女根建供養①

RN・くだらない質問

キャンパスライフを謳歌する、女子大生根建太一。最近付き合い始めたクールな彼が居るが、連絡するのもデートに誘うのも女根建からで、彼が何を考えているか全く分からない。「本当は私のこと好きじゃなくて、無理して合わせているのかなぁ。私から告白したし、もしかしたら別れたがっているかもしれないなぁ。」そんな最悪の憶測が胸をよぎり、不安に押しつぶされながら日々を過ごしていた。

女根建が履修している一限の授業に出たある日のこと。授業直後、女根建が帰る準備をしていると、同じ授業に出席していた彼が目の前に来て「はい、これ。暑いからすぐ食べたほうがいいかも」と板チョコ一枚を女根建のポケットにねじ込み、そそくさと立ち去った。「いねぇって。彼女のポケットに板チョコ差して逃げるやつ。」女根建は、そう呟いた。

 その日の2限は空きコマだった。女根建は校内のベンチに座り、もらった板チョコを食べようと包装紙を破こうとした。すると、銀紙と包装紙の間に、カードが挟まっていた。それはなんと、彼直筆のメッセージカードだった。そこには「付き合って一ヶ月になるね。いつも連絡してくれてありがとう。初めて女の子と付き合ったから、どうしていいか全然分からなくて。君に告白される前から、俺も君のことが好きだったから、嫌われたくなくて。少しずつだけど俺も頑張るから。付き合ってくれてありがとう。本当に大好きです。」と書いてあった。

そんな、彼の不器用な愛情表現に触れ、涙目で呟く、女根建太一

「幼稚だってぇ…」

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