女根建供養③

以下のメールは、情熱スリーポイントに送ったものの、読まれなかったメールです。

RN・くだらない質問

高校卒業後、地元岡山を離れて東京の大学に進学することになった女根建太一。しかし待ちに待った東京での生活を素直に喜べなかった。付き合いの長い彼は地元の大学に進学するため、遠距離恋愛がスタートするからだ。

東京に行く日の新幹線のホームで、女根建は不安そうな表情の彼に言った。「なぁー!テンション低すぎだって!大丈夫だって。私たちだったら大丈夫だって。毎日電話するって!」そういって彼と指切りをして、東京行きの新幹線に乗った。

しかし、女根建は彼との約束を守ることができなかった。絶え間無く行き交うはつらつとした若者。授業と授業の間にテレビで見るような街並みの中を歩くことができる日常。そんな刺激的な毎日の中で、女根建の中の彼の存在感は薄くなっていった。

サークルの飲み会から朝帰りして女根建がI phoneを覗くと、彼から何件も着信履歴が残っていた。そんな画面を見て女根建は言う。「なぁ!!大学生で鬼電はきちいって!みっともねぇって!」次第に女根建は大好きだったはずの彼が重く感じるようになり、ラインで一言「別れよう。」と告げた。そんな冷酷な態度を示してから、彼は一切女根建に連絡をしなくなった。

大学に入ってあっという間に4ヶ月が経過し、夏休みに入った。時間に余裕が出てくると、女根建は心にぽっかり空いた穴に気づく。いつだって彼は味方だった。学校帰りに、遠回りして家まで見届けてくれた。空が綺麗だったら、写真をとって送ってくれた。照れ屋なくせに、私といる時は不自然に車道側を歩いた。いつだって。彼はいつだって私のことばかり考えていた。わがままだとはわかっていたものの、女根建は「会いたい。」と彼にラインをし、岡山行きの新幹線に飛び乗った。


「岡山駅がこんなに開発されてんの知らないじゃん。」

女根建はぎこちなく彼に話を振る。彼といつも行ってたファミレスで待ち合わせたものの、あまりに久々すぎて以前のように接することしかできない。ぎこちない会話の後に重い沈黙が続き、彼は気まずそうに話し始めた。

「あのさ、俺、彼女できたんだ。その子は女根建みたいに派手ではないけど、すぐに連絡を返してくれて、いつでも俺を気にかけてくれるんだ。すごく心配性な子だから今日は黙って女根建に会いにきちゃったけど、今この時間でさえも申し訳なく思うくらい、大切な人なんだ。このまま彼女とずっと幸せでいたい。君のことは大好きだったけど、今日で会うのは最後にしようか。長い間本当にありがとう。東京での生活、応援してるよ。」


そんな彼の言葉を受けて胸の痛みを感じつつ、声を振り絞って答える、女根建太一

「おめでとうございまーす(棒読み)」

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