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触れる

冷たい月 わたしの手が
木葉の朝露 わたしの舌が
蒼い風 わたしの声が
触れる 触れる 触れる ゆっくりと

気が触れた振り子のように
繰り返す 等間隔の往復運動
此方と彼方を 行ったり来たり
結んでひらく無限の距離

反復するリズム 記憶に触れる
差異のなかを歩む 犀の角
現実と幻想を隔つ水平線を
指でなぞる 曖昧な蜃気楼

遠い記憶を近く
わたしの内に知覚する
世界の境界線 その向こう側
わたしはあなたに触れたい

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