黎の軌跡2 感想①タイムリープ導入の構造的欠陥

※1章終わったので追記修正したものをAmazonレビューに投稿した。
★★「軌跡構文ライターはいいかげんクビにしろ」
とほぼ同文ですが、コピペパクリではなく、両方本人です※

まだ1章の途中だが、すでにプレイ意欲がかなり萎えてしまっている。
自分でもびっくりするくらいにもはや起動するのがおっくうだ。
すでにAmazonレビューなどで、
全く話が進んでない、2にした意味がない、パンツゲー、など酷評されているのはいつものことだが、
今回これまでと違う切り口、いわゆるタイムリープでお話は進んでいく、
わけだが。

そもそもの進行の手順がもうおかしい。
プレイ時間5時間足らずの段階で、すでに主演クラスが2回死亡している。
それも、こちらには何の選択肢も与えられないままに。

古くはエロゲー老舗のelf、サウンドノベルの最高峰「街」やその後継作として名高い「428」など、プレイヤーの選択により時間を巻き戻し真相を探っていく、という手法は昔からあるものではある。
だが、その多くは常に「分岐ありき」のゲームシステムである。
1回目の初見プレイから、先に選択肢を設けて、その結果でルートが決まり、それが次々と枝分かれしていく。それが本来のシステムだ。
だからこそ、どちらを選ぶべきか悩み、予測し、先の展開に驚く。

が、今作にはそれがない。
いつもと同じように話が進み、
いつもと同じようにボス戦が始まり、
いつもと同じようにプレイでは勝利したはずなのに、なぜか主人公たちは「くっ、ここまでとは!」などと顔をゆがめ、片膝をついて苦戦している。
そして、そのままあっさりと死亡してしまう。
すると唐突に暗転し、事件直前に時は巻き戻される。
そこで初めて選択肢が提示される。
さっきまでは1本道だったのに、突然に他の選択肢が出てくるのだ。

何だこれは?
しかも当の本人達には、ぼんやりとした感覚だけで、未来を予見した、という明確な自覚まではできていない。
ただ何となく「嫌な予感がする」的なぼんやりとして感覚だけで、
さっきとは違う行動を取る。
(プレイ上では選択肢は2つ出されるが、片方は先のBAD展開なのでそちらを選ばざるを得ない。つまりは選択肢を出される意味が全くない。)
そして問題はあまりにも簡単にクリアされ、また物語は進んでいく。
さっきはあんなにも圧倒的な敵の前にあっさりと散ったのに、わずかな増援だけで敵を退け、ピンチを切り抜けられてしまう。
何だこのカタルシスの無さは?

しかもこれが、どうやら1度や2度ではないようだ。
序章と1章ですでに1回ずつ、ということはこの先も、全章でほぼ同じ展開になると推測できてしまう。
あと何回、誰かが死ぬのを見せられ、
あと何回、誰かの何となくの感覚で違う道を選ばされ、
あと何回、誰かの助けで回避する展開が続くのだろう?
そう考えるだけでプレイ意欲はすでに失われている。
本当にこんな手法で、プレイヤーをワクワクさせ、楽しませることができると考えているのだとしたら、それはもう恐怖すら感じてしまう。

閃シリーズが始まって以降、繰り返しプレイヤーから指摘され続けてきた、
・薄っぺらいテキストによる薄っぺらいメッセージ性
・キャラ設定先行でストーリーは全部後付け
・旧時代~導力革命~現代まで連なるインフラ世界観の破綻
これらの根本にあるのは、
制作側がこのゲームを通じて
「何を伝えたいのか」「何を楽しんで欲しいのか」
これが曖昧なまま、いたずらに作品を重ね続けている、いわばゲームの根幹がどこにあるのかを持ち得ていないという事だ。

ロボットSFものが当たれば唐突に機神という名のロボットものを始め、
ペルソナが当たれば女性キャラをこれでもかと出して学園恋愛を取り入れ、
そしてなぜか令和のこの時代に今さらのタイムリープを持ってくる。
いったいこの会社は何を作りたいのだろう?
この物語の結末をどこまで見据えているのだろう?

もはや国民的漫画となっているワンピースが、ここまで長く人気となり、愛され続けているのには理由がある。
作者自身が、連載の早い段階からすでに「物語の結末は考えてある」と明言しているからだ。つまりは「ワンピースとは何か?」「ルフィの夢は?」
描かれる物語は全て、そこに辿り着くためのもの、という共通認識がある。
だからこそ、読者は安心してこの長い冒険を一緒に続けることができる。

ファルコム近藤社長のインタビューなどを見るにつけ、自分は不安になる。果たしてこの人は、この世界のどこまで作り、どこに向かって進み、どんなゴールを目指しているのか?
予想がつかないのではない。そもそもゴールさせる気があるのかすら疑問に思ってしまう。
このゲームの世界はまだ半分も埋まっていない。


#軌跡シリーズ

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