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黄昏の公園から聞こえる管楽器。

ごきげんよう、くじらです。

私は大のアニメ好きでして、中でも京都アニメーション制作のアニメはすべて見つくしている、いわばオタクです。京都アニメーション(以下 京アニ)の作品のモデルの一部は京都府なのはご存知でしょうか。

例えば、今春から始まる「響けユーフォニアム3」の舞台は京都府の宇治市、そしてモデルとなる学校は宇治市にある京都府立莵道高等学校です。このアニメは、青春そのものって感じで、吹奏楽部ではありませんでしたが、吹奏楽がいかに体育会系の部活と言われているのかを知る切っ掛けになりました。今日はそんな吹奏楽に関するお話。

子供の頃

私が子供の頃、私の地元は程よく田舎でした。田んぼがあり、まだ住宅もそこまで建っていないが、区画整理がどんどんと進んでいっている、まさに家族が引っ越すためにある町に変貌する、そんな転換期の中でした。私達家族は比較的早い段階で引っ越してきました。自転車で移動すれば一面が田んぼだらけ。ちくわとタコ糸でザリガニを釣って、夏は外に水槽を置いて育てていました。裏山に行けば、カブトムシやクワガタムシが生息していて、父親の特製カブトムシホイホイでいっぱいカブトムシを捕まえ、幼虫を育て、その次の夏には羽化して立派なカブトムシになるまで観察していました。

今となっては、虫すらさわれなくなってしまいました。大人になっていくって不思議ですね。

そんな私は、放課後に自転車で30分ほどかかる大きい広場のサッカー教室に通っていました。そこまでサッカーが好きだったわけではないですが、クラスメイトがサッカーはかっこいい!みんなでやろう!というノリに付き合い、それまでに至る。練習自体は楽しかったです。帰りに家族経営のパン屋さんで明太子パン70円をがま口財布から出して、みんなで食べる。案外楽しい生活を送っていました。

管楽器の音

ある日も、例に漏れずサッカー教室に行ってました。夏場で黄昏になる頃、ふと聞こえる管楽器の音。同じパートを何回も何回も、その当時の私は鬱陶しく感じてしまいました。ドリブルの練習をしていると、その管楽器の音はすでに何処かに消えてしまいました。この不思議な管楽器は、私のサッカー練習のたびに現れたのです。

久しぶりに故郷へ戻ってきました。今まであった田んぼもすべて住宅になり、個人経営のパン屋さんのシャッターは締まり、大型スーパーが車で行けばある。子育てにはいいロケーションになったのだろうけど、商店街の過疎化が止まらない。そして、あの管楽器も聞こえなくなってしまった。

大人になって、このことを改めて考えると、部活練習では満足できなくて、迷惑をかけない大きな公園で思いっきり吹いて練習していたのだと思う。今となっては、その周りも住宅に囲まれてしまっている。思い切り吹きたくても、「吹けなくなってしまった」のだろう。

故郷の人口が増えていくことは願ってもないことです。けれども、誰にも何も言われなかった、管楽器の音や田んぼなどはどんどん消えていってしまったのかもしれません。

それではまた、次のお話で。


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