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#114 苦しかった恋【思考整理】

2023年6月20日(火)の日記

この日は、昼から実家近くにあるセレモニーホールで打ち合わせ。安置室に眠っている母にお線香をあげ、お位牌や遺影選び、火葬の日程等決めていく。父の時もそうだったが、親戚もみんなほとんど他界し高齢なので、私と兄と甥っ子の3人、本当に家族だけで見送ることになる。

スタイリストさんの助言

打ち合わせが終わり、その足で以前から予約していた実家近くの美容室にカットに行く。何年も同じ40代の女性スタイリストTさんにやってもらっているのだが、カットしてもらっている30分の間、あーちゃんについて相談した。どうやら彼はADHDっぽいこと、さらにマザコンで年上が好き、本人は体目的で恋愛はあまり興味がないこと、それでも私は彼に惹かれていること。お風呂屋デートや部屋に遊びに来た時のエピソードを含めて、真剣に私の話に耳を傾けてくれたTさんの見解はこうだ。

その人と楽しさは共有できているのか?

表現は違うかもしれないが、そんなようなことを言われた。私の部屋で1人できゃっきゃとテンション高くおしゃべりしているあーちゃん。もちろん彼は酔っ払っているし、私はシラフ。思いを寄せている人と一緒にいるだけで楽しいは楽しいけど、元カレの時のように、どこかに出かけて楽しさを共有できたのとはまたちょっと違うかも?
そもそもあーちゃんは出かけるのが好きじゃないし。もちろん部屋で一緒にご飯食べるのは幸せを感じるけど、この先長く関係が続いたとしたら、私に不満は出てくると思う。
彼と同じ空間で同じ時間を過ごし、同じような価値観で「楽しい」と感じられるかは、現時点ではちょっとわからない。

一度やってみたら?

これって前、別の人にも同じこと言われたけど、もう若いわけじゃないし、そんなに貞操観念にこだわる必要もないのかもしれないが…。Tさんが言うには、彼に抱かれてみて「なんだ、こんなもんか〜」ってなって、もしかしたら私の方から気持ちが醒めるかもしれない、とのこと。

あのハイテンションから、そういうエッチなムードになるのが全く想像できないけれど、考えてみたら私もいつ死んでもそんなに不思議ではない年齢に差しかかっているし、もしかしたら来年は難病とか若年性認知症とか、いろいろ健康上の問題も降りかかってくるかもしれない。
今、やりたいことをやらないで後悔しないのか?と問われると…
そうだなぁ〜。でも、もしそのあと私だけを大事にしてくれる人と出会ってしまったら、なんだか後悔しそうな…本命の人とのエッチの喜びが半減しちゃいそうな気がしなくもない。
あとは、なんだかあーちゃんに負けたような気がして悔しいから。やっぱりこの女、俺の手に落ちたか…みたいに思われたらね。

相手を思いっきり惚れさせる

そしてTさんのアドバイスで1番刺さったのがこれ。
私も以前いちど考えたことだが、私を絶対的な存在にする。他のぽっちゃりさんにふわふわと気持ちが傾いてそちらに行っても、必ず私のところに帰って来くるくらいのゆるぎない存在になる。それぐらい惚れさせた挙句に、最終的には「あなたはただの友達よ」と言って突き放し、相手をギャフンと言わせるという作戦を提案された。
(でもちょっとこれかわいそう😢)

「え〜?どうやればそんなに惚れてくれますかねー?」
とTさんに尋ねると
「男の人はプライドが高いし、褒められておだてられるのが好きだから、徹底的に褒めて気持ちよくさせたらどうですか?」
なるほどね〜。そういえば、Tさん前にも同じようなエピソード言ってたな。山ガールのTさんが1人で山登りした時、すれ違った男性がしきりに自分の登山靴をアピールするので褒めてあげたら、すごく喜んでいたとか。そんなものだったらいくらでも褒められる。

ちなみに、あーちゃんの尊敬できるところは、金銭感覚だ。ADHDと聞くと、ギャンブル依存とか買い物依存とか、若干金遣いが荒そうなイメージなのだが、彼はすごく節約しているし倹約家だ。まぁケチかもしれないけど、少ない給料の中で食事も自炊したり、無駄遣いせずやりくりしているところは見習いたいと思う。部屋では、猫やメダカを飼ったり観葉植物なども育てているようなので、マメな人なのかもしれない。

しかし、ドSキャラのひなたぼっことしては、ひと言余計なことを言って人を怒らせることは結構あるのだが、むやみやたらに褒めることってほとんどないなぁ。もちろん、正直にすごいと思った事はそのまま言葉に出るけど、それほど思ってもいないことは口に出てこないし。
大げさに感情込めて言うには、朝ドラ「らんまん」の神木隆之介くんみたく、目をキラキラさせて「はぁ〜、すごいですね〜!」って感じで、かなり演技をしなくてはいけないかもしれない。ちょっと私のキャラじゃないんだけど。

年上好きで甘えん坊タイプの男性は自分に自信がない人が多いようだし、わがままを言ってもよしよしとそれを受け入れて、振り回されてもひたすら耐える。向こうが会いたいと言ってきたら犬のように尻尾を振ってワンワンと会いに行き、こちらが会いたいと思ってもそれはひたすら耐える都合のいい女に徹しなくてはいけないのか?
そんなこと私にできるか?!相当なテクニックだよ、これ。

過去最大の苦しい恋

今から干支が2周遡った24年前に、人生史上最大の苦しい恋があった。
私もあの頃は30代。離婚調停中だったのだが、夫のセックスレスのことで相談していたメル友さんを好きになってしまった。
同い年の「トモヤ」だ。
あーちゃんと初めて会った瞬間、直感的にトモヤと同じ(危険な)匂いがした。「この男を好きになってはいけない」みたいな。

トモヤのクズっぷりは、彼の優柔不断さにある。
初めて会ったとき、お互い何かぴんとくるものがあり、ファミレスで食事をした後、そのまま彼の車に乗って家まで送ってもらったと思うのだが、3回目位の小金井公園でのデートで、私から「手をつなぎたい」と言った記憶がある。2人でディズニーランドに行った時はめちゃくちゃ楽しかった。セックスレス夫婦だったので何年も男性の体から遠ざかっていた私に、またそれを思い出させてくれたのもトモヤだった。
私が彼に夢中になるのに、さほど時間はかからなかった。
それが苦しい恋の始まりだとは知る由もなく…

そもそも彼には別居して3年になる配偶者がいた。
今流行のドラマではないが、お互い配偶者からのセックスレスに苦しんでいた私とトモヤ。性欲的に耐えきれずトモヤが風俗に行ったのが原因で嫁が家を出て行った。しかし問題はそのあと。離婚するわけでもなく、話し合いをするわけでもなく、ずっとズルズルと放置状態。
「なんで離婚しないの?」
私の問いに彼は、思いが強くてなかなか踏ん切りがつかないといったような答えだった。トモヤと嫁は確か中学校の同級生で、かなり長い付き合いだったと言っていた気がする。

さらには、トモヤには何年か同棲している女性もいた。
彼が言うには「最近は仕事の話ばっかりでつまらないから、(同棲中の彼女には)もう気持ちは醒めているしセックスもずっとしてない」
未熟だった私は、簡単にその言葉を信じてしまった。
要するに私は三股をかけられていたのだが、私たちには体の関係もあるし、お互いもう付き合ってると思い込んで、同棲中の彼女とも別居中の嫁とも簡単にケリをつけてくれるものだとばかり思っていた。
しかし、その考えは甘かった。
別居中の嫁にも情がある、同棲中の彼女にも情がある、だからなかなか別れを言い出せないと言い訳するトモヤの身辺整理は、ちっとも進展しなかった。

そもそも私は妾タイプでも耐え忍ぶ女でもなく、自分が相手にとって1番でなければ嫌なタイプだ。私が心から相手を好きになれば、相手も自分のことを好きになってくれて、自然な恋愛に発展するのが当たり前と思っていたので、この経験はめちゃくちゃきつかった。
忘れもしないあの夏。
私はサザンの「海でyear!!」のアルバムを毎日のように聞いて、トモヤを忘れようともがいていた。今でもこのアルバムの楽曲を聞くと、必然と当時のつらい感情がよみがえってくる。

事情を知っている私の友人たちは、異口同音に「あの男はやめた方がいいよ」とアドバイスしてくれるのだが、そんなことは自分でもよくわかっている。でも、走り出した気持ちはそう簡単には止められない。
だからこそ苦しいのだ。

頭に浮かぶのは、西城秀樹の「激しい恋」のワンフレーズ・・・
「やめろと言われても今では遅すぎた。激しい恋の風に巻き込まれたら最後さ」
そう、恋愛思いっきり巻き込まれてしまった。

トモヤは優柔不断なだけでなく、金にもせこかった。
ホテル代とかも割り勘だったっけかな?彼の口癖は「フィフティーフィフティー」だ。大体クズ男って、傾向が似てるのかも?
こちらが強く出ればシュンとなるのだが、惚れている弱みがあるので、ほとんどが彼のわがままにの言いなりになってしまう。
待ち合わせの場所で何時間も待ちぼうけをして、デートをすっぽかされたこともあった。当時はガラケーだったが、連絡してもつながらず。
あとから父親が倒れて病院に行ってたという理由を聞いたが、メールの1本ぐらいくれてもよかったのにと思った。昭島の駅前で1人、何時間も待っていたあの時はとても悲しかった。

もう一つの苦しさの理由は、なかなかトモヤに会えなかったこと。
実家の自営業を手伝っている彼は確か不定休で、気が向いたときに私に声をかけてくる。気が向いた時、というのは、彼が私を抱きたくなった時だ。セックスがないデートは数える位しかないから、会うときはほとんどそれが中心だったように思う。
なかなか思うように会えなかったので、呼ばれればどんな状態でも喜んで尻尾を振って飛んでいく。私が風邪をひいて具合が悪い時でも、生理中でも、相手はお構いなし。トモヤにとっての“都合のいい女“と認識はしていたが、とにかく会いたかったから。
私をホテルで抱いたあと、いそいそと同棲中の女の部屋に帰っていくトモヤの背中を見て思ったこと。
「今にギャフンと言わせてやる!」

トモヤを忘れるためには、彼以上に好きな人ができないと無理だと思っていたので、トモヤより夢中になれる人と出会うべく、私も頑張った。しかし、そうそうそんな出会いがあるはずもなく、季節は巡り、秋が過ぎ、冬を迎えようとしていた。
転機が訪れたのはその年の12月。

メール交換をきっかけに会おうということになった、わりと近所に住んでいる年下の男性。風貌的に、美容師に見られると言っていたその彼は、ミツオ(仮名)という。
待ち合わせ場所は、新宿東口の地下にある中村屋の喫茶店。
少し時間に遅れてしまった私が喫茶店に通じる階段を降りたとき、喫茶店の扉を開けて中から出てきたミツオと鉢合わせをした衝撃は、今でも脳裏に焼きついている。
初めてミツオを見たあの瞬間、稲妻が私の胸に刺さった。
そしてその次に思ったこと。
「これでやっとトモヤと別れられる!」

ここで、ミツオの気持ちはどうなんじゃ〜?!って思う人もいるだろうが、おそらくあの時2人は一目惚れ。目と目があった瞬間、恋に落ちたという感触だった。
その日のうちだったか、2回目のデートの時だったか忘れたが、私が13歳年上だとは知らずに、彼から「僕と付き合ってください」と言ってくれた。こういう形で相手から交際を申し込まれたのは、もしかしたら初めてだったので少し戸惑いがあった(いつもは、私からアプローチするのがパタンだったから)。
年齢のことがあったので少し躊躇したが、実年齢を言ってもミツオは「年齢はただの単位に過ぎないから」と言い、それ以降、私にたくさんの愛をくれた。やっと私にも、幸せが訪れた瞬間だった。

その後、ミツオはどうなったかという話は置いといて、なにはなくても、まずこのことをトモヤにメールで伝えて、この苦しい恋とお別れしようと思った。
その年も押し迫っていた12月末の事だったが、別れを告げた後、彼から来たメールの返事は驚きの内容だった。
「同棲中の彼女とは同棲を解消した。嫁とも正式に離婚する手続きをしている。そして、ひなたぼっこときちんと付き合おうと思い、(私の息子を入れて)3人でお正月に箱根旅行するために既に宿の予約をとっていた」といったものだった。
はぁ〜?!こんなことってある?
なんでもっと早くそうしてくれなかったの〜?
でももう遅い。
私は救世主・ミツオとの恋愛をスタートさせてしまったから。

後日談として、トモヤとはこの数年後に1度だけ連絡を取って会ったことがある。1人で暮らしているという彼の部屋にあがって、確かお茶をして帰ったと思うのだが、その時はもう彼には愛情はなかったので(キスはされたけど)それ以上の事は何もなかった。
トモヤに言われたな。ひなたぼっこが(優柔不断な)俺の人生を変えたんだと。もちろん、良い方向に変えたんだと思っているけどね。

干支2周まわってまた巡り会う

こうして24年前を思い起こしてみると、このときの痛い経験は今かなり役に立っている。最終的には、トモヤはヤリモクというわけではなく、かなり時間はかかったがきちんと私に向き合おうとしてくれた。
さて、あーちゃんはどうなのか?
クズっぷりは似ているが、そもそもがトモヤとは全くタイプが違うし、もしかしたらこのまま音信不通となり、連絡が来ないような気がしなくもない。いや、それならそれで全然気が楽。サクサクと次の出会いに向けて切り出せる。

24年前も今年も、「六星占術」でいうと同じ種子の年。いろいろな人との出会いがある年なので、期待してはいるのだが…。
あっという間にその勝負の年も、半年がすぎようとしている。



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