ガルクラのスアよ、永遠なれ

ガールクラッシュというタヤマ碧先生の漫画が現在進行形で連載してるんですよ。4話目がLINEマンガに掲載されたあたりから私は読み始めて、それからずっと先読み課金し続けてる好きな漫画です。

私は天花が好きです。主人公である天花は容姿端麗で高身長。手先も器用で、何事も一定のレベルまではそつなくこなせる、”持っている子”。そういう子に、なろうとしてなったんです天花は。”持っていない”ことが原因で、自分の居場所を脅かされないように。天花を外側から見た時のこの印象は彼女の努力の、確かな積分の上に成り立つ結果なんです。

それでも、その結果を天花ちゃんが持っていても、天花ちゃん自身が最も求めていたものはその時点で獲得できないんです。どれだけ努力しても、天花ちゃんがそれを手に入れることはできなかった。だけどそれと同時に今までは思いもつかなかった選択肢が天花ちゃんの中に生まれるんです。それを手に入れるために天花ちゃんは渡韓し、K-POPアイドルを目指す。(本編の内容を文字で説明しすぎても本末転倒ですしこの辺りであらすじは控えたいと思うのですが、もし少しでも琴線に触れるものがあればぜひガールクラッシュを読んでください。私の拙い文章では到底伝えきれていない魅力がたくさんあるので)

漫画を読んでいると、まず天花ちゃんに憧れるんですよね。登場した時点でクールだった女の子が、他の誰でもない自分のための未来を獲得するために、未踏の地へ踏み出している。素敵な女の子がさらに素敵になろうとしている。輝かしくて、その眩さが自分をも照らしてくれるような気持ちになるんです。天花ちゃんが頑張ってるから、頑張ろうって。自分と同一視しているというよりは、本当に素敵だから。
子どもの頃に、いや本当は今も夢に見てしまうような、そんな理想的な物語を天花ちゃんは体現しているんだと思います。

日本にいるときの天花ちゃんにイケてない側面があっても、それらは天花ちゃんのネガティブな要素になりませんでした。過去と背景があって、その上で天花があの言動をして行動をして…その先に今天花が韓国という場所でアイドルを目指していることがかっこいいんです。打ちのめされたり届かなったり、苦しんだ道の先で、最後にはステージで笑っているのに憧れるんです。そういった意味で完璧な存在なんですよ、天花ちゃんは。

私はそんな天花ちゃんに異論を唱えることなく、素直に魅了されながらガルクラを読んでました。取締役もジウもミンチェも天花ちゃんを比較的すぐ認めて受け入れてくれてたし。あとは天花ちゃんが天花ちゃん自身と戦うだけだ…!!!負けるな、頑張れ、天花ちゃん……!!と。


しかし、ここでスアの登場です。

練習生期間も短く、全てにおいて慣れていない天花にとって、スアは正反対の人物であり、最も敵にまわしたくない相手だったと思います。そんなスアが天花に対し難色を示した。

ジウも最初は天花ちゃんに対し友好的ではありませんでしたが、彼女はシンプルで、正直でした。天花ちゃんの人となりを知り、かつそれが自分のステージを妨げない、むしろ自分に可能性を与えてくれると知ると、徐々に天花を受け入れたと思います。

それに対し、スアは複雑です。長い練習生期間が培わせた経験が彼女に複数の選択肢を提示し、彼女自身も選びあぐねている。そして天花ちゃんを貶める選択肢をスアが選んだ時、私は天花ちゃんが嵌められようとしているという不安よりも、スアが心配になったんです。この選択は、それこそ彼女の7年間という蓄積を無に帰してしまうと思ったから。

もしスアが自身の目的のためにこうした企みを行使する子であれば、彼女は今もこの地点にいたとは思いません。少なくとも、あの在りし日に彼女は何かしらの行動を起こしていたでしょう。

しかし、彼女はそうしなかった。それこそがスアという人間だと思うんです。そしてそんなスアが私は好きなんです。

「私には運がない」、自分自身は”持たざる者”だと、スアが自称するんです。7年間真面目に練習して、アイドルという夢を追いかけた子が。正直者がバカを見る世界で、スアは正直者を止めようとするんです。それがすごく辛かった。

2回あったデビューのチャンスは元チームメイトの決定的な悪意とアイドルになるという意識に欠けた同僚によるもので。そうした経験を体験しながら過ぎた7年という時間と、どれだけ必死になってもデビューできなかったという結果が、真っ当に努力することの価値をスアから奪ってしまった。なんて辛いんだよ。スアが何をしたっていうんだよ。ただ必死に、アイドルになるって夢を真摯に……。
天花を陥れたところで誰がスアを非難できる。なあ!!スア!!!!!誰もお前を咎められやしないよ……!!!

でも、違うよな。誰がとかじゃないんだ。誰かに言われて変わるのであれば7年は過ぎてないんだ。咎めるのは、7年前アイドルに憧れて7年間アイドルになろうとし続けたスア自身なんだ。なあ、スア……!!!!!!

だからスアが天花が来なかったことに”良かった”って泣いてる姿見てマジで良かったって号泣した。スアが守ってきたものが、天花を通して守られる。人にも結果にも認められなかった自分を、自分と同じポテンシャルを持った天花が肯定する。

天花という他人を通すことでやっとスアが自分を認められる構図に、特別感動したんです。

私が天花ちゃんという人物に理想を見るように、ガルクラの物語の中で直接生きるスアもきっとそうなんだろう。だから、余計に、スアがスア自身を諦めないでいられて、良かった。スアがスアという人間を失わずに済んで、本当によかったって思う。

兼ねてからスアに対しそういう気持ちがあったから「Luck」を読んだ時は本当に尋常じゃないくらい泣いてしまい……マジでもう言葉で説明するのがしゃらくさくなってきた。私のお気持ちとかもうどうでもいいので読んでくれないですか?


「BANG!」の熱さとかも本当計り知れないんですけど、この辺りはスア編(49話以降)の伏線回収というか、全体の構成力の上手さと併せて記述したいのでまた別の記事で書くと思います。
いやこの記事でまとめることも不可能じゃないとは思うんですけど、あと1時間で更新されちゃうんですよ、ガルクラが。オーディションメンバーの結果どこまで発表されるかわからないからとりあえず今現在思っていることを残したかったんです。


スア。オーディションメンバーに残れても残れなくても。アイドルになれてもなれなくても、君の頑張った7年間と守りたかった自分自身を読者は、少なくとも私は知っていて、それを肯定したいって思うよ。君の7年は君が精一杯努めた、限りなく尊く価値のある時間だったんだ。

君が天花ちゃんを通して自分自身を見て、認めることができて良かったと思う。でもそれも当たり前じゃなくて、君が良い奴だから、自分自身を形成している”夢”を脅かすような存在感を持った天花に対して自分自身を見つめ直せるんだ。そんな君を尊敬するし、君と天花ちゃんの人間関係が美しさに憧れるよ。

どんな結果になっても自分に誇りを持って、堂々と自分らしい人生をスアが生きれたら良いなと思う。そう願ってる。

スアよ、永遠にスアであれ……!!!!!!!!!!!!!!


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