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コロナ禍で格安サーバのトラブルと対策

筆者は日本語プログラミング言語「なでしこ」を開発をしています。なでしこは、ユーザーコミュニティも活発です。ユーザー同士、掲示板で問題を解決し合ったり、プログラムをアップして見せ合ったりして切磋琢磨できるようになっています。それで、私は開発に注力すべく、掲示板などコミュニティ部分は、協力してくれてるEZNAVI.netさんにお任せしています。頼もしい限りです。

トラブルの発端

ところが、ここしばらく、掲示板がメンテナンス状態で動いていません。サーバのアップグレードキャンペーンがあり、それを適用したところ、PHPのバージョン差異により掲示板のプログラムでたくさんエラーが出たらしく、そのままサーバの管理会社により動作を無効にされてしまったのです。

そして、現在はプログラムを修正したので動作を戻してくれるよう頼んでいるとのことですが、コロナ禍のせいで人員リソースが不足しているのか、相手の返信がものすごく遅く話がぜんぜん進まないとのことでした。

そもそもサーバー側の申し出でアップグレードしたのにもかかわらず、それが引き金でいきなりサービス停止とか恐ろしい対応ですね。PHPのバージョンが問題なら、とりあえず以前のバージョンを指定できると思うのですが、意味が分かりません。

これ通販サイトとかだったら、ものすごい売上の損失になってしまいます。(もちろん、オープンソースのなでしこでもユーザー獲得の機会や、ユーザーのスキル向上の機会を逸することになりますが。)

格安サーバとの付き合い方は?

そもそも格安サーバは、月数百円で自分のWebサイトが持てるのがウリであり、ユーザーサポートが悪いのは仕方がないところもあります。業務でやる場合でも格安サーバを使うこともありますが、トラブルが起きた時のことも考えて運用する必要があります。

とにかくトラブルはいつ起きるのか分かりません。今でも記憶に新しいのは、2012年6月におきたファーストサーバの サーバデータの全消失事件です。ファーストサーバがホスティングしていた各社のデータが消失し、大惨事となった事件です(こちらWikipediaに事件の詳細がかかれています)。

もちろん、上記のような大きなトラブルはないとしても、格安サーバを使う限りは何かトラブルが起きた時に、なかなか対応してもらえないということを念頭に使う必要がありそうです。大規模トラブルの際は今以上に対応して貰えないでしょう。今回のなでしこコミュニティ掲示板のトラブルを考えると、ホスティング・サーバとの関わり方について、よくよく考える必要があると思いました。

傾向と対策

小規模ながら仕事でWebサイト管理もしていますので、今回のトラブルについて見聞きして思うところがありました。自分の身にもいつこの手のトラブルが起きてもおかしくないと思います。

そこで前提としてホスティング会社とのやりとりが遅々とし進まないことはあり得ると前提として考えるべきです。親身になって問題対応してくれると良いのですが、格安サーバにそれを求めるのは難しいと思います。

それでトラブルが起きたら、すぐに別会社、あるいは、別のアカウントに移し替えてサービスが継続できるような体制を作っておくべきと思いました。何度もやりとりを繰り返してよりも、別のスペースへ引っ越しした方がサーバ停止による損失を防ぐことができます。

そこで、以下のような流れを考えました。
(1)トラブルでサーバ停止→すぐに代わりの代替サーバを用意
(2)代替サーバで運用開始
(3)トラブルのサーバで解決を目指して連絡、対応してもらう

人間対人間のやりとりはどうしても時間がかかります。そこで、人間を介さない仕組みを利用してトラブルをフォローするというわけです。

格安サーバでWebサイトを素早く引っ越すには?

最近の格安サーバでも、SSHログインしてコマンドラインによるファイル操作が可能です。そこで、常時サーバ内のデータやシステムをGitなどでバージョン管理するようにすることをオススメします。

システムに問題があれば、すぐに元のバージョンに戻すことができます。また、常時バックアップを取ることになるので、問題が起きたとき、最小限の被害で新しいサーバに移行できるメリットもあります。

もちろん、バージョン管理システムを理解するのにも学習コストが必要です。それでも、何か問題が起きたときのことをかかると、何かしらの方法で、すぐにデータやシステムを復旧できる状態にしておくことが大切です。Webサーバで利用するデータの大多数は、HTMLにしてもJavaScript・PHPのプログラムにしても、基本テキスト形式のファイルなのでバージョン管理システムとの相性が抜群に良いです。

結論

昨今のホスティングサーバは申し込みから利用開始まで数分でOKということも多いので、問題が起きたときにすぐ新しく契約して切り替えることもできます。また、格安でも複数のドメインを混在させて一つのアカウントで運用することもできます。しかし何かあったときのために、複数のサーバで契約しておいて、何かおきたらササッと別のサーバで運用できるようにしておくと良いでしょう。

蛇足ですが、長期契約で料金前払いすると、サーバ料金が安くなるのですが今回のトラブルを思うとちょっと怖いですね。少し割高になっても、いつでも止められる契約の方が、長い目で見ると良いのかも。と言いつつも、安さに負けて長期契約してしまうのですが、Webサーバの管理は意外と考える要素が多くて難しいですね。

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