奪還のロゼ 最終幕感想

奪還のロゼ 最終幕感想

一幕から三幕、そして最終幕と四ヶ月間かけて観て、面白かったと思う!!!
コードギアスと名を冠した新作がコードギアスでありながら、新しい監督やスタッフによって確立した、新しい作品になっていたのが特に素晴らしかった。その体感が11話までずっとあったな。
12話は逆に反逆のルルーシュR2最終回を思い出して、最後の最後でそこに収束するのもまた乙なものなのかもなと思った。

でもなんか観た後は酷く辛かった。なんでだろう。1日経っても辛い。
このどうしようもない辛さこそが、コードギアスという体験の再来なのか?わからないな。また長い時間がかかると思う。
以下感想

・KMF戦をせんか!!!!

アーノルドをこんな扱い方すなよ!いや他のキャラクターの扱いでもムムム…となることがないわけではないのだけれどそれにしてもモノ(機械)になることで機体と神経を同期し反応速度をあげたのにそのアーノルドを機体から降ろすのは…意味が………展開としての筋書きに対して演出や会話劇による効果があっても良かったなと奪還のロゼ全体的に思う。

・ノータイム発砲サクヤ

ギアスが効かないとわかった瞬間のノータイム発砲好き。
力を持たぬサクラが態度と言葉によってキャサリンを説いたのに対し、サクヤは持てる武力、力は躊躇なく行使するのが面白い対比だなと思った。サクヤのこういった無鉄砲さというか、戦略家なのに愚直であるのが私は好きなのだと思う。後のノーランド詰めタイムも、自分の見解の外にいる相手を理解できないと真っ当にショック受けてるのがキュートだね。

・シャルルお爺様

クローン!まあ、そのくらいのことは生前やっときますよね………どちらかというとV.V.の方策にも思えるけど。
でもなんかあんまクローン感なかったな。というかシャルルって若本規夫さんの印象が強すぎる。シャルルが若本規夫さんなのか若本規夫さんがシャルルなのか。
一貫して尺の度合いを嘆かわれ続けたコードギアス奪還のロゼで、「じィんるゥいのォォ……駆ゥ除だァァ……」とか喋ってきてたら流石に爆笑してたと思う。危なかった。ありがとう安元洋貴さん。

シャルルお爺様バレしたあとのOP熱かった!!!!10話始まった時にMIYAVIさんの神OPを爆音で聴けないっつーーーーのは、、、、どういう了見?と早計に思案してしまったが完全に杞憂だった。謝罪。
ぼかしの取れた幼少期ノーランドの何にも関心のなさそうな目めっちゃ好き。好きなOPがさらに好きになった。
ラグナレクの接続もそうだったけれど、この人はもとより人類という種族に向けての関心がないですよね。あるのは自分の意思に紐づいた目的だけで。
クローンとなってはもはやそれすらない。あるのはただ目の前に無数に存在する自分と姿が似た種族が鬱陶しいという主観のみ。意思のないクローンが持った動機が、非常にシンプルな感情であったのが趣深かった。やっぱシャルルっておもしれーわ。

・キャサリン

奪還のロゼのキャラクター全員を通しても一番描写したいことが描写されきった人物なのではないかと思う。一貫した主張と、それを構築した過去。しかし環境と出会う人、そして選択が彼女自身に別の視点を持たせる。そして彼女が、今現在を生きるキャサリン・サバスラとなる。
彼女に割り当てられた時間は全キャラクターの中でも多い方に入るのは間違いないが、一番ではない。しかし、一番上手く描写されたのはキャサリンであると思う。「そういうことじゃないんですけど」って台詞がメタ的にすごく面白いのに、それがキャサリンの言葉として適切であるのが絶妙だった。良いキャラクターでした!

・アッシュのテーマ

ギュインギュインしてる音かっこいい!かっこいいのに健全でないというか、脅威的な音してるのがよりかっこいいな。早くサントラ聴きたい!聴きたいけれど…心理的には聴けないかも…な………

・七煌星団
七煌星団、捨て身戦略が多すぎです、、、!戦略として再現性があんま無いしどうなんと思うけどまあそれで戦争が終わるなら再現性は必要もないか。

それはともかくとして三幕でハルカの立場がちょうどいいって感想を書いたと思うんですけど、これ七煌星団のみんながそうだった。ちょうどいいというか、等身大の人間なんですよね。普通の人間たち。突然の事態にはパニックになるし、組織すらも機能性を欠いて、単調的な機動になる。すてみタックルで凌ぐ先に未来があるのかと鑑賞者としては懸念するのだけれど、それでも生き残る人たちはいるし、戦争も終わるんだよな。

物語の世界の外側からその様子を観ていると、もどかしいこと他ならない。だけれど、それが人類の大半の姿なんだと思う。
ルルーシュが上手くやってたから錯覚してしまうけれど、その場で生きている当人たちにとってそこは直面した現実でしかない。俯瞰した状況判断ができるほど世界情勢を掌握してもないし、そもそもその立場にあったとしても客観的分析と判断を万人ができる訳でもない。できる人もいるけれど、少数だ。

少数であるのに創造物においては、作り物たる所以にそれができる人たちで物語が構成されがちだと思う。こう行動したら物語が面白くなる、こう言動したら人間関係に動きが出る。そうした計算と理想の上で作られれば、結果がそうなるのは自明の理だ。

しかし、今回奪還のロゼの七煌星団を観ていると、これこそが等身大の人間だよなと思う。迫る状況に対して、今自分ができる精一杯を必死にこなすというのが大半の人類がとる行動で、生きるという活動なんだ。

戦争が終わった後の小田宗森新城がレジスタンスはもう必要ないと軍事に全く関係のない未来を選択していそうなあの打ち上げの様子を観て、この素直な凡庸さが創造物に在ることに価値があると思った。

・アッシュとサクヤ 

サクヤがアッシュに再びギアスをかけるシーン、安易な表現では到底落とし込めない。ただ一人と一人の二人の人として、美しかったな。

アッシュにギアスをかけることをサクヤは何よりもしたくなかったと思うし、アッシュにとってもギアスをかけられることは決して癒えない心の傷になっていると思う。

そんな二人が目的のためにそのトラウマに向き合う。ギアスは呪いではなく、誓いだとアッシュが言う。その覚悟を貴方も背負うのだとアッシュがサクヤに求め、サクヤはそれに応じる。ギアスという能力における授受の関係が、人の意志の前に逆転するんだ。その感動の余韻に、まだ魅了されてる。

相手へ尽くす、求められるばかりだったアッシュが相手に求めることができたのは、先んじてサクヤがアッシュという人物を尊重し、守ろうとしたからだろう。だからアッシュはアッシュの意志として、サクヤにギアスをかけさせることを要求できた。

サクヤもまたそうだ。奪われたものを取り戻すために歩んだ道のりは、自分もまた誰かから何かを奪い続けた結果だと自覚したから、奪ってしまったものを返そうと、与えようとするんだ。だから、もう二度と行いたくない非道の咎を、再び背負うんだ。

弱みと向き合い、身の震えを止めるためにギアスを行使する。目的のための手段ではなく、二人の覚悟のために。

行使の先にある支配ではなく、行使するという意思こそが決意の表明になる。あまりに、あまりに素晴らしいアンサーでした!!!!ありがとう奪還のロゼ

・アッシュ

辛い。君の人生これからだっただろ…。なあ………。
戦争で両親を奪われて、普通の生活も奪われて、守りたかった唯一の家族まで奪われて。その記憶すら一度は書き換えられて、それでも皇重衛との約束を守ろうと再びサクヤと戦場に戻って。ずっと誰かのために行動してる。なら一番優しくて強い力を持つのはアッシュじゃないか。なんで最後にそんな選択しちゃうんだよ。優しくて強いから?だから何だっていうんだ。自分を大事にしてくれよ…………。ひどく辛いよ……………………。

でもな〜〜〜〜〜〜〜〜……………この選択はアッシュが、何にも強制されていないアッシュ・フェニックスが選んだことなんだよ………。アッシュが自分自身でしたくて、やったことなんだよ。
だから、尊重したい。「守ることができた」と、アッシュが言うんだ。だから、それを尊重したい……………したいけど、見送るのはまだ難しいな。生きていて欲しかったから。

幸せになって欲しかった。ずっと頑張ってきたから、長く休んでほしかった。何の制限も縛りもない環境と時間の中で、どこへだって行って欲しかった。サクヤと離れたくないのなら、側にいて欲しかった。風になんて、君にはなってほしくなかった。

悔恨だけが残る、そんな辛い人生を決して肯定はできないのだけれど。それでも、それでもサクヤがアッシュに「守りたい」と、アッシュの人生でこの言葉をかけられる経験があって、良かったと思う。

走り続けてくれたこと、覚えてるよ。お疲れ様。

・サクヤ

辛いな。辛いよな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、、、、、、、、、、。
確かにサクヤは北海道もサクラも取り戻せた。奪還という当初の目的は果たされたのかもしれない。
だけどその代償に誰にも共有できない消えない傷を抱え、声を失くしたまま生き続けさせるのか。
アッシュがのこしてくれた家族の名前を呼ぶことすら許されない生活をさせるのか。
与えたかった相手に最後まで与えられて、結果的にサクヤはただ奪うことしかできなかったのが辛いな。
これが罰だと言ってしまえばそうなのかもしれない。生きたがった者には死を。死にたがった者には生を。
相反する結果を与えるというのが反逆のルルーシュから続く、人類に与えられる一つの結末なのだろう。

それでもやっぱ辛いよ、、、、。これが因果応報っていうのなら、それを唱える第三者自身はどうなんだよ。応報くらってんのかよ、、、、。

まあでもなんか、これがコードギアス感はある。諸々の描写や設定の荒さからか、奪還のロゼは反逆のルルーシュに比べると展開が優しいなと思っていたから、だから想定以上にすげーショック受けちゃったんだと思う。

ナナシの傭兵が人類の敵を討伐し殉難した、奪還のロゼの結末とはつまりそういうことなのだろう。
苦すぎるて。
こんなのって、こんなのってないよ………………!!!!!(レイアース)

・最後に

なんだかんだ書いたけれども、4ヶ月間劇場に通って、この令和に新しいコードギアスのアニメをリアルタイムで追うことが出来て、楽しかったなーーー!!!!奪還のロゼを観ることで反逆のルルーシュのこういうところが好きだったって思い出したり気づいたりできたのも良かったし、逆に反逆のルルーシュでは辿り着けなかった境地に奪還のロゼが到達できていた場面もあったように思って、とても良い体験をさせてもらったなと思う。


監督をはじめとした制作に携われた皆様、本当にお疲れ様でした!とても面白かったです!

ありがとうございました!!!!!!!!


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