1年前と比べると状態はだいぶマシだといえる。
今でも落ち込むことはあるが、何日も引きずるということは少なくなった気がする。

あらゆる問題や不具合ってものは、必ずしもひとつの因果に集約されるわけではない。すべての事象は、あらゆる事象が流動的に影響し、変化する過程の表出だというのが僕の世界観だ。

僕の育ってきた環境、幼少期の記憶、親との関係性、子供との関係性、妻との関係性、家族という集団、仕事、、そしてパンデミックとプライベートでのいざこざ。

もはやパンデミック以前の自分の精神状態がどのようなものだったかは、あまり思い出すことができない。今の自分の状態が「正常」なのか「異常」なのか、それもわからない。現状、最悪の状態ではないとはいえるが、完治ではない。そもそも、完治、完成、完了という概念は僕の世界観の中にはない。だた、はっきりしているのは僕はこの先も、この不安定な精神ってやつとうまく付き合っていかなきゃならないってことだ。

「それ」以前と「それ」以降で、まったく世界が様変わりしてしまう。それが「戦争」ってものの本質だ。そういった意味であのパンデミックは、第三次世界大戦だったと思っているし、僕個人にとっても間違いなく「戦争」だったと思う。「だった」なんていう過去形にしていいのかわからないけれど、世界は「それ」をなかったかのように振る舞おうとしている。そんなわけない。「それ」は確かにあったし、「その」後遺症(PTSD)はこれから先もつづいていく。

暗澹たる時代、空気の中でも「人間」の力や尊厳を高らかに鳴らす70年代のブラックミュージックに、僕が励まされるのは単なる趣味嗜好ではない気がする。

「世界には常にカオスが存在しているものだ。だけど問題は、どうやってそのカオスに秩序を与えるかだ。
(中略)
ソウルとは、人種、性別、年齢に関係なく、みんなにある感覚をもたらしてくれるものだ。すべてがうまくいく、という感覚をね。」
ーウィントン・マルサリス

グレッグ・グレイト『フライボーイ2 ブラック・ミュージック文化論集』(ele-king books)

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