奪還のロゼ 第三幕感想

面白かった!!!!!し、2024年に公開されたコードギアス新作というタイトルが成す役目を全うしたように感じた。それがすごく良かったのではないかと思う。
以下感想

・逃走中の予告

「こんなの逃走中じゃねえじゃん」かなりおもろい

・アッシュの過去

背負わせすぎ!!!!!!!!!コードギアスをアッシュ一人に背負わせて…….アッシュが何をしたっていうんですか?それとも全てをこなしすぎたからこうなってしまったんですか?
ニコルへのアッシュの庇護、ナナリーに対するルルーシュのそれと完全に重なり、またそれらを向けたれた弟妹のたどり着く感情も同じっていう皮肉。兄が弟妹を大事に思うように弟妹も兄を大事に思うのに、兄側はそれに気付けないのがつらいな。そうしていくうちに大事なものを全て失って、その結果が「俺が死ねば良かった」なの誰も報われなくて苦しい。

そんなアッシュが今日生きているのは、「好きなものをつくれ」って言ってくれた皇重護の存在によるもので、ここ一番熱かった。普通に泣いた。アッシュを収容所から逃し、生命的に持続させたこともそうであるけれど、一人だけ生き延びてしまったことの自責の念に押しつぶされそうになっていたアッシュが生きることを選択できたのは、皇重護の言葉があるからだよな。
感情を取り戻させ、生きる目的を与えた。超常的な能力でなく、アッシュ自身が選択できるようにアッシュ・フェニックスという一人に寄り添った。後述するけれど、これこそがギアスって能力に対する人類の答えなんじゃないかと思う。

・復活のアーノルド

テンション上がった!!!後出しとしか思えない供述だけど、私はアーノルドの純血の吸血鬼っぽいキャラデザが初登場時より結構好きだったからまさかの復活にテンション爆上がりした。表情の動き方とか声のデカさとか面白い。新キャラの中で一番コードギアスっぽいのは彼かもしれないな。初期ジェレミア卿人格と後期ジェレミア卿能力のサラブレッド。モノに頼るな→俺自身がモノになってやるよ!!!の脳直解釈もあっぱれです。

・「ハルカの援護に行ってくれ!」「むりむりむりむり!」

二幕の感想でも軽く触れたけれど組織の中で部下にあたる立場にいる人々が上司に対してNOと言える環境が良いよね……見ていて安定できるというか。自分を過信しない、力量を見誤らないって個人としても組織としてもすごく重要だと思う。それをちゃんと伝達する、言語によるコミュニケーションを怠らないのが奪還のロゼのメンバーのマジで良いところよな。素敵です。


・ハルカ
KMFでインファイトってしていいんだ!?おもろ!!!!!!もっと見たかった。
反逆のルルーシュのキャラクターと一番比較されるのがハルカ(スザク、カレンと)だと思うんだけど、個人的にハルカの立ち位置というか、能力値の塩梅はすごく適切だなと思う。超人的な一人がいたら、目先の問題は解決するかもしれないけれどそれはその人ありきの解決法になってしまう。問題に取り組むべきは個人ではなく集団であることが健全で持続的な対処法だなと思うし、それこそルルーシュがゼロレクイエムの先に望んだ人々の在り方だと思う。だからエースパイロットを務めるハルカが対アインベルク戦でこの戦績であることはすごく、ちょうどいいなと思った。

・ナラ
ニコルの最後を知っていてよくアッシュに話持ちかけられたな!!??!?合衆国に対する和平の持ちかけ方も圧倒的悪手で……ナラさん………!

・シザーマン
肉体戦も強い好感度異常高お爺、「天才と狂人は紙一重」の紙一重にあたる人。死に際も含めて味わい深く、めちゃくちゃ良いキャラだったと思います!
ナイトオブラウンズがほぼ若年美男美女集団だったのに対しアインベルクは老若男女、マッチョに黒ギャルと豊富で面白かったな〜

・サクヤとアッシュ、そしてギアス
サクヤがアッシュの過去を知り、流れるように拘束されたあとのサクヤの心理の動き、行動、素晴らしかった……..!!!!!!
これはルルーシュがずっとできなかったことっすよ。土の味が脳裏に過るけれども、本質は全く違うと思う。

アッシュの過去と彼の心情を知ったサクヤはまず己の過ちを認識する。そしてアッシュと再び見えた時には一番に自分自身の非を詫びた。その上で、それでも諦められない望みを願い下げる。これら一連の行動はサクヤが現在に行える最大の、アッシュ自身を慮ったが故の行動だ。このあたりがルルーシュとはまるで違う。

ルルーシュは最優先事項は目的の達成にあると思う。相手に向けた態度も謝罪の言葉も全ては自分自身の望みのための手段でしかない。彼がその行動を選択することに対し葛藤があり、苦しみを抱えていることを視聴者は(もしくはC.C.は)知っているが、ルルーシュと対峙している相手は知りようがないことだ。(知っていたとしてもそれらが情状酌量の余地をルルーシュに与えるかは別問題であるが)
そんな状況下でもっともらしい行動を相手に取り繕ったところで、利己的な動機は透けてみえてしまう。最もわかりやすくそれが露見したのこそ、コードギアス反逆のルルーシュR2第17話「土の味」だったと思う。

つまるところは、相手を尊重できるか、他己的であるかどうかなのだと思う。サクヤにはそれがあった。親友を護り、奪われた自国の領土と国民を取り返すという絶対的な目的よりも、まずは今自分の目の前に立っている相手のために言葉を尽くす。相手に対して誠実であることが、あの瞬間アッシュにサクヤの眉間を撃たせなかったと思う。

これはアッシュにおいても同じことが言える。自分が今抱える許せないという感情より、かつて自分に寄り添ってくれた皇重護を尊重した。皇重護の言葉と託された想いを、自分自身よりも優先したんだ。

これこそが反逆のルルーシュでも辿り着けなかった、ギアスという超常の能力に対する答えなのではないかと個人的に思う。人の道理を外れた力に対し人が出せる結論とは、嘘偽りない等身大の自分で、目の前にいる他人と向き合うということなのではないだろうか。

「ギアスとは願いに似ていないか」とかつてルルーシュは定説したけれど、もし他人に願い頼み委ねることがあるならば、ギアスという能力は介入するべきではないのだ。それこそ、ただの人でしかない自分が行うからこそ価値がある行動になる。
計算ではない、ありのままの自分を晒しコミュニケーションをとることこそが人と人の間に信頼が生み、上限のない確かな力となるのではないだろうか。

コードギアス反逆のルルーシュにおいてギアスは物語の中心にあったし、この能力をいかに扱うかが物語の焦点でもあったように思えるけれど、奪還のロゼにおいてはそうではないように思う。むしろ能力の行使によって失った信頼を人の道理で取り戻す。絶対的なギアスという絶対的な能力の支配、そして保持から、人としてあるべき姿を奪還する。それがロゼなんじゃないかと思った。

四幕がどうなるかわからない。サクヤとアッシュのこの不安定な関係に一つの区切りがついて、それぞれの人生に戻るのかもしれない。ロゼは皇サクヤに、ナナシの傭兵はアッシュ・フェニックスに。それも良いと思う。奪われたものを取り戻して終わる。

しかし望めるならば、全てを奪われたアッシュ・フェニックスが、大切に思える何かを獲得できたら良いなと思う。皇重護への恩義ではなく、自らがしたいと望むことを思うがままに。そしてまた皇サクヤも、奪うのではなく与えられる人になれたのなら。

ゼロレクイエムを遂げた先にもジルグスタンという国があり、C.C.という人物が残されてしまったように、全ての側面を一度に精算しきることは難しい。だから奪い奪われるという側面だけでない世界の見方を、二人が見つけることがこの物語の終着点になれば良いと思う。

奪われるだけの人生じゃない、与えられてきたのだと、そして自分もまた人に与えたいとそう思えたとき奪還という題は役目を果たし、二人の次の時間が始まるように思う。

完全に妄想と願望だけど、二人がありとあらゆる意味で自由になれたら良いな。

・オールスター感謝祭
アキトにもびっくりしたけどオズまで!!?!??!??!全員来るじゃん。
亡国のアキトのジュリアス・キングスレイは正直集客要員(コラ!!!)だと思ったけれど今回のこの出し方はここまでコードギアス追ってきた人へのファンサに思えて良かった。出てきすぎて面白いまであった。観光できて良かったね。
四幕がある程度オールスター感謝祭になるのだろうけれど、一幕から三幕までの構成を見るにちゃんとアッシュとサクヤ、奪還のメンバーでケリをつけてくれそうなのが安心できる。ヒット作の続編としてあまりに適切な構成で制作していてすごいなと改めて思う。

本当にそう

終わりに

第三幕はコードギアス反逆のルルーシュ、ひいてはギアスそのものに対するアンサーを勝手に感じて感動した。こじつけかもしれないけれど、そう感じられて、感動できたことが私個人の体験として嬉しい。奪還のロゼありがとうな〜〜〜!

次でに終わってしまうのが口惜しくもあるけれど、それ以上に続きが待ち遠しい。

第四幕楽しみ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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