番外編 磯凪一人の自宅 キッチン



もういいかな?!

もういいよね?


……「ダメ」って言われる。

よく見えないけど。

なんかボコボコしてるよー?


(無反応。)


うー。

もういいよー。もう入れちゃうもんね。


入れちゃおー。(笑)

えっへへへ。


「まだ沸いてない。」って。

一人いつひとさん。

こっちに来たけど、それだけ。


えー。

よくわかんない……


でも、まだなんだ。

ふぅーん。


うわ。

ボコボコ言ってる……!

ずごいボコボコ言ってるよ!


なった?

「五百円玉くらいの大きさ」になった?


(一人さんが、ちらっと見る。)


もういいよね?

目で合図する。


(そして首を振る。)

まだだめなのぉー!?

でもすっごいボコボコ言ってるよっ!

猛烈にボコボコ言ってるよ!



「まだ。」

「これはまだ完全には沸いてないんだ。」



なんだそれは!

知らないぞ!

そんなこと!


むー。

「むぅー!!!」

パスタを入れようとする。

もう危険だから、今入れないとダメだ。

危ないんだもんね。


「こら、こら。」

「まだだって。」


(一人さんが止めに入る。)



「うー!!」

抵抗する。

ジタバタする。(笑)


「うー、じゃないっ!」

「ううーっ!!!」

止められるのが楽しくて余計に反発しちゃう。(笑)

あっはははは!

楽しいな。(笑)



じたばた、

じたばた……

(一人さんが困ったような顔をする。)


今度止められたら、大声出しちゃおう。

耳元で叫んでやるもんね。(笑)

ナナちゃん、そういうの得意なんだ。


でも、聴こえるのかなぁ。


「お前が食べるんじゃないんだからさ……」

一人さんは自分でやりたそうにしてる。

すぐね。そういう人なの。


けどダメー。(笑)

あげない。(笑)

あっげないよー。

えっへへへ!(笑)

パスタは渡さないんだから!!

パスタは私が守るの。

パスタの束を握って離さないんだ。


えへえへ。

おいしい料理を一人さんに食べてもらうんだぁ。

じぇのべーぜのパスタ、好きなの知ってるんだ。


(まだ、困った顔してる……)

いいもんねー。

ナナちゃん、これでいいんだぁ。





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